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zoom RSS 探究型学習を使った進路指導(その5)

<<   作成日時 : 2015/03/18 05:35   >>

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探究型学習を通じて自らの進路希望を作るに至ったA君が、本シリーズの冒頭で登場しましたが、彼は指導者にも恵まれたのだと思います。

もし、きちんと取り組ませることができず、レポートを書き上げたことを「やっとノルマから解放された」ぐらいの扱いにさせてしまっては、探究した中に自分との関わりを見いだせなかったかもしれません。


❏ 指導の負担は大きいが、それに勝る効果がある

探究活動を進める中、もう一歩踏み出せたら新しい世界が眼前に開け、そこに進路希望を作れたはずというケースは少なくありません。

探究型学習には、総合的な学習の時間を充てているケースが多く、先生方も専門ではない領域での指導に苦労されていることが多いようです。

如上の「もう一歩」を促すタイミングと方法にも、迷いのようなものがあるように見受けられます。


❏ 優れた成果を残した生徒の足跡と、そこでの指導を共有

手探りで始めた指導において、効果的で確実な手法を探り当てるには、試行錯誤の中に見出された成功事例を共有していくのが一番です。

指導者側の行動だけでなく、生徒の行動や途中で見られた変化なども含めて、記憶と記録の中から学べることは多いはずです。

レポートや発表で優秀賞をもらった生徒が、どのような取り組みを重ねてきたか、指導に当たられた先生方はその様子を見てきたはずです。

その記憶を持ち寄って整理し、知見として次の指導に当たる先生方に伝えていきましょう。

ご自身が卒論や修論を書いた経験だけでは、自らの指導のあり方を相対化するだけの材料が揃いません。

特に、探究型学習のでの指導経験が浅く、「指導がうまく行き、十分な研究をさせられた」という実体験に乏しい先生にとって、他の先生から伝えられる間接経験はまさに窮地に注ぐ一筋の光明かもしれません。


❏ 指導の記憶を共有して、成否の違いを探る

うまく行ったケースにだけフォーカスを当てても、何が奏功したのか特定に至りません。うまく行かなかった生徒との違いにこそ注目するべきことがあるはずです。

両者を比較しながら、探究活動の各フェイズでどんな違いがあったかを言語化できれば、局面ごとに何に注意して生徒の取り組みを観察すれば良いかが見えてきます。

OKとして良い行動と、突っ込んで改めさせるべき行動との見極めができる、つまりは「行動評価の規準」を持つことができるはずです。

充実した探究型学習プログラムを備えているかに見える学校でも、局面ごとに明確な評価規準が共有されていないことが少なくありません。

生徒の側での成果(レポートの仕上がりや発表の完成度)に現れる大きなばらつきはこの辺りに起因しているのではないでしょうか。


❏ 外から導入する指導法+校内で蓄積された知見

もちろん、先行研究の成果を伝え、そこで確立されたシステムを紹介してくれる書籍もあります。

体系的な知識を得ることも不可欠ですので、しっかりと学びましょう。

お時間が許すなら、拙稿"PPDACサイクルを用いた課題研究"も併せてご高覧ください。何かのお役に立てば幸甚です。

しかしながら、学校ごとのプログラムや生徒の状況、前年度までの成果の如何など、その学校に合ったものを作っていくには書籍から得られる知見だけでは不足があります。

自校における生徒を実例とした、現場での経験からの学びが必要です。

校内の“優良差分”にこそ倣うべき知見があるのは、学習指導や生活指導に限ったことではありません。探究型学習の指導においても同じです。


❏ 指導法を考える前に、評価方法の定立を

優良実践の抽出と共有と言っても、評価規準が明確にされていなければ、「優良」の選び出し方そのものが恣意的になってしまいます。

別稿「評価方法の再整備〜高大接続答申から」でも述べた通り、生徒を導き、成長させるためには評価方法の確立が欠かせません。

探究型学習プログラムで養うべき様々な能力・資質・姿勢についても同様です。探究型学習(課題研究等)の成果をどう測るかは、先生方の協働で研究を急がなければならない課題です。

探究学習のプログラムをこれから導入する学校では、まずは体系的にまとめられた書籍を一冊、指導に当たる先生全員が手元に置くようにしましょう。署名下に紹介した2冊はおススメです。

当然ながら、本は持っているだけでは、枕の代わりにすらなりません。

探究学習のプログラムがフェイズを進めるたびに読み合わせを行い、指導の手順や方針、こだわるべきところを確認することが大切です。


▶ "社会が取り組む課題を軸にした学部・学科研究" に続く。

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一



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