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zoom RSS 学修時間を延ばすには(その4)

<<   作成日時 : 2014/08/22 07:25   >>

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発表やディスカッションの機会を用意し、参加姿勢を評価することが”不明解消”への動機づけになりますが、活動に対する評価の基準を明確に示しておかなければ、どう関わればよいか学生が戸惑うことも予想されます。場合によっては、いたずらに発言数を増やすだけの学生や、相手の発言を受け取らずにあさっての方向に議論を乱してしまう学生も出てきそうです。


❏ 活動評価する基準を明示すること

課題図書の内容を十分に理解・把握して議論に参加しているか、他のメンバーの発言を尊重したかなど、議論参加に際して求められることを規準としてあらかじめ明示しておき、それに沿って評価が行われることが肝心です。要求されていることがはっきりわかってこそ、学生は、自分がどのような行動を取るべきかを考えるようになります。適正かつ明示的に示された評価基準こそが、学習におけるメタ認知を作る土台となります。

こうした評価は、グループで導き出した解の正誤や優劣以上に、大きな意味を持つはずです。変化が速い社会において、現在の最適解が将来もわたってその妥当性を維持するとは限りません。未解決の課題にコミュニティとして解を導くための協働に求められる資質や姿勢を身につけることこそが、こらからの学びの目標のひとつであると考えます。

課題解決に向けた協働にきちんと参加できて、そこで正しい行動を取れていれば、それだけで学習の目標は達成されたと評価する十分な材料になるはずです。


❏ テストが担う大切な役割

但し、活動を自己目的化しないように注意しましょう。解を導くための活動を通じて得られた知恵や知識を、きちんと記憶に刻んでおくことも欠かせません。この点において、テストが持つ、「知識や理解の獲得状況を把握する機能」を十分に利用する必要が生じます。

先人が導き出した正解や、苦労を重ねて作り出してくださった知識体系の上に立たなければ「巨人の肩に乗る」ことはできません。体系立った知識を学ぶことの意義をしっかりと伝えるとともに、教えるべきことをきちんと教え、学び手がなすべきことを横取りしないこと、これが教える側に立った者が銘記しておくべきことと考えます。


❏ レポートを書き上げることで積む、言語化の訓練

学生に与える課題として、重要な位置を占めるのが、レポートです。記憶したものを紙面に再現するだけのテストとは違い、じっくり考えてまとめ上げる提出物は、理解を統合し、言語化を通じて整理する機会として、欠かせないものです。

但し、字数の下限を満たすだけ、提出するだけでは、所期の効果は期待できません。ディスカッションへの参加を評価するときと同じく、レポートに関しても評価基準を明確にしておくことが大切です。提出する前に、基準に照らした自己添削をさせて効果を上げている実践もあります。最初のうちは自己添削も要領を得ませんが、教員による添削と見比べる機会を重ねるうちに、かなりの精度で朱入れができるようになるとのことです。

レポート作成は時間のかかる作業です。当然ながら学習時間の延伸には大きな効果をもたらしますが、如上の取り組みとの併用がなければ、字数を満たすだけになり、学習効果と結びつかなくなります。学習時間の延伸は、それ自体が目的ではなく、学習目標を達成するための手段であることを、くれぐれも忘れてしまうことがないようにしたいものです。


❏ 学習時間は、教える側の工夫で伸ばせる

校種によらず、学習時間の延伸と確保は、様々な現場で、長きに亘って取り組まれてきた課題です。課題や指示が与えられなければ机に向かえない、というのでは心許ない気もしますが、同時に、なすべきことが具体的に示されてその必要を認識さえすれば、しっかりと時間を投じて学ぶ、そんな学生像がデータから浮かびます。この課題への解決策は、教える側の裁量と工夫でコントロールできる領域にまだ残されているようです。

本稿でご提案した方策は、一つひとつでは限定的な効果しかないかもしれませんが、組み合わせて用いることで大きな効果も狙えるはずです。

・具体的な課題を与え、準備・復習の手順をしっかり提示
・課題を与えるときは、達成可能性を担保した授業設計を
・履行率を高めるために、教室内で課題の読み合わせを
・アウトプットの機会で、不明解消への必要を突きつける
・協働の機会で、互いをけん制&達成感もより大きく
・活動そのものを評価する基準を明示してメタ認知を作る
・知識の獲得はテストで担保、レポートで言語化を


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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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学修時間を延ばすには(その3)
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