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zoom RSS 復習の目的と課すべきタスクの考え方

<<   作成日時 : 2018/10/25 06:02   >>

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予習は「授業で学んだ方法を試して身につける場」と捉えて生徒に課すべきタスクを選択する必要がありますが、復習もまた、単に「習ったことを忘れないように反復する」というだけの場面ではないはずです。
  1. 習ったことを振り返って理解に欠け落ちがないかを確認する
  2. 順番に教わってきた事柄を整理し直して理解の統合を図る
  3. 学んだことを様々な課題に適用してみて、その意味の拡張を図る
  4. 授業中に疑問/興味を感じたところを自ら調べ、理解を広げる
といったところにも復習という活動の目的があります。

2015/04/15 に公開した記事をアップデートしました。


❏ 習ったことを忘れないようにするには反復+活用

記憶は、Registration(記銘)、Retention(保持)、Recall(想起)という3つの過程からなり、記銘(符号化)を繰り返す中で記憶はしっかり保持(貯蔵)され、必要に応じた想起(検索)が可能になります。

忘却曲線を引っ張り出すまでもなく、学習から時間が経過すると記憶は薄れていきますので、忘れきってしまう前に再記銘の機会が必要です。

しかしながら、再記銘の方法は「覚え直す」だけではありません。

記憶を手繰り寄せる(=獲得した知識を活用する)機会さえあれば、敢えて「覚える」という味気ない作業に頼らずとも再記銘は図れます。

知識の使い方への習熟と、記憶の強化を同時に狙った方が、効率ははるかに高い上、関連項目との関連付けも図れるため、記憶を想起する手掛かりも増えるはずです。


❏ 授業を終えるときの振り返りが復習/再記銘の1回目

忘却曲線によれば、記憶の42%が20分後に失われ、1時間後には56%が消えてしまいます。終業のチャイムが鳴った段階ですら、授業の冒頭で扱ったことはその半分が消えている計算です。

まずは、授業が終わってカバンに教材をしまう前に、ひと通り見直しをさせたいところですが、「見直しなさい」という指示だけでは、目的とするものがないだけに漫然とページをめくって終わってしまいます。

質問を引き出す〜学びを深め、広げるために同(続編)で申し上げた通り、毎回の授業を終える場面で、「学習した範囲から問いを起こすこと」を生徒に求めてみるのも効果的です。

質問をするということは、疑問点や「その先を覗きたい箇所」を探すことにほかならず、当然ながら、ノートや教科書、プリントを見返すことになります。

ここでしっかり振り返りをさせておくと、宿題を持ち帰っていざ取り組もうとしたときになって、わかないことが残っているに気づき途方に暮れることも減るはずです。


❏ まとめ直しの作業を通じた知識の整理と理解の統合

授業の中で順番に一つひとつ学んできたことを、別の形にまとめ直して構造化させてみることも、理解の統合を図るのに効果的です。

サブノート式のプリントを用意しておき、授業では空所を埋めずにしておき、家に帰ってから教科書・ノートを参照しながら穴埋めをしていくことを宿題にしている授業がありました。

構造化されたフレームの中に授業で学んだ用語を配列してみたり、説明文を完成させてみたりすることで、個々の知識は互いに関連をもち、全体像を作ります。

英語や古典の授業でも、文法項目や重要語法について「まとめシート」を作らせても面白いと思います。

例文を中心に据えて、押さえておくべき事柄を説明文として周囲に配置したり、注意すべき点を添え書きすることで1枚のプレゼンテーションに整えるというイメージです。

提出させたものから優秀賞を選び、クラスを跨いで他の生徒の目に入るようすれば、「こんなまとめ方もあるのか」と相互啓発も働きます。


❏ 学んだことを用いて解決する課題を与え、仕上げさせる

冒頭の3.にある「学んだことを様々な課題に適用してみて、その意味の拡張を図る」ことには特に注力が必要と考えます。

授業中に理解したことを元に課題に解を導き、それを表現することは、高大接続改革や次期学習指導要領で最も重視されるところです。

振り返りのためのアウトプットの機会がなければ、生徒は自分が正しく理解しているのかも確かめられませんし、学んだことで自分にできることが新たに増えたとの実感は次の学びへのモチベーションになります。

本時の学びを俯瞰し得る問いや課題を用意し、それに取り組ませることが如上の機会を整えます。学習目標は解くべき課題で示す必要がありますので、如上の問いや課題は導入フェイズで予め示しておきましょう。

答えを仕上げる中で学びは深まることを念頭に、そうした場面をしっかり作るのが指導者の仕事の一つです。協働学習を"集団としての調和"で終わらせないためにも、仕上げの場はきっちり整える必要があります。


❏ 興味を起点に知の水平を広げ、探究で深めさせる

一般的な括りで言う「復習」には含まれませんが、探究から進路へのきっかけを作るプラスαの一問も生徒に与えてみたいところです。

教科書内容を飛び出し、他の教科・科目とも関わる問いは、調べ学習や探究活動の好適な入り口です。興味に従って調べたり考察してみたりする中で、生徒は新たな気づきを得て、興味はさらに広がっていきます。

探究活動のテーマ選びの助けにもなるでしょうし、興味を掘り下げ押し広げた先には、大学で学んでみたいことや、学んだことを通じて社会と持つ接点を見出していくことも期待されます。

なお、知識をどこまで拡張するかは個々のニーズに合わせてというのが原則です。如上の一問は、あくまでも生徒が興味に従って任意に取り組むことにしないと、必要としない宿題が膨らんで、仕上げ切れないで放置する生徒を増やすばかりです。

その3に続く

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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