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zoom RSS 宿題をやってこない生徒への対応(その2)

<<   作成日時 : 2014/10/23 07:25   >>

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宿題をやってこなかった生徒に対してなすべきことは「反省を促すこと」 だけではありません。

たとえ期日に多少の遅れがあったとしても、最終的に宿題をきちんとやったという状態まで導くことこそ、優先すべきだと思います。

どんなに優れた課題を用意しても、生徒が仕上げ切れないのでは効果にはつながりませんよね。むしろ、仕上げ切らずに放置する姿勢を「学習」させてしまうばかりです。

また、、授業準備を整えずに教室に来てしまった生徒に対して本時の学習に欠かせない最小限の土台をその場で整えることも忘れてはなりません。

「仕上げ切らせること」、そして「その場で必要なレディネスを整えさせること」 の2つこそが、未履行者への指導において最優先するべきことだと思います。


❏ 定期考査の成績不振者にも

少し話がずれますが、如上の2要件は、定期考査で成績が振るわなかった生徒に対する指導においても、満たすべき事柄です。

中間試験や期末試験で一定の点数が取れないということは、それまでの授業への取り組みや定期考査対策に足りないものがあったということ。そこで身につけるべき知識や理解は、学習が次に進んだ時に欠かせない前提ですから、きちんと学び直しをさせる必要があるのは当然です。

でも、基準点未到達者を対象にした補習や宿題ばかりでは、どうしてもペナルティ色が強く出るものです。生徒にとっては「やらされ感」 はあっても「学ぶことへの自分の理由」 は持ちにくいのではないでしょうか。

補習に参加した生徒が、次の考査でもまた補習に引っかかるようであれば、学ぶ姿勢も学ぶ方法も改めることができなかったということであり、補習そのものの効果を疑ってかかるべきです。

失敗した考査への手当て(間違い直しなど)に意識を偏らせるのではなく、次の機会での行動を支えることにこそ注力すべきと考えましょう。

補習の場に生徒を集めて、授業で一度教えたものを改めて教え直したところで、彼らがうまくキャッチアップするとは限りません。「補習に呼ばれたからやむなくその場で時間を過ごした」 というだけの認識にとどまる可能性も十分にあります。

中間試験で基準点に達しなかった生徒には、次の期末試験で考査対策のための自主勉強会に参加させるという方法を採っている学校があります。

前回の反省や、きちんとできなかったことへのうしろめたさは、生徒当人も感じ取っているはず。それを次へのバネにさせ、具体的な行動につなげる場として有効に機能しているようです。


❏ 必要なのは“教えられ直し”ではなく、自ら行う“学び直し”

定期考査のやり直しでは、問われていることは既に一度教えたこと。正解を導く材料は生徒の手元に揃っているはずです。教科書やノートを頼りに生徒自身が自力で正解を作ることを中心に据えるのが好適です。

ただし、これだけでは理解を伴わない答えの丸暗記に終わる危険があります。

間違え直しができたかどうかでは、理解しているかどうか確かなところはわかりません。「習ったものを別の文脈・ケースに当てはめてみて、正しい結果を得ることができるか」 で理解が進んだかを確かめることが大切です。

補習の効果を測定するためにも、類題や新しい設問を用意しておきましょう。

真面目に補習に取り組んでも、その類題/設問に自力で答えを導けない生徒もいるかもしれません。補習においても、教えあい・学びあいの要素を取り込みたいところ。「学び方」や「取り組み方」 を学ばせる好機です。

先生方も、自クラスの生徒をそれぞれに面倒を見るのでは、手間も時間もたいへんです。対象となる生徒を一か所に集めて、先生方は輪番で支援・監督に当たるというスタイルを採ることで、チームとしての負荷総量を下げることが、指導を継続するうえでの大切な要件だと思います。


❏ 課題ありきの授業設計で、履行と達成の可能性を高める

さて、宿題/課題の未履行者への対応に話を戻しましょう。

宿題をやってこない生徒への対応を考えるとき、実際にその場に臨んでどうするかという発想だけでは、どうしても後手に回ってしまいます。

抜本的な解決には、宿題の履行率そのものを、あらかじめ高めておくことが大切です。履行率が上がれば、未履行指導の対象者も減りますので、個に応じた策を講じるのも容易になるはずです。

生徒が宿題をやってこないのには、理由があります。

一つめは、宿題そのものが快体験と結びつかず、やろうという気分にならないこと。ここでは、前回の記事で書いた通り、学んだことの活用機会として宿題を位置づけるとともに、発表や討論などの活動機会を用意しておくなどの教える側での工夫が求められます。

もう一つは、宿題をやろうと思ってもできない状態、すなわち宿題となった課題の達成可能性が十分に確保されていないことです。10のことを求めている課題を与えておきながら授業で8しか教えていないでのは、残りの2を補えない生徒は、宿題を完成させることができません。

授業終了後に与える課題を明確に意識し、その解決に必要なもの(知識、理解、手順への習熟、さらには不足する情報を参照する方法の周知なども含みます)を、授業内できちんと整えることです。課題ありきで授業を設計するという発想を教える側はしっかりと持ちましょう。


❏ 授業終了時に行う”宿題の読み合わせ”で、もうひと押し

授業を終えるに当たって宿題の読み合わせを行う(=まずは授業でしっかり教えて、終了5分で仮のアウトプット)をお奨めしたいと思います。
授業終了5分前になったら、宿題を示して本時の学びと結びつけながらポイントを確認していきましょう。そこまでの板書を辿り直しながら、「ここのポイントはなに?」「どうしてこの手順を選んだの?」 など、思考のプロセスを発問を通じて再認識させていくのが好適です。

学んだことを改めて俯瞰し、理解を整理する機会になるとともに、目の前にある宿題に正解を導くプロセスを生徒自身がイメージできるようにしていくことを意図しています。「こうすればできそうだ」、あるいは「なんだ、こんなことか」という展望や勝算を描ければ、「やってみようか」という意識に転じていくのではないでしょうか。

「終了前5分間で行う仮のアウトプット」 を実際に試していただいたクラスでは、宿題の履行率に上昇が認められたほか、授業外学習の平均時間が1日あたり30分未満の生徒の比率が大きく下がりました。


その3に続く

教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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宿題をやってこない生徒への対応
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