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zoom RSS 探究型学習を使った進路指導(その2)

<<   作成日時 : 2015/03/13 07:31   >>

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探究型学習が、キャリア教育の一部をなし得ること、進路指導との一体化を進める必要があることを前稿で申し上げました。しかし、探究型学習にも現場レベルでは様々な課題を抱えているようです。

意欲的な取り組みが多々見られる一方、その方法には最適解が確立/共有されていないことがその一つです。

探究の入り口から仕上げまで、様々な場面に解決しなければならない課題がありますが、最初のフェイズであるテーマ選びは最もやっかいな問題を抱えているように感じます。


❏ なぜこのテーマを選んだのか?

論文/レポートに記載された研究テーマを選んだ動機や理由を読んでみると、その生徒が前年度までに行ってきた研究や調査で知ったこと、感じたことをしっかりと踏まえているものも見られます。

前年度の成果を踏まえてと言っても、単なる延長上に次のテーマを探すということではありません。

調べたり考えたりする中で、関連する事柄に興味を抱き、新たなテーマを設定しているケースもあり、そこには探究を通じた生徒の成長が見て取れます。

それまでに、自分で調べることを通じて知識が蓄えられ、考え続けてきたことで理解が広がりと深まりを得ているはずです。

その中に新たな問題点や解決してみたい課題が見つかれば、それが即ち次の研究テーマです。


❏ 他人ごとではない「自分の問題」としてのテーマを

知識と理解が豊かな領域では、より良質な情報を拾えるようになり、関心の高まりでセンサーも敏感になっているため、些細なきっかけで発想が広がったり、問題を感じっとったりできるはずです。

レポートをまとめ、発表が終わったとたんに「やれやれ、やっと解放された」と思わせてしまったら、せっかくの土壌に種をまかないようなものではないでしょうか。

取ってつけたようなテーマ、ネタに詰まって雑誌の特集記事に救いを見つけたかのようなものでお茶を濁しているケースも少なからず。

他人ごとではない、自分に関わる問題として意識できないようでは、そのテーマに、自分の進路や未来との繋がりはなさそうです。

もしかしたら保護者が口を出してそれに本人も飛びついてしまったのではないかと思わされるものもありました。中には、内輪ウケを狙ったとしか思えないものも・・・。

どうして、そのテーマを選んだのか、その動機こそが大切です。

 ■ 探求活動の目的から考えるテーマ選び


❏ テーマ選びは、過去の学習・経験を振り返ることから

新しくテーマを決めるときは、前年度の課題研究・探究型学習で感じたこと、未解決のままになっている問題意識を掘り起こさせることが大事です。

自分が書き上げたものをもう一度読み直させたり、参考文献を再度読み直させたりするのも良いかもしれません。

先に述べた通り、調査や考察を通じて、他の領域より鋭敏なセンサーを備えています。

提出後の日常の中でも関連することがらの情報にたくさん触れているはずであり、本人が意識していなくても新たな興味が生まれている可能性は少なくありません。

場合によっては、ポスターセッションで目にした他の生徒の発表の中に何かを見つけるかもしれません。


❏ テーマ探しのきっかけ作りが指導者の役割

指導者の仕事の一つは、こうした振り返りと気づきを促すことです。

もう一歩踏み込んでみたら、ぱっと新しい世界が広がるかもしれないときに、壁を叩いてみるきっかけを作ってあげることにこそ、指導者がそこにいる意味があるのではないでしょうか。

もちろん、前年度の研究や学習の延長上、あるいは関連領域に、今年のテーマを置く必要はありません。

あまり広がり(=次のテーマへの起点)が出てこないと判断したら、次のアプローチに移っていきましょう。

ちなみに、入学初年度の生徒は、現在の学校での探究型学習の経験はありませんが、小学校のときの自由研究や中学校での総合学習などは経験しています。これらを土台にすることも可能です。

 ■ 中学での経験を踏まえて考える「高校での探究活動」


❏ テーマ設定の数か月前には準備に着手させる

過去の研究や学習の延長上や関連することがらにテーマを見つけられないとき、「何か考えてね」と突き放すだけでは、建設的な行動を取れない生徒も出てきます。

放っておいた結果が、「とってつけた/自分との関わりが希薄な/単なる義務で取り組むテーマ」になってしまったら、元も子もありません。

テーマ選定の期限から遡って数か月前には、そのスケジュールと記入書式を示し、その場で一度考えさせましょう。

考えさせ、手を動かさせることでセンサーを鋭敏にしておけば、アンテナを高く張る姿勢も生まれ、せっかく触れた有意な情報をスルーしてしまうことも減らせます。


❏ アタマだけでなく手も動かさせる

研究テーマの提出期限が夏休み前だとしたら、1学期が始まる段階でその期限を周知します。

同時に、「これから3か月の間、ニュース、新聞・雑誌の記事、あるいは日頃の生活の中で気になったことがあれば、その都度メモを残すように」と指示を出しましょう。

当然ながら普段の授業で学んだこと、解決策を考えたテーマも、ここで言う「気になったこと」のひとつです。

指示を出したら、その場で間髪をおかずに、思いついたことを2つ3つでも実際に書き出させると、その後がスムーズです。

各教科の宿題と同じです。そのまま家に持って帰るより、その場で入り口だけでも体験させたほうが、「なすべきことへの認識」が高まりスムーズに取り掛かれるようになります。

書き出し終えたら、隣同士で少し話し合いをさせて見ましょう。互いの発想に触れることで、センサーが上手に働くようになります。


その3に続く

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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