分業で行う出題研究のフィルタリング
授業内外に用いる課題に、生徒が志望する大学の入試出題から引いた問題を用いることで、様々な効果が得られます。
今学んでいることが、どのような問われ方をするのかを知れば、学び方にも方向性が得られますし、解けたことで、自分の進路希望が「努力の及ぶ範囲」 にあると感じることからの好影響も小さくありません。
過去問から好適な問題を選び出して授業に用いるためには、出題研究の充実が欠かせませんが、先生方がお一人おひとりで進めるより、教科の中での分業・協働で進めた方が、はるかに効率的です。
また、教材としての入試問題の扱いかたを考える上でも、多くの先生方が発想と意見を交換し合うことで、より良い方法も生まれますし、実際に使ってみて得られた知恵を伝えることにも大きな効果が期待できるのではないでしょうか。
記事を全面リライトしました。2017-07-20
「分業で行う出題研究のフィルタリング」 を全面的にリライトいたしました。お時間の許すときにご高覧ください。
全面リライトに際しての追記:
教科書を丁寧に教え、そこに書かれている事柄を一つひとつ理解させていくというだけのアプローチでは、学ぶことへの自分の理由や、自分なりの目的意識をもった授業参加を促すことは難しそうです。
生徒は、解くべき課題を通じて学習目標を認識します。学びを経て解を導くべき適切な課題が導入フェイズで示されることで、問題意識も刺激されますし、不明に気づけばそれを解消したいとの意欲も芽生えます。
授業内のターゲット設問に持ち込まれた課題が、自分が目標とする大学群の入試過去問だったら、さらに大きな効果も期待できるのではないでしょうか。
しかしながら、過去問演習を授業に取り入れればそれだけで良い、すべての問題が解決できるという単純なものではありません。入試問題を授業の教材に使うときに は注意しなくてはならないことも多々あります。
高大接続改革を目前に、入試問題も大きく変わってきます。従来の感覚だけを頼りに、授業を設計しては、目指すべき方向と生徒を導いている方向とがずれてくる可能性も否定できません。
教科書を使って今教えていることが、どのように問われるのか、どんな使い方を求められるのか、常に認識を更新し続ける必要があり、その唯一の方法は出題研究だと思います。
多忙を極める日々の校務の中で、出題研究に投じれる時間は限られます。教科内での協働によって、出題研究の範囲を広げ、より良い授業の実現に、その成果を活かしていくことが求められています。
5月に新共通テストのモデル問題も発表されました。2020年の入試に初めて挑む生徒が来春には高校に入学してきますので、態勢を整えるのはまさに今ではないでしょうか。
■ご参考記事:
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一
今学んでいることが、どのような問われ方をするのかを知れば、学び方にも方向性が得られますし、解けたことで、自分の進路希望が「努力の及ぶ範囲」 にあると感じることからの好影響も小さくありません。
過去問から好適な問題を選び出して授業に用いるためには、出題研究の充実が欠かせませんが、先生方がお一人おひとりで進めるより、教科の中での分業・協働で進めた方が、はるかに効率的です。
また、教材としての入試問題の扱いかたを考える上でも、多くの先生方が発想と意見を交換し合うことで、より良い方法も生まれますし、実際に使ってみて得られた知恵を伝えることにも大きな効果が期待できるのではないでしょうか。
「分業で行う出題研究のフィルタリング」 を全面的にリライトいたしました。お時間の許すときにご高覧ください。
- 分業で行う出題研究のフィルタリング(その1)
今、教えていることがどう問われるのか
好適な出題例は、本時の学習目標を示すのに使える
課題ありきで授業を設計すれば…
目標大学の過去問を解けた経験が、自信とやる気に
好適な出題例の収集・蓄積は、教科内の協働で - 分業で行う出題研究のフィルタリング(その2)
課題を与える以上、達成させるのが責任
問題を解いておかないと授業の設計はできない
補うべき学力のタイプにより、選ぶべき学習活動が違う
出題研究はどのタイミングで行うか
進路希望に照らし、効率的に出題研究を進める - 分業で行う出題研究のフィルタリング(その3)
最初のフィルタリングは分業で効率化
良問に絞り込んで、授業設計に時間をかける
それでも入手できる問題にはできるだけ自分の目を通す
どこまで出題研究の対象を広げるか
過年度の指導経験を活かし、初期のストックを増やす - 分業で行う出題研究のフィルタリング(その4)
大問ごとにインデックスを与えるところから
教科書をはみ出す部分の大きさを評価
注目すべき部分には、付箋を貼ってコメントをつける
インデックス値を参考に、総合的な評価を与える
フィルタリングを終えたら、意見交換と詳細検討 - 分業で行う出題研究のフィルタリング(その5)
「S評価」 が確定した問題はマイルストーンに
課題ありきでの授業設計&指導計画
タイミングを外してしまうと獲得できるものが小さくなる
協働での学び方、汎用スキルの獲得状況なども踏まえて
誰を対象に課題として与えるか - 分業で行う出題研究のフィルタリング(その6)
必要に応じて問題を加工、教材としての好適性を確保
定期考査にも積極的に組み入れていく
正答率で行う中間検証、比較して好適指導の抽出と共有
指導を通じて得た所感は、メモに残す
校外のネットワークを使い協働で行う出題研究
協働は負担を分散し、仕事を楽しくする
全面リライトに際しての追記:
教科書を丁寧に教え、そこに書かれている事柄を一つひとつ理解させていくというだけのアプローチでは、学ぶことへの自分の理由や、自分なりの目的意識をもった授業参加を促すことは難しそうです。
生徒は、解くべき課題を通じて学習目標を認識します。学びを経て解を導くべき適切な課題が導入フェイズで示されることで、問題意識も刺激されますし、不明に気づけばそれを解消したいとの意欲も芽生えます。
授業内のターゲット設問に持ち込まれた課題が、自分が目標とする大学群の入試過去問だったら、さらに大きな効果も期待できるのではないでしょうか。
しかしながら、過去問演習を授業に取り入れればそれだけで良い、すべての問題が解決できるという単純なものではありません。入試問題を授業の教材に使うときに は注意しなくてはならないことも多々あります。
高大接続改革を目前に、入試問題も大きく変わってきます。従来の感覚だけを頼りに、授業を設計しては、目指すべき方向と生徒を導いている方向とがずれてくる可能性も否定できません。
教科書を使って今教えていることが、どのように問われるのか、どんな使い方を求められるのか、常に認識を更新し続ける必要があり、その唯一の方法は出題研究だと思います。
多忙を極める日々の校務の中で、出題研究に投じれる時間は限られます。教科内での協働によって、出題研究の範囲を広げ、より良い授業の実現に、その成果を活かしていくことが求められています。
5月に新共通テストのモデル問題も発表されました。2020年の入試に初めて挑む生徒が来春には高校に入学してきますので、態勢を整えるのはまさに今ではないでしょうか。
■ご参考記事:
- 高大接続改革に向けて今できる準備
- 考察: 大学入学共通テスト&高大接続改革
モデル問題(共通テスト)を見て #1国語
モデル問題(共通テスト)を見て #2数学
新共通テストの採点基準~正しく適用できる力
高大接続改革では"探究活動"と"行動評価"にも注目