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zoom RSS 校種間連携でできること(その4)

<<   作成日時 : 2014/05/19 05:42   >>

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校種間連携を進めるうえでの問題は、下級学校での学びの成果を測るモノサシを上級学校が必ずしも持っていないことです。上級学校の求めを下級学校が引き受けるという構図が抱える「限界」です。

大学が入学者の学力を測定して、付属高校からの進学者と一般入試で入学した学生の比較をするときも、入試と同じタイプのテストで比べるのは必ずしもフェアとは言えない気がします。

せっかく身に着けたものも、モノサシを当ててもらえないのでは、下級学校で指導に当たる先生も報われません。

入学後の学業成績などを追跡的に調査しても、やはりモノサシ自体の更新が必要な場面もありそうです。その第一歩が、「下級学校で取り組んだ課題、経験した活動を知る」という取り組みになるのではないでしょうか。


❏ 生徒が辿った成長の足跡を知る

高校、あるいは中学に入学してくる生徒が、それまでにどのような活動を経験し、どんな課題に取り組んできたかを知っておくことは、学びの設計に欠かせない準備です。

しかしながら、多忙を極める日々の中で、頻繁に小中学校に足を運ぶことはできません。効率の良い方法を考える必要があります。

お奨めできるのは、
  • 小中学校の考査問題を見ること、
  • 成果発表を覗きに行くこと
の2つです。どちらも特段の準備はいらず、時間をこじ開けるだけです。(これがそう簡単ではないことも重々承知しておりますが…。)


❏ 小中学校の考査問題と採点結果は情報の宝庫

考査で何を測るかは、授業で何を教えるかとほぼ同義です。

考査は生徒が取り組んだ「課題」そのものでもあります。教員にはそれぞれの教科観や学習観があり、それがテスト問題作りにも授業づくりにも反映されます。

出所が同じであれば、結果が強く相関するのは当然です。

実際に考査問題を拝見すると、その先生が日頃どんな授業をされているかかなり正確な予想ができます。

採点基準も提供してもらえれば、どんなことに力点をおいて学習指導がなされているかをさらに正確に推測できるようになります。

気になることや改善点をフィードバックすれば、小中の先生にとっても良い勉強になるはずです。

設問ごとの正答率や誤答分布の資料があればさらに有為な示唆が得られるのですが、こうしたデータはなかなか取れません。

あらかじめ、校種間連携事業の一環として、学年末考査など限られた機会にはこれらのデータも整備するという約束が交わしておくことが必要でしょう。

考査問題を見るのは、時間と空間を共有する必要がないという点で実施の自由度がはるかに高く取れます。

研究授業などはその時間に足を運ばなければなりませんが、テスト問題なら郵送、FAX、メール添付などで送ってもらい手の空いた時間に研究ができます。

フィードバックもメールやチャットで行えば、時間的な優位は大きくなります。

ただし、対面に勝るコミュニケーションはありません。ネット時代の寵児と言われた超有名人も「フェイストゥフェイスのコミュニケーションは仲良くなるんだよね」 と述べています。

合同研究授業などの対面機会を上手に利用したいところですね。


❏ 成果発表会や作品展示を目にすることでも

小中学校で「特徴ある教育活動」として力を入れている領域では、成果発表の機会が設けられているのが普通です。

あらかじめ日程も決まっているので、訪れる側も都合をつけやすいはずです。

また、その日に都合がつかなかったとしても、プレゼンテーションで作ったパワーポイントや成果掲示は残っています。手の空いているときに見せてもらいに行くのは難しくありません。

とある小学校で、パソコン教育で生徒が作り上げた作品を1年生から6年生まで並べて掲示されているのを見せていただきました。

驚くほどの水準です。学年を追って着実かつ大きな進歩が見て取れます。

あれを見ないままに高校の「情報」でシラバスを作ったところで、生徒の興味を刺激し、かつ日々進歩を実感させるような授業になるとは考えにくい、というのが正直な感想です。

文集などの形で活動の様子を生徒の言葉で残している場合は、生徒一人ひとりがどんなプロセスを辿ったのか、そこで生徒が何を感じてきたのかもうかがい知れます。

小学校から中学、高校へと、これらの資料を届けるのはそれほど手間のかかる仕事ではありません。

これらは、結果からプロセスを想像するという手法です。

実地に自分の目で見るのが一番ですが、そうした時間もなかなか確保できません。

時間と空間を共有しなくても良い方法を探るのが、負担感を抑え、校種間連携を継続していくときのポイントです。


その5に続く

教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一



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