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zoom RSS 進路指導で育む“選択の力” (その2)

<<   作成日時 : 2014/12/30 07:35   >>

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生徒にとって重大事である進路選択。自分の今と将来に向き合わせる中で、“正しく選ぶ力”を身につけさせようというのが、前稿(その1)の主旨でした。 進路指導を通じて、どんな成長を生徒にもたらすことができるのか、もう少し考えてみたいと思います。


❏ 進路指導を通じて養う「汎用スキル」

職業調べや学部・学科研究は、たいていの学校で進路指導に組み込んで行っていますよね。

この中で、「情報収集」 の方法を学びますし、集めた情報を分類し、関心を軸にまとめていくことで「情報整理」 の方法も実地に学ぶ機会を得ます。

情報をレポートにまとめさせたり、進路希望形成の過程を文字に起こさせることで表現力・言語能力も育まれるでしょう。

また、集めて整理した情報を前におき、それを正しく「価値評価」(=判断)する場面も作れます。

自分がどのような行動を取るべきか、どのような選択をすべきかを考えるときには内省(=内に向けられた「批判的思考」)の訓練も行われます。


❏ 進路意識の形成プロセスは、探究そのもの

フィールドワークや研究論文といった「探究活動」 を教育の軸に据えて、汎用スキルの形成を図っている学校も増えてきました。

如上の学校では、所期の成果に加え、進路意識形成にも大きな効果をあげているように見受けられます。

 ■探求型学習を使った進路指導#INDEX

しかし、わが身に降りかかる一大事である進路選択は、生徒にとって重要な「探究」 にほかなりません。

特別な探究プログラムが未整備の学校でも、進路指導を通じて同様の教育効果を狙うことも出来そうです。

カリキュラムマネジメントという視点からは、似たような活動を統合することも教育リソースの最適配分に欠かせない発想です。

進路指導を選択の場とだけ捉える場合と、進路探究を通じて汎用スキルを形成する教育機会と捉える場合とでは、効果も違えば、運用法も異なるはず。生徒の取り組みを観察するときの視点も違ってきますよね。


❏ 探究スキルの土台は教科学習指導で作る

調べが中途半端、調べる方法が身についていない、コピペばかりで自分の意見がほとんどない、…。たとえ選択の結果が妥当であっても、こうした様子を見かけたら「指導の機会」 として見逃さないようにしたいものです。

問いかけを通じて、不足や矛盾に気づかせ、書き直し/再提出を通じて生徒自らに直させていきましょう。

また、資料や外部の情報を活用した「調べる能力」 などの探究スキルに不足が見られる場合は、教科学習指導の場で補っていくことが大切です。

学校生活の大半を占めるのは授業であり、その中で少しずつ着実に積み上げるものは、長期に亘るとはいえ不定期になりがちな進路指導での成果より大きいはずです。

教科の学習が、話て聞かせてわからせるということの繰り返しでは、汎用スキルは見につかないかも。解決すべき課題を与え、生徒自身にやり方を考えさせることに注力する必要がありそうです。

 ■学習方策は課題解決を通して身につく
 ■指示を的確にこなす生徒〜それだけで良いのか?
 ■目標理解と活用機会を整える授業デザイン


❏ 探究のきっかけを作るのも教科学習指導

何より、情報を集めようとする起点である「興味・関心」 は、その大半が教科学習指導の中で作られるはずです。

学んだ結果、何かができるようになったという経験が興味を生み出しますが、対象を絞らず、偏りなく、且つ強制的に学ばせることができるのは、高等学校を卒業するまでの期間に限られます。

認知の網を、偏りなく広く張るのがここでの目的。5教科7科目に挑ませることの意味 は国公立大学への合格者数を増やすことだけではないはずです。

面白いと思ったものを追究する先には、実現したいことが見えてきて、その中にやがて進路希望が作られて行きます。

興味を持てないものが増えるにしたがって選択の幅は小さくなり、生徒が自らの資質や志向に合致する将来に出会う可能性が失われていきます。


❏ 「就活エリート」を他山の石に

昨今、「就活エリート」という言葉を耳にします。エントリーシートの書き方や、面接での受け答えに、まるで受験勉強のような努力を重ねて有名企業に入社していく学生を指しますが、その原因には偏狭なキャリア意識が存在するとの分析(『就活エリートの迷走』(ちくま新書:豊田義博著)もあります。

選択の力、選択に至るプロセスを正しく踏む姿勢は、高校在学期間だけで身につけ切れるものではありません。

しかしながら、生徒が初めて経験する「大きな選択」である大学受験(あるいは専門学校進学や就職)に際し、正しい選択のプロセスを経験させず、間違った行動を取らせてしまったとしたら、…。

その後の行動に「悪しき原型」 を作ってしまうリスクを、教える側は常に意識しておきたいものです。

 ■考えさせ表現させた先に〜当事者としての覚悟と行動
 ■社会が取り組む課題を軸にした学部・学科研究


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一



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豊田 義博

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