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zoom RSS 校種間連携でできること(その3)

<<   作成日時 : 2014/05/16 07:06   >>

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教員による校種間連携を通じて、生徒が学んできたこと、取り組んだ課題、経験した活動についてより深く知ったうえで、それらを踏まえた授業を設計する必要があります。その方法の一つとして、高校で行われている研究授業や授業公開を利用しましょう、というのが前回の趣旨でした。

今回は立場を変えて、「出前授業」 を機会として利用することをご提案します。


❏ 小中学校に出向いて行う「出前授業」

小学生・中学生に教えてみることで、「高校生だからこそできること」 に改めて気づくことがあります。

日頃から目にしているものは“当たり前”になってしまいます。

小中学生の反応を見る中で、自校の生徒の反応との違いから「あっ、こんな能力も身につけていたのか」 と気づくことも少なくありません。

成長の段階に応じた学びの在り方、教え方を考え直すきっかけとして大いに活用したい機会です。

高校生に教えるときと小中学生に教えるときとでは、当然ながら前提にできる知識や理解、経験が違います。

前提のずれから伝えたいことがうまく伝えられないというのは、教室で頻繁に経験することではないでしょうか。

もし、その児童・生徒が、学ぶべきことを学ばないまま高校に進んで来ているとしたら、実は同じ状況が高校の教室でも起きていることになります。


❏ 普段の当たり前が通用しない中で、教え方を磨く

新しい単元に入るとき、導入で確認しておくべき事柄は何か、習熟を確認しておかなければならないものが何であるかを改めて意識の上に取り出してみる絶好の機会が、小中学生に教えてみることです。

「普段の当たり前」 が当たり前でない環境に身を置くことは、非常に有意な気づきを与えてくれます。

出前授業は、小中学生に対するサービスや生徒募集のための広報活動ではありません。

むしろ、小中学生との比較から、日ごろ教えている高校生を改めて知り、教え方を考えるうえで見落としてはいけないものを見つけに行くための機会と考えたいものです。

出前授業では、当然、「高校ではこんな勉強をするんだよ」 というお話が主になります。

専門性の高い教科教養が期待されていますが、小中学生が前提として持っている知識には限りがあるので、高度なことをやさしく教える絶好のトレーニングになります。

否が応でも教えていることの再体系化を迫られる機会というのは貴重です。

準備の段階では小中学校の教科書にも目を通すはずです。「生徒がそれまでの学習で経験した活動と取り組んできた課題」 を知ることの意義は先に述べた通りです。


❏ 生徒に加え、小中学校の先生にもメッセージを伝える好機

生徒への話には、「こういう勉強をして高校にきてね」 というメッセージも含まれることと思います。

生徒は、実際の教材を通じてひとつ先の学びに触れたあとなので、普段よりはるかに、そのメッセージを鮮明に受け取ることができるはず。

学校説明会などで通り一遍の話を聞くよりはるかに具体的なイメージを持てます。

また、授業をご覧になっている小中学校の先生にも同じメッセージを受け取ってもらえることの意味も小さくありません。

大学入試の出題から適切な材料を持ってくることができれば、1つ先の学びが2つ先にどうつながっていくのかも伝えられます。

小中学校の先生が大学受験の問題に触れる機会はそれほど多くありません。

社会の要請を受けて、大学教育が変わり、その入り口で求められる学力が変わるからこそ大学入試問題も変容しているのです。

学びに求められる要素の変化を、普段と違う視点で知っていただく機会を小中学校の先生方に提供するという意味もありそうです。


❏ 小中学校の先生も、生徒のポテンシャルを再発見

高度な知識や専門的な考え方に触れたときの生徒の反応が、小中学校の先生の予想を超えるケースもあります。

生徒が持つ能力や可能性を高く見直す好機になったというお声も聴きました。

様々な刺激から、高校の先生、小中学校の先生、生徒たちがそれぞれの立場で新しい可能性に気づくというのが、出前授業の本当の意味かもしれません。


その4に続く

教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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