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zoom RSS 生徒の状況を把握した上での授業進行

<<   作成日時 : 2019/04/22 07:45   >>

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生徒一人ひとりが現在どのような状況にあるのかを把握することの必要性は言うまでもありません。確認が不十分であれば、次の段階に進める状態になっていない生徒を置いてきぼりにすると同時に、先に進む準備ができている生徒を立ち止まらせてしまい成長を遅らせます。

教える側では十分に状況を把握して進めているつもりなのに、生徒の側では「まだ準備できていないのに先生はどんどん進んでしまう」と感じていることもありますし、わからないでいるところを捉え損ね、わかりきっているところで立ち止まらせたり、的外れなアドバイスを与えたりしてしまうこともあるのではないでしょうか。

2015/05/28 公開の記事をアップデートしました。

授業評価項目[実技系]B 生徒の状況把握
先生は、生徒の状況をよく把握しながら授業を進めてくれる

如上の質問を通して、生徒側での認識を確かめるのは、教える側と学ぶ側の認識のずれを解消するために欠かせません。双方の認識のずれを放置しては、個々の生徒に対する的確なアドバイスも、限られた指導時間で最大の成果を得る授業デザインも実現から遠のきます。


❏ 状況把握を徹底すれば説明や指示の伝達も確かなものに

下の散布図2つは実技実習系の授業のデータ(n=849)をもとに作成したものです。横軸には如上の質問に対する回答分布から換算した得点率(満点=100)を、縦軸には、別稿で扱ったポイント説明行動指示における得点率を配しています。

画像

双方のグラフで高い相関が確認できますし、一見しただけでも、状況把握(生徒理解)が不十分な授業では、ポイントの説明も行動の指示もうまく機能していないことがわかります。

状況をこまめに把握することで、伝わっていないことに気づき、伝え直したり伝え方を改めたりすることができるということです。

伝えたつもりになっているのを防ぐためにも、生徒の状況をこまめに把握することが欠かせません。伝わっていないことに気づくことは伝達スキルを高めるための課題形成の機会です。


❏ 説明・指示への「期待する反応」と照らして観察

ポイントや指示の説明をして練習や作業に着手させたら、まずは期待した通りの行動を生徒が取れているかを、その場ですぐに確認するようにしましょう。

戸惑っている様子や期待と違う行動が見られたら、直前に行った指示や説明に改めるべき部分があった可能性を疑ってみるべきですが、単なる「言葉足らず」では片づけられないケースもあります。

それまでに生徒が理解している/出来るようになっていると、教える側が想定していたことが、生徒の実態とずれていたのかもしれません。

こうした問題には、前回までの授業での生徒観察が不十分だったことが遠因にありますが、まずは、その場での修正を試みることが先決です。
  1. 全体での作業・練習をストップさせて説明をやり直すか、
  2. 戸惑っている/間違っている生徒に個別に声を掛けるか、
  3. あるいは生徒相互の点検を呼びかけ、自己修正を促すか
どのパターンで行くかは、期待通りの行動を取れている生徒の割合を見て、的確に判断するようにしましょう。そのまま進められる生徒がいるのに全体を止めてしまうのは得策ではありません。


❏ リフレクションの結果を参考に生徒理解の精度を高める

生徒一人ひとりの状況を正確に把握するには、練習や作業に取り組む生徒の活動を観察するときの精度を高める必要があるのは言うまでもありません。

しかしながら、多人数が一斉に活動する実技実習系の授業では、生徒一人ひとりに目を届かせるのは容易ではありませんよね。

生徒自身が前回までの授業でリフレクションシートに書き込んだ「自分の課題や進歩」に目を通すことで、どこに焦点を置いて観察すべきかアタリをつけておくのは如何でしょうか。

eポートフォリオの活用が本格化すれば、授業中に手元のタブレットPCでそれまでの記録を確認しながら、生徒の行動を観察することもできるようになるはずです。

観察の焦点さえ決まれば、一人ひとりに的確な声掛けもしやすくなりますし、ある生徒がそれまで苦労していた場面で上手にできたときにも見逃さずに評価してあげることも容易になるはずです。

頑張っているときに、それを認めてくれる声がけがあれば、生徒もやる気が出るというものです。

 ■ リフレクションシートの記載を参考に観察精度を高める


❏ チェックリストを用いた状況の客観的な把握

指導者の認識と学習者の認識のずれを埋めるには、生徒が自らの取り組みやパフォーマンスをどう評価しているