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zoom RSS 先に控える選択の機会をいつ認識させるか

<<   作成日時 : 2014/10/03 06:57   >>

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進路指導計画を作るときも、それに基づいて実際の指導を行うときも、先に控える選択の機会をどのタイミングで生徒に認識させるかは、様々なことを想定して決めていくべき重要事項です。


❏ 予告が早すぎては、今やるべきことが疎かに

タイミングが速すぎては、今やるべきことに集中しなくなってしまい、そこで得られるはずの成果を逃します。

逆に遅すぎれば、準備を整えないまま選択に臨ませ、「とりあえずの選択」 で先の可能性を狭めるリスクを招き入れることになります。

選択に臨む準備の総量は、密度×時間です。

短期間で一気に準備させるのが良いものと、他の活動を妨げない程度の強さで意識させることで長期間かけてじっくり考えさせるのが好ましいものとがありそうです。


❏ 重大な選択こそ、ゆっくり時間をかけて意識を重ねて行く

両者を組み合わせ、序盤はゆっくり、後半は加速して(=密度を高く)という戦略もあり得ます。

個人的には、重大な選択こそ、無理に密度を高めずに、少しずつ意識を重ね塗りしていくのが良いと考えます。

ボンヤリとながらでも意識さえしていれば、情報に触れたときのレスポンスは違ってきますし、多くの情報に触れる中で、徐々に認知の網がしっかり張れてくれば、自ずと選択に向かうプロセスは加速します。


❏ ひとつの選択が、次の可能性の広がり方を変える

文系か理系か、あるいはどの科目を履修するかといった選択は言うまでもなく、小さな選択であってもそこでの結果は、先の可能性のあり方を変え、次の選択に小さからぬ影響を及ぼします。

たとえば、2年生の夏に予定されている大学のオープンキャンパス訪問。少しでも進学への意識を高めてくれれば、という期待で大学に足を運ばせることにもリスクはあります。

どこを訪問先に選んだかによって、受けた刺激や気づきは異なりますよね。

そこで見たもの、感じたものが違えば、判断や思考の拠り所は違ったものになり、その後の進路選択のプロセスがあるべき姿から遠ざかってしまうことだってあり得ない話ではないはずです。


❏ ひとつに視線を奪われると他の可能性を見なくなる

見聞きしたものを気に入ってしまったら、そちらに関心が集中する分、他の可能性を考えなくなることもあります。

認知の網に大きな穴が残り、見落としていることに気づけないことにもなりかねません。

様々なものを知った上で、ひとつを選んだなら問題はありませんが、十分に調べ、様々な可能性を吟味する前に[魅力的なプレゼン」 に触れてしまうのは、大きなリスクを伴います。

学部学科調べや、系統別ガイダンスなどでも注意が必要です。広く調べてから、興味を持ったものをさらに深く知るために利用すべきものでしょう。

様々な学部・学科のうちからいくつかを選んで話を聞かせたり、調べさせたりすることは、その方向への意識を強めることにはなりますが、同時にほかの方向へ意識を向けなくなることを助長します。

他のことを調べるよりも、イメージできたことを実際以上に良いものと思い込むほうが、ヒトの頭は楽をできるのかもしれませんね。広げる段階を先に踏ませることが肝要ということになりそうです。


❏ コース/履修科目の選択は後戻りしにくい分岐点

文理選択や履修科目選択となれば、もっと大きな分岐であり、選んだ結果を後で修正するのは大きな負担を伴い、選んでしまったものの先にしか将来を考えられなくなりがちです。

選ぶことを求める前に、どれだけ真剣に考えさせておけるかが、リスクを最小限に抑える唯一の方法です。

教える側は、様々な経験を通して、こうしたリスクを直感的に知っていますが、選択の機会を経験したことが少ない生徒はそうとは限りません。

日常を過ごす中で、様々なイベントが目の前に現れ、それを選択の機会と認識させておくのが肝要です。

情報収集、整理、評価を十分に行わないまま選択に臨んでは、知らないうちに自分の可能性を狭めてしまいます。

進路指導で育む“選択の力”で述べたように、「とりあえずの選択を許さない」 ことに注力したいものです。


❏ 先に控える選択の機会を早くから認識させる

こうした問題を解決、あるいは低減するためには、進路選択までの工程をあらかじめ生徒にきちんと理解させておくこと、そして「次に控える選択」 の意味にしっかりと向き合わせることが大切です。

年間行事予定を配ってあるといっても、頻繁に取り出してみている生徒はそう多くはありません。

向こう3か月分ほどを抜粋して進路通信に掲載して配布時に話を聞かせるなど、生徒の意識からこぼれないように相応の機会を作りましょう。

11月に学部学科ガイダンスが予定されているとしたら、2学期の始まりにはその予告を改めて行い、生徒の意識の上層に取り出しておくようにしたいものです。

意識している間は、関連する情報や刺激に対する感受性が高まります。生徒同士の会話にもそうした話題が上りやすくなり、相互に刺激を及ぼしあうことも期待できます。


❏ 相互刺激を利用して立ち止まっている生徒を動かす

意識の立ち上りが鈍いと思ったら、ホームルームなどで時間を作り、「どんなことを調べているか」「どんなところで判断がつかずにいるか」 を発言させてみるのも良いかもしれません。

他の生徒が、どんなことに向き合っているのかに触れることで、立ち止まっていた思考(選択に向かうプロセス)を再始動できる生徒も出てくるはずです。



選択に必要な情報の入手や整理、吟味や思考に必要な時間をきちんと想定し、中間での修正に充てるプラスαを組み込んで、予告のタイミングを逆算して決めていくようにしたいものです。

先に控える選択の機会を予告してからの生徒の意識変化を見守りながら、最適なタイミングと中間指導のあり方を探っていくことが、次年度の指導をより良くするのに不可欠です。

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一


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