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zoom RSS 学修時間を延ばすには(その2)

<<   作成日時 : 2014/08/20 04:45   >>

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結果を大きく分けた第一の条件は、“課題に達成可能性が担保されていたか”どうかであると思われます。課題を解決するのに必要な知識や理解、発想、あるいは参照手段への習熟などを整えるだけの授業がなされていなければ、課題に手を出そうとしても、あるいは指示に応えようとしても、躓くばかりです。そのうちに心が折れて課題を放り出すのも無理からぬことではないでしょうか。「課題ありきでの授業設計」が求められるゆえんです。


❏ 課題の達成可能性を担保していたか?

授業は、スタート時点で持っている力と、終了時に身につけているべき力の差分を埋めるための活動です。後者はまさに「課題が求めている」力であり、課題を選んだ段階で決定されます。授業を通じて、教科書に記載された事柄と、課題の解決に求められる事柄との差分を埋めていかなければなりません。

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課題が求める力の獲得を図る授業を進めたとしても、もう一つの問題が残ります。授業開始時点で学生が持っているもの(既得の知識・理解など)と、授業の起点として想定したラインが一致しているかどうかです。

きちんと学生の反応を追っていれば、ズレが生じていたとしてもすぐに気づけて修正できますが、一方通行の講義では反応を探る機会を失います。私語もせずに真面目に聴いている様子だったのに肝心なことが伝わっていないことに愕然とするシーンは、こうした流れの中で生み出されます。

対策は、授業開始に当たって、学生側でのレディネスを確認すること以外にありません。既習事項に関する“理解や知識”だけでなく、授業のテーマや課題そのものに対する問題意識、あるいはそのベースにある直接/間接の経験の有無も、合わせて確かめてみるべきものです。別稿でも述べた、導入時のディスカッションを通じた確認と補完が、有効な手段の一つになるはずです。

❏ 課題の履行率を高めるために

達成可能性を高め、せっかく与えた課題も、学生が手を付けてくれないことには意味をなしません。授業を終えるときに“課題の読み合わせ”を教室で行うことをお奨めします。

その日の授業で学んだことを使って解決するタイプの課題であれば、宿題として取り組ませる課題の読み合わせを行いながら、本時の学習内容の振り返りをします。ポイントをなぞってみたり、参照手段の確認をしたりすることで、「こうやればいいのか」「できそうな気がする」と思わせましょう。勝算と展望を得ることで、履行率が大きく向上します。

次回への準備として指示をした事柄については、ゴールとしての形をイメージさせたうえで、不明点が生じたときに参照すべき情報源を確認させるなどが有効です。学生は、スマホやタブレットを持っていることが多いので、参照先がインターネット上に見つかるときは、教室内のプロジェクタにQRコードを映示して、その場でアクセスさせることだって可能です。

課題に取り組もうとしても、少し躓いたときに手掛かりがまったくなければ「諦める」という選択肢しか残りません。教室内での読み合わせをしておくことには、こうしたリスクを抑制する効果も期待できます。


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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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学修時間を延ばすには
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