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zoom RSS 探究型学習を使った進路指導(その1)

<<   作成日時 : 2015/03/12 10:18   >>

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探究型学習を通して、興味を持てる学問・研究や社会の取り組みを見つけ、そこから具体的な進路希望を作っていく生徒がいます。テーマに沿って広く調べ、考察を深めていく中で、学んでみたいこと、研究してみたいことを見つける可能性は低くないはずです。

職業をターゲットにして逆算的に作ったルートに乗せる指導に限界が見える中、キャリア教育を補完する、あるいはその一部を置き換えるものとして、探究型学習の可能性は大きく広がっているように思われます。

 ■ カッコつきの“キャリア教育の充実!”に思うところ


❏ 職業をターゲットにするのはリスクが大きい

以前に起した拙稿"ゴールを決めて最短距離?"で書いた通り、多くの職業が数十年も待たずに新しいものに置き換わると予想されています。

そんな変化の激しい社会で、適職診断などを頼りに職種・業種を絞ってそこに至る最も効率的なルートを探すという考え方には、出口をふさいでしまう危険性すらあるのではないでしょうか。

また、職業調べ、適職診断など、キャリア教育の一環として用意されている指導機会は益々充実、というか肥大化しています。

生徒が使える時間にも、先生方のお仕事量にも限りがあります。ここから先、更に何かをプラスするという手法には無理があるはずです。

与えられる情報が増えれば、ハンドリングも困難になります。

使いこなせずに流されては本末転倒。じっくりと取り組む活動を中心に、しっかりと向き合わせることが大切です。

 ■ 進路指導計画の体系化とスリム化


❏ 一般入試でも志望理由が問われる時代へ

間近に迫る高大接続改革では、一般入試でも志望理由が問われることが増えてくるはずです。

後付けの理由では、なぜこの学部に志願したのか説得力をもって伝えることは難しそうです。

その対応を取るためにも、探究型学習を3ヵ年の教育プログラムにしっかり組み込むことが欠かせないことの一つになると考えられます。

探究型学習とキャリア教育の一本化を図ることで、重なりをうまく利用しつつ、無駄をできるだけ減らした効率的な時間の使い方を考えていく必要があるのではないでしょうか。


❏ 進路意識を作る機会としての探究型学習の可能性

実際のところ、探究型学習はどの程度までキャリア教育の機能を引き受けられるかという不安もあろうかと思いますが、これまで各地での事例を見てきた限りでは、かなり期待してよさそうです。

ある学校に在籍する生徒の一人(以下A君)は、「ゲーム理論」 をテーマに研究を行い、その難しさとともに応用性の高さを知りました。

応用例のひとつとして国際紛争の解決に思い至り、そこから「○○大学の国際関係学部に進み、ゲーム理論に基づく国際問題解決手段を学んでみたい」 と思ったそうです。

興味を起点に、学びたいことが生まれ、それを学べる環境に自らをおくことで更に拓ける世界が生まれる。

まさに、クランボルツの計画的偶発性理論のいうところそのままです。

A君は、大学で国際関係を学び、そこでまた新しい気づきを得て、自分のキャリアを作っていくことと思います。

キャリアデザインとは、どんな職業に就くかではなく、「人生をどのように積み上げるか、その中でどのように教養を重ねていくか」であると考えれば、探究型学習こそがキャリア形成の第一歩ではないでしょうか。


❏ 探究型学習と進路指導・キャリア教育の一体化

しかしながら、前述のA君も、進路希望を書面にして提出する機会がなかったら、自分の中に生まれた興味を進路希望という形に転化・具体化できなかったかもしれません。

進路希望調査という指導機会があったからこそ、言語化を通じて自らと向き合うことができ、如上の「転化」を促した部分もあるのではないでしょうか。

探究型学習と進路指導・キャリア教育は一体で設計・運用されてこそ効果を得ますが、少なからぬ学校で、探究型学習は教務部が、進路指導は進路部が、という分業体制になっています。

こうした従来型の分掌構造が、一体化を妨げているケースも少なくないように思われます。教育活動のあり方が変われば、組織と校務のあり方も変わっていくのが必然かもしれません。


その2に続く

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一




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