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zoom RSS 理解度の確認〜場面と方法(その2)

<<   作成日時 : 2014/05/23 06:24   >>

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理解度の確認には、発問、小テスト、課題など様々な方法があり、それぞれ考えてみるべきことがありそうです。まずは、発問/問い掛けによる理解度の確認から、場面を分けながら抑えどころを整理してみます。


❏ 前提となる知識や理解を確かめるとき

授業の冒頭に限らず新しい内容・テーマに進むとき、生徒がその時点備えている知識や理解、発想や経験と、それらに対する先生側での想定とを一致させる必要がありますよね。

わかっているはずという思い込みが一番危険です。

前日の授業で学んだことですら、教えたこと/学んだことの多くが記憶から消えています。そもそも、前回の授業で正しい理解が、抜け落ちなく作られていたかどうか、どこにも保証はありません。

ましてや、何か月も前に学んだ単元の理解を土台にするとしたら、…。きっちり確認しておかなければ、怖くて先に進むことはできませんよね。


❏ 復習/確認はできるだけコンパクトに

導入時の確認では、既習事項のうち「これから行う説明や問い掛けが土台とするもの」 に絞りましょう。本時の学びと関連の薄いところや関連事項まで広げるのは考えものです。

本題に中々進めず、わかっている生徒には退屈な時間を強いるばかりです。いかにコンパクトにまとめるかに意識を向けましょう。

先生が教え直すようなやり方より、クラス全体に問いを投げかけて生徒の反応を探る方法が好ましいのは言うまでもありません。
板書の技術(その3)
ここでも、「問い掛け→確認→板書で固定」 が鉄則!

以前に教えたことを先生が改めて話して聞かせても、大した効果は期待できません。

「そういえば、そんなこともやったよね」 というぐらいの認識で終わっては、前提を整えるというこの場面での目的を達することはできません。

問い掛けて、思い出し、考える瞬間を作る必要があります。答えを探して、ノートや教科書のページをめくってくれれば、関連事項も視野に入り、より効果的な復習になるでしょう。

思い出したら、その場に書き出すこと。ずっと忘れていたことだけに、1分後にはまた思い出せなくなっていることだってあります。黒板に書き出すことで、いつでも見られる状態にしておくことが、前提知識のばらつきを抑えます。


ちなみに、復習したことを書き出す場所は、言うまでもなく「しばらく消さないで済むところ」 です。

黒板の端っこに「参照情報のためのスペース」 を設けましょう。約束事として定着すれば、やがて生徒は「その場所に書かれたものは覚えておかないと次に進めないもの」 であることを認識するようになります。


❏ 反応を確かめると同時に、要点の再記銘を図る

導入フェイズに限りませんが、問い掛けに際し、指名してから問いを発するのはNG、効果を大きく損ねます。

指名された生徒以外には「他人事」 になり、わかっているかどうか表情に現れなくなります。問われてはじめて「わからない」 ということに気づき、それが表情に現れます。

他人事になれば、記憶と記録を辿ろうともしなくなります。ボーッとしていたり、他のことをやっていては、再記銘を図ることもできません。

わからないという表情を浮かべる生徒が少数の場合は、その知識を黒板に書き出しておくだけでも一定の効果が期待できます。前提となる知識を視野に固定されているのは、頭の中に記憶があることに近い状態です。

わからない顔が想定外に多ければ、まずは隣同士で教え合わせましょう。それでもだめなら、その内容を扱った授業を反省しつつ、時間を割いてその部分の説明をしなおすしかありません。

特に新しい単元に入るときは、関連内容のプリントを予め配っておき、復習テストなどを課してみるのも妙手です。

授業に臨ませる前に再学習の機会を設けておけば、記憶も取り戻しますし、少なくとも「教え合い」 でのケアが機能する状態までは持っていけるはずです。


❏ 説明を進める中で、そこまでの理解を把握するとき

展開の途中で、そこまでの理解を確かめる場面を考えてみましょう。

導入や例題で「AがBだからCになる」 と教えた場合、そのまま反復させて、教えたときと全く同じ「A→B→C」 を首尾よく再現できたとしても、確かめられたのは覚えたかどうかだけ。理解しているかどうかは別の話です。

