ビジネス手帳を用いた指導の可能性(その5)

手帳の回収・点検を通じて、日々の学習時間を把握している学校があります。当然ながら、生徒が手帳に記録したままの状態では、集計したりデータとして解析に利用したりすることができないため、担任の先生が手帳を見ながらエクセルに手入力しているケースがありました。


❏ 手帳に記録されている定量的情報をデータ化

手間の負担は計り知れません。生徒指導のために行っていることが、生徒指導の時間を奪うというジレンマは避けましょう。

集計が必要なときは、マークシートを配って生徒自身に記入させてもよいのではないでしょうか。たいていの学校が、OMR機器(マークリーダー)をお持ちですし、汎用マークシートは手ごろな価格で手に入ります。小テストにも使えるものが1枚8円程度です。
(参考:http://www.marksheet.net/marksheet/marksheet_jis_030.html

記入方法の説明文書は作っておかなければなりませんが、一度作ってしまえば使い回しができます。また、OMRの設定ファイルも同様です。慣れてくれば、マークリーダーを使った読取作業は、ひとクラスなら10分もあれば十分に終えられます。

データは年度を跨いて保存しておけば、定点観測としても使えます。予習方法の指示を更新したり、宿題の与え方を再検討した際の、効果測定にも利用できるはずです。


❏ きちんとフィードバック

考査の振り返りや行事参加の反省を手帳に書かせているのは、“反省を踏まえた次の行動の正しい選択”を目指しての指導に他ならないはずです。しかしながら、生徒任せにして、適切なフィードバックが行われなければ、所期の効果が得られないばかりか、厄介なことにもなりかねません。

きちんと反省できる生徒は、どんどんと成長の階段を上っていくのに対し、「提出しなければならないからとりあえず欄を埋めよう」という程度の意識に留まる生徒は、自分に向き合うことなく、成長が大きく遅れます。やがてクラスの中で、生徒の意識差が拡大していき、集団に対する指導がうまく機能しなくなることも心配されます。

生徒に書かせたものは、きちんと読んで、適切にフィードバックすることが大切です。多忙な仕事の合間を縫って、手帳を介した生徒とのやり取りを日々重ねておられる先生のご尽力には頭が下がりますが、継続するのは本当に大変です。

一時の熱意に任せて、無理を続けては負担が大きくなるばかりです。各地の学校では、こうしたジレンマを解消し得る方法が模索されています。是非とも参考にしたいものです。

出席番号で生徒をグループに分けて、グループごとに手帳回収の曜日を分けているケースがありました。省力化を図るとともに、一人ひとりの手帳にしっかりと目を通せる余裕ができてきたとのお話を伺いました。

また別の学校では、手帳に書き込むコメントやメッセージは簡素なものに止めつつ、教室での全体に対するフィードバックに力を入れているという先生もおられます。同じタスクに取り組む生徒たちには課題や悩みが共通するのは半ば当然です。一人の生徒が手帳に残した言葉には、他の生徒にも気づかせるべき課題が隠れていることが少なくありません。

当然、生徒の名前は伏せるなどプライバシーへの配慮は必要ですが、一人の生徒が感じたことを起点にして、クラス全体での学びに繋げていくのは有意なことです。他の生徒も同じ課題を抱えながら、自分では気づけていなかったこともあるはずです。こうしたフィードバックを機に、振り返りと気づきの場を与えていくことには大きな効果が期待できます。


その6に続く

教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一



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