作成・保存されているデータの"たな卸し"から

どの学校でも実に様々なデータが蓄積されています。進路指導の領域に限っても、模試成績、家庭学習時間、志望校の変遷、最終的な出願校と合否結果など挙げていけばきりがありません。

データは、個々の生徒が抱える問題を把握するにも、指導の改善課題を見つけるにも欠かせませんが、現状においてデータが有効に利用できているとは言えない部分もあるのではないでしょうか。

どのようにデータを取得・保存し、活用に結び付けていくべきか、一度しっかり考えてみる必要がありそうです。


❏ どの組織がどんなデータを持っているか把握してるか

データを有効に利用する方法を考えていく前に、まずは現状において校内でどのようなデータが作られているのか、たな卸しをしてみる必要がありそうです。

分掌や学年、あるいは教科が独自に、それぞれの必要に応じてデータを収集してきた結果、似たようなデータが"散在"しているケースも少なくありません。

比較的データの活用が進んでいる進路指導でさえ、進路指導部が管理しているものと学年進路が独自に持っているものがバラバラに存在しているケースをよく見かけます。


❏ 分掌・学年・教科に既存データの一覧を作ってもらう

各組織で、生活・学習・進路の各領域について、どのようなデータをどんな形で所持しているか、一度書き出してみるべきです。

各組織が所持しているデータについて、
  1. データの名称(ファイル名)とその概要★
  2. データの保存場所、閲覧・アクセスの方法★
  3. 生徒指導や指導戦略の立案に活用した場面★
  4. 媒体種別、データ形式
  5. ファイルに含まれる情報(データ構造、フィールド名一覧など)
  6. データのソース、調査方法・取得時期
  7. 集計結果のほかに個人に結び付けられるローデータはあるか★

といった事柄を調べてもらい、一元的に把握してみましょう。少なくとも、★を付した項目の調査は必須です。


❏ 重複するデータ、使われないデータは取らないように

如上の調査をしてみると、同じようなデータを複数の組織でそれぞれ持っていることがあります。

整理をして一方に統合すれば削減できた業務で、仕事量を無駄に増やしていたことにならないでしょうか。

同じ事柄を異なる手法(アンケートでも選択肢の構造や尺度の設定が違えば結果は違ってしまいます)で調査した結果、状況の把握を誤っていた可能性もあります。

上記3.の活用場面が曖昧だったり、活用の結果として効果が出ていないようであれば、調査にかけた労力が回収できていないことになります。

たな卸しをしてみることで、業務の合理化の糸口も見つかりそうです。


❏ すべてのデータは生徒個人と結び付けられるか

保存されているデータが、平均値や度数分布などの「統計量」やそのグラフだけというケースも少なくありません。

これでは個々の生徒の学習上の問題点を把握したり、面談指導に活用することもできません。

生徒個人に結び付けたデータを保存しておけば、必要に応じて集団としての集計値を算出するのは容易ですが、一度統計量にまとめてしまったデータから個人を抽出するのは不可能です。

ポートフォリオに残す「ラーニング・ログ」(学習記録)、「プラクティス・ログ」(実践体験記録)、「リフレクション・ログ」(省察記録)とともに、すべてのデータを個人に結び付けて保存する形に切り替えていく必要があるとお考え下さい。


❏ ローデータを保存し、生徒IDと結び付けておく

如上のたな卸しを経て、今後も作成・蓄積・活用が必要であると判断されたデータについては、統計量に丸めてしまう前のローデータをきちんと保管するようにしましょう。

その際、どの生徒のデータ(成績、回答、省察など)なのかがわからなくなってはどうしようもありません。

生徒一人ひとりに付与したIDと結び付けておくことが重要です。

生徒ID付きのローデータさえ保管しておけば、eポートフォリオにデータをインポートするのも、表計算ソフトを用いたファイル間のルックアップで個々に作成されたデータを関連付けるのも容易です。

その2に続く

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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