 「では、A´ならどうなる? そう、B´だよね。そうすると結論は?」

と尋ねて、違う状況に同じプロセスを当てはめてみさせましょう。

生徒からC´が答えとして正しく戻ればとりあえずOK、そうなる理由を隣同士でちゃんと説明できれば大丈夫でしょう。机間指導を行いながら、生徒同士のやり取りに耳を澄ませておくことは言うまでもありません。

こうした確認法を重ねるうちに、生徒の側では問われることが習慣となります。教員から与えられる答えを覚えるだけでは足りないものがあることを学んでいきます。


❏ 消さずに残しておいた板書を使って

ひと通りの説明を終えたら、そこまでに獲得した知識を活用する場面に進みます。考察をしたり、課題を解いたりする場面ですよね。

もし先に進む準備が整っていなかったら、課題に挑ませても返り討ちに会うばかり。そこまでに学んだことをきちんと振り返らせ、不足や不備を補ってから/補いながら、課題に挑ませるようにしたいものです。

手っ取り早い方法としては、板書を辿り直しながら、

 「ここではどんな処理をしたんだっけ?」
 「どうしてここに補助線を引いたの?」
 「これをαと置き換えたことがあとでどんな意味を持った?」


などを尋ねていくことでしょう。瞬間ごとに積み上げられ、場合によってはバラバラのままであった理解をひとつの流れのなかで「統合」 することができます。

もし、この段階で期待通りの反応が戻らない(=理解がうまく形成できていない)ようなら、周囲と相談OKにして、相互支援のスイッチを入れてから課題に挑ませるようにしましょう。


❏ まとめの段階など、学んだことのたな卸をさせるとき

終業のチャイムが鳴っても学習は終わりません。そこまでの学びを元に、家庭学習や次の授業へと繋がっていきます。

是非とも採りたいアプローチは、宿題として与える課題の読み合わせです。本時の学習成果を確かめるための課題を、宿題としてあらかじめ用意しておきます。

この課題をクラス全体に見させながら、

 「この問題のポイントは何だと思う?」
 「今日、勉強したなかでどの知識が使えそう?」
 「教科書/資料のどこに書いてあったっけ?」


などの問いを重ねながら“宿題の読み合わせ”をします。

読み合わせしただけで、宿題の履行率が上がり家庭学習時間が伸びたという効果も報告されています。「こうやればいいんだ、なんだか解けそう」という展望が、履行に向けた動機になるようです。
目的意識/自分の理由をどう作らせるか(その5)
仮のアウトプットで行う「道具の確認と不足の解消」

課題ありきの授業設計を行い、計画通りに授業を完遂したとしても、そのまま宿題の提示に移行してはうまくいきません。先生が教えたことを生徒が理解した保証はないからです。

仮のアウトプットを経てから、個人のタスクに戻して仕上げに向かわせるよう心がけましょう。

先生や友達に訊けるうちに、つまり教室を出る前に、仮のアウトプットに挑ませて、解決までの道筋を考えさせる中で、不明点が残っていないか確認させることが大切です。


ここで与えるのは、単なる記憶と再現だけでなく、習ったことを新しい組み合わせを考えながら使う「活用機会としての課題」 であるべきです。

生徒が感じる学力伸長感(授業を受けて、学力が伸びた/できるようになったと感じる)は、活用機会をどれだけ経験したかどうかと非常に強固な相関を示しています。

また、別のアプローチとしてはこんなのもあります。
結論を出さずに終える授業

問いに答えを出してしまうと、生徒の側では「答えはこれか。あとはテストまでに覚えるだけ」 という意識が生まれ、それ以上考えることをやめてしまいます。

正解を示して、本時の学びを確定しようという意図が、かえって生徒の思考をストップさせています。大切なことは、学習の総量(=生徒がどれだけ思考を重ねたか)であり、それを大きくするためにどうしたらよいかを、授業設計の根本思想とすべきだと思います。

その日の授業で考えるために必要な材料をしっかりと与えたら、問いを示して「次の授業では、これについて考えてみよう」 と締めくくるのも、有効な手立てとなり得ます。


答えで閉じない問いを投げかけることで、本時の学びを次の授業につなげるとともに、思考を継続させることで頭の中でのイノベーションが起きることも期待できるのではないでしょうか。


その3に続く
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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一


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