新学期はじまりの行事が一巡して、本格的に授業が始まる頃かと存じます。これと並行して学級経営も大事なスタートを迎えます。 日直や係の仕事は、生徒一人ひとりにクラスというコミュニティの中で、それぞれの役割を引き受けることを学ぶ大切な機会です。 うまく利用すれば、様々な汎用スキルやリーダーシップ/フォロワーシップも身につけられるはずです。学力の第3要素である「協働性・多様性・主体性」 を学ぶ上でも絶好のきかいではないでしょうか。 ❏ クラス間の差が出やすいところ 授業評価アンケートと一緒に、「学級経営評価」をオプションで利用いただいている学校があります。 下のグラフは学級経営評価の1項目である、【係の仕事】「学級の係は、それぞれがきちんと必要な役割を果たしている」の結果です。 「どちらかと言えば」 という但し書きつきのものを除いた“積極的な肯定”が全回答に占める割合を、クラスごとに調べて10%刻みのヒストグラムにしてみました。 一見してわかる通り、肯定的な回答が半数にも満たないクラスから90%を大きく超えるクラスまで、その分布は広く及びます。 この広がりかたは、授業評価アンケートにおける「板書」や「説明」といった一般的な項目に比べると格段に大きいものです。 教科学習指導においては、研究授業や相互参観などの研修機会が用意されているのに対し、学級経営は担当する先生の経験則に任されていることも、差異の拡大に拍車をかけていると思われます。 しかも、ホームルームは全クラスで同時に行われており、分掌プロパーや副担任の先生以外は、自教室をほっぽりだして他の教室を覗きに行くこともできません。 ❏ まずは、係の仕事をしっかり定義 それぞれの係が、どんな仕事を期待されているのか、定義がなされていなければ、生徒も戸惑うばかりです。 そんなことまでやる必要はないと勝手に決め込むことあれば、やった方が良いと思っても、ミッションとして明示されていないだけに、手を出して良いものか判断がつかないままということもありそうです。 前述の通り、日直や係の仕事は、クラスという社会/コミュニティの中で、自分が引き受けるべき役割を果たすことで、協調や責任感を学ぶ場です。単なる雑用の引き受け手ではないはずです。れっきとした教育の機会と考えるべきではないでしょうか。 先生の側から、仕事を事細かに指定するよりは、係の中で議論をさせて、自分の係がどんな仕事を行い、クラスに対してどのような貢献をするのかを考えさせましょう。 また、係の中での分担を考えさせたり、仕事の進め方を工夫させたりすることも、協働のあり方を学ばせる好適な機会になるはずです。 係どうしで、引き受ける仕事の範囲を調整させることも、利害の対立を解消する方策を学ぶ好機になりそうです。 クラスが一つの課題に向かってまとまりを作る機会としての学校行事と並んで、係の仕事も重要な教育機会です。 ■関連記事: 係や当番で社会性を育む
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生徒意識アンケートD 係や当番で社会性を育む
学級を組織する上で、一人ひとりが役割を持つことが重要です。ホームルームは生徒にとって最も基本的なコミュニティ。その中で、どんな役割を引き受けるのか、どんな貢献をするのかを考え、行動を起こしていくことは、社会性を身につける最初の訓練です。 ...続きを見る |
現場で頑張る先生方を応援します! 2015/06/11 07:21 |
学級経営、生徒意識の把握
1 授業評価アンケートと同時に行う調査1.1 学級経営を定量的にとらえて知見の共有を 1.2 授業のこと以外にも尋ねておくべき“生徒の意識” 2 アンケートで探る“学ぶ側の認識” 2.0 アンケートで探る“学ぶ側の認識” (序) 2.1 アンケートで探る“学ぶ側の認識”(その1) 2.2 アンケートで探る“学ぶ側の認識”(その2) 2.3 アンケートで探る“学ぶ側の認識”(その3) 2.4 アンケートで探る“学ぶ側の認識”(その4) 3 学級経営に関する評価項目3.1 生徒意... ...続きを見る |
現場で頑張る先生方を応援します! 2017/01/20 07:39 |
エジプトで始まった日本発の”トッカツ”
少し前ですが、民主化以降不安定な情勢が続くエジプトで、社会の秩序を保つのには若者の教育が欠かせないとして、規律や協調性を重んじる日本の特活を取り入れる試みが始まっている、との報道がありました。 ...続きを見る |
現場で頑張る先生方を応援します! 2017/02/01 06:21 |
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