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zoom RSS 進路指導で育む“選択の力”

<<   作成日時 : 2014/12/29 10:06   >>

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進路指導は、生徒一人ひとりに資質や志向に合致した進路を決定させることを目的として行うものですが、この目的を達成する過程で生徒が身につけるものは少なくありません。

進路指導は、「進路選択に進ませるプロセスの中で“選択の力”を養うための指導機会」 と考えることもできそうです。


❏ 高校卒業の時点で作る答えは暫定的なもの

高校生の目に見えている世界は、非常に限られたものです。大学に進学し、社会に出て、新しい扉を開けるたびに、広大な世界が眼前に広がります。

希望の学部に進んでも、実際に授業を受けてみたら、それまで考えていたのと違う、自分には合わなかったというのだってごく当たり前のことでしょう。

また、社会の変化が加速する中、将来のゴールを定めて最短距離を歩いても、到達したとき既にゴールが輝きを失っていることだって十分にあり得ます。

高校卒業時に作った答えは「暫定的」 なもの、先に進んで作り直されるべきものと考えるのがよさそうです。


❏ 選択に本気で向き合うからこそ身に付くもの

しかしながら、暫定的だからと言って、いい加減に取り組ませてはいけません。

その後の選択肢が配列を変えますし、何より、自分の進路を選び出す過程でこそ学べるものがあるからです。

「習作」 に本気で取り組まなかったら、いつまでたっても本物の作品は作れません。本気になってもがく中で、はじめて次のイメージが浮かびます。

生きていく以上、選択の機会は絶えず訪れます。そこで正しい行動を取れるか、選択の力を発揮できるかは、生き方を大きく変えます。

進路を選ぶプロセスを通じて「正しく選ぶための方策」 を生徒自身に学ばせること。これこそが、進路指導の目的とするところだと思います。


❏ 調べる力、情報を評価する力

進路指導(=進路意識形成プログラム)の中には、学部・学科を調べたり、様々な職業を比較してみたりする場面があるはずです。

自分の将来を左右しかねない状況での調べ学習ですから、当然ながら真剣さは違います。

解らないことがあっても適当に放置しても困らない場面と違い、「ひとつの方法でわからなければ、他の方法を試す」 という智恵も使うはず。

また、集めた個々の情報について「信頼に足るものか」 も考え始めます。

生徒が通り一遍に調べてきたものを「ご苦労さん」 と受け取っては、こうした機会を逃します。

見落としているところ、おざなりにしているところを「突っ込む」 のが教える側の仕事。ときには、きちんと調べて他の生徒の成果に触れさせて、相互啓発を促すことも必要でしょう。


❏ 向き合わざるを得ない状況が、多様性や判断力を養う

多くのものから1つを選び出すときには対象をよく知らなければなりませんが、単に調べるだけでは、一つの側面からしか物事を見ていないかもしれません。

見落としていた別の側面に気づくには、周囲(特に大人や先輩)の考えに触れて、それまでの自分の考え方を相対化しなければなりません。

進路調べや進路選択の中で、異なる立場や経歴、考えを持つ人と交わることで、モノの見方の広がりを感じ取ることは、多様性を身につけていくことにほかならないのではないでしょうか。

多様な見方ができるようになれば、どこに軸足を置くか(=自分にとって価値を置くべきことは何か)を知ることになり、判断力も身についていくはずです。

単なる調べ学習では、選択や判断という要素はなく、自分のこととして向き合わざるを得ない進路選択だからこそ、こうした資質・姿勢を獲得するまたとないチャンス。好機を逃さないようにしたいものです。


❏ とりあえずの選択を許さない、という姿勢で指導に臨む

はじめて臨んだ選択の機会に取った行動は、その後も繰り返されがちです。

よく調べず、考え尽くすことなく行った「とりあえずの選択」 を見逃したり、許してしまったりでは、生徒は、次に控えるもっと重要な局面で、同じような行動をとってしまうかもしれません。

授業で問題演習をしているとき、選択肢のすべてに目を通さないうちに、あるいは十分な吟味もしないまま、感覚的に「正解」 を選んでいる生徒には、「それではだめだ」 と指導しますよね。

進路指導だって同じです。いい加減に書いた進路希望調査をそのまま受け取ってしまっては、指導の機会を逸します。


❏ 自分を知り、偶然との出会いを招き入れるために

眼前に迫る進路選択は、生徒にとって他人事で済ますことができないものですが、重たい課題だけに、向き合うことをためらったり、先送りしたり、その重さから逃れようとする生徒もいます。

向き合わずにいたら、自分がどんな価値観を持つかに気づくこともできません。

様々な価値に触れ、自分がそれにどう反応するかを客観的に見てこそ、自分がどんな人間なのか(資質や志向を備えているのか)を知ることになります。○○適性テストなどの結果を参考にするのは結構ですが、…。

何よりも、先に進まなければ、クランボルトが言うところの「偶然との出会い」 もありません。

向き合おうとせず、先送りしようとしている生徒がいたら、見逃すことなく、選択に至るプロセスを一段ずつしっかりと踏ませていきたいものです。


 ■進路決定までのプロセスを正しく踏ませる
 ■考えさせ表現させた先に〜当事者としての覚悟と行動
 ■大きな分岐(選択の機会)を前に整えるべき指導機会


その2に続く

教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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