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zoom RSS 宿題をやってこない生徒への対応(その3)

<<   作成日時 : 2014/10/24 04:43   >>

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宿題や課題の履行率を高めるためには、宿題/課題を快体験の源にしていくことと、課題ありきの授業設計で達成可能性を高めること、さらには、授業終了時に行う宿題の読み合わせで、“正解を導ける自分”を生徒にイメージさせることなどが、有効な方法になりそうです。

とはいえ、それでも全員が宿題をきちんとやってくるという状況を常にキープできるとは限りません。仮にやってきたとしても、その完成度には差があり、形だけにとどまって、学びの内実を伴えていない生徒だっています。


❏ やってきた生徒の成果を共有して、当座の手当てを

この状態のまま、授業に入ってしまっては、前提の整わない生徒は十分な学びを積み上げられません。後になって、未到達者への再テストや補習が連発を余儀なくされては、生徒も先生も疲れてしまいます。

宿題をやってこなかった、すなわち、授業準備を整えてこなかった生徒に対しても、授業の冒頭で最小限の手当てを施す必要があります。

別稿で触れた導入フェイズで行う理解度の確認と、板書による前提理解の固定という手法がまず採るべきものです。

これに加え、きちんとやってきた生徒の成果を他の生徒にもシェアさせる、という方法も併用していきましょう。

授業準備で求めたことを使った、簡単な課題を導入フェイズで与え、それぞれに考えさせたうえで、生徒同士で互いに教え合わせるという方法を取っているクラスがありました。

教え合わせることは、意識下にくすんでいた理解を言語化を通じてよりはっきりさせるということです。ラーニングピラミッドの底辺(=効果最大)にも「他人に教えること」 がありますよね。

きちんと授業準備できていた生徒の成果をできなかった生徒に共有させることで、スタートラインをある程度まで揃える効果があるようです。


❏ 全員起立からスタートさせるバリエーション

この方法には、面白いバリエーションがあります。イデア教育研究所の湯浅俊夫代表に教えてもらった方法(ゆあさ注:この方法の原型は、筑波大学付属小学校の桂聖先生から教えていただきました)です。

最初、全員に起立させ、授業準備が整っていれば大抵は答えられる簡単な質問を投げかけ、答えがわかった生徒は着席するように指示します。

答えが見つからない生徒には、調べたり、座っている生徒に尋ねて考えるよう指示を出し、答えに行き着いたと思ったら着席します。

授業者はこのときの様子をよく見ておき、早めに着席した生徒を指名して、答えを確認し、それを土台に本時の学びを展開していきます。

こうすれば全員が自分で答えを見つける努力をすることになります。さらに、授業者は見つけた答えをさらに深める問いを発します。

こうすれば、わかっていた生徒も、自分の理解を言葉にして表現することで確認し、教えられた生徒もいい加減な理解ではすまされないことがわかり、次の問いで理解をより深めることができるのではないでしょうか。


全員起立からスタートするアクティビティは、英語の音読などでもよく見られますが、生徒の動きが大きいため、全体の状況を教える側が捉えやすいという利点もあります。


❏ 導入・展開・演習・まとめの固定サイクルからの離脱を

宿題をやってこなかった生徒への対処法を3回に亘って考えてきましたが、さらに打てる手もいくつかあります。

ある日の授業で学んだことが、その日で完結するでは面白くありません。

回次をまたいだ重ね合わせをきちんと作ることにも注力しましょう。重要な考え方に触れ直す機会を作ることで、知識の定着が図られるだけでなく、前回に学んだことを別の角度で捉えなおすことは、意味の拡張(多面的に対象を理解したり、他の知識との組み合わせに気づくこと、など)を体験することで対象への興味を押し広げます。

授業の展開パターン2つ
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別稿「結論を出さずに終える授業」 もご参考にしていただければ光栄です。

問いに答えを出してしまうと、生徒の側では「答えはこれか。あとはテストまでに覚えるだけ」 という意識が生まれ、それ以上考えることをやめてしまいます。

正解を示して、本時の学びを確定しようという意図が、かえって生徒の思考をストップさせています。大切なことは、学習の総量(=生徒がどれだけ思考を重ねたか)であり、それを大きくするためにどうしたらよいかを、授業設計の根本思想とすべきだと思います。

その日の授業で考えるために必要な材料をしっかりと与えたら、問いを示して「次の授業では、これについて考えてみよう」 と締めくくるのも、有効な手立てとなり得ます。



❏ もう一つの手は、複線的な課題の付与

クラスの全員が到達してもらいたい最小限の知識・理解を確保するための必達課題と、余裕のある生徒に対する挑戦課題とを、並行して用意しておきましょう。生徒の状況に応じた、できるだけ大きな達成感を与えることが、それぞれの生徒の別腹を無理なく大きくしていきます。

理解したことを言語化する機会を整えることが学力向上に資するとの研究もあります。言語化+複線的という2つのキーを手掛かりに、実際の教室で試していただいた方法があります。別稿「ひとつの課題から複線的なハードルを作る」をご高覧いただければ光栄に存じます。

上位生を意識しては、大半の生徒には手が出なくなりますし、真ん中に合せては上位も下位にもぴったり来ない…。ひとつの課題を用意して、全部をカバーしようとする発想そのものにこの問題の根っこがありそうです。

本時の主眼を、アウトプットのための課題に置き換えるときに、ハードルの高さを複線的に設けられれば、かなりの部分で問題が解消できそうです。

本時の授業をきちんと理解していたかを試すアウトプット場面では、授業冒頭に提示しておいた問いに答えを書かせる「言語化」が有効です。

しかしながら、ある程度の長さ(字数)でしっかりと文章にまとめるのは、成績上位者にはチャレンジングでも、中下位の生徒には厳しいものがあります。



教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一


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宿題をやってこない生徒への対応(その2)
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