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zoom RSS 社会が取り組む課題を軸にした学部・学科研究

<<   作成日時 : 2014/10/14 06:57   >>

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過日、社会教育会館(東京都多摩教育センター内)で行われた「都立高校生のための多摩地区国公立大学合同説明会」を見学してきました。

土曜の午後ということもあり、会場は300人を超える国公立大学を目指す都立高生で熱気に溢れていました。

各大学とも学生募集のチャンスと様々な趣向を凝らす中、東京農工大学のプレゼンは際立っており、とても興味深いものでした。


❏ 大学の"商品"ラインアップを延々と紹介されても…

大学が行う受験生向け説明会というと、学部・学科のラインナップが紹介され、そこで何が勉強でき、卒業後の進路・就職先は…、という具合に話が進むことが多いように思います。

言うならば、学部・学科ありきで、それを軸にしたやりかたです。

その学部・学科に漠然とでも興味を持っていた生徒には有益な情報かもしれませんが、まったく興味のない生徒にとってはどうでもよいこと。

強い興味を持っている生徒は、既に自分でも色々と調べているでしょうから、概説的な話に改めて得るものはそれほど多くなさそうです。

進路講演に大学から人を招いて校内で話をしてもらうときにも、同じことが起きているかもしれません。


❏ 社会が抱える課題に各学科がどうチャレンジしているか

これに対し、東京農工大の入試課担当者が採った手法は、まったく別の方向からのアプローチです。

まずは社会全体が取り組んでいる課題、たとえば全世界的に予想されている食糧不足の問題を取り上げて見せました。

話を聞いている高校生は、問題意識を刺激され、「自分ごと」としてそれらを考えている様子です。

その上で、そうした問題の一つひとつに農工大の各学部・各学科での学びがどのような関わりを持つのか、どんな研究を行っているのかを示していきます。

社会課題を軸に学部・学科を捉え直す手法、と表現できそうです。

 ■ 学部・学科調べに、学問探究という入り口も


❏ 学びの先の広がりと、社会との接点を知る機会

そこで取り上げられた学部・学科を志す高校生にとっては、自分が大学で学ぼうとしていることの意味を、新たな視点でとらえ直し、深く理解する絶好の機会になったはずです。

他の学部・学科を志している高校生にとっても、自分が学ぼうとしていることの先にどんな課題や挑戦があるのかをイメージし直してみる機会になったと思います。

大学の先生やスタッフを招いて進学講演会や大学説明会を企画するときには、如上の構成を大学側にリクエストしてみるのも良いのではないでしょうか。


❏ 校内での進路指導にも応用できる方法

ここで採られた手法は、高校でのキャリア教育、進路意識形成指導にも利用できるものがありそうです。

報道などで触れた身近な事柄を起点に、様々な課題を想起し、それらに取り組む研究や企業活動などを調べていくという方法です。

有名なところでは、コンビニ弁当を題材にして、ひとつの商品を作り上げるのにどんな仕事が目に見えないところで関わっているか調べさせるという実践があります。

ノーベル物理学賞で話題になった青色LEDも、どんな製品に使われているか調べてみるのを皮切りに、
  • その製品が使われることでどんな利益を人々にもたらしたか
  • それ以前にはどんな問題があったか
という具合に考えていけば、様々な仕事やそこに携わる人、その仕事に救われる人、…今まで想像もしなかった生き方が頭に浮かんできます。

生徒が個人やグループでそれぞれ研究した成果を持ち寄れば、社会をより深く、広く理解するための発想と知識の拡充が図れそうです。


❏ 行動してみることで偶然との出会いが増える

如上の体験を通じて見つけた「とりあえず面白そうな学問や職業」を、そのままゴールにさせるということではありません。

 ■ ゴールを決めて最短距離?

社会の変化が急速に変化する中、小学校入学から大学卒業までのわずかな間に3分の2の職業が別のものに置き換わるという予測もあります。

しかし、将来が予測できないからといって立ち止まっていたところで、何も新しいものが見えてきません。動いてこそ見える景色があります。

ちょっとでも面白いと思ったものを、少し本腰を入れて調べてみることで、追い求めてみるに値するものを見つけ出していくことが大切です。

計画的偶発性理論(スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提案したキャリアに関する考え方)では、個人のキャリアの実に80%が偶然によって形成されます。

面白いと思えるもの、追究したいと思える対象を多く見つけ出した生徒ほど、自分に合った将来に出会う可能性が大きくなるのだと思います。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一


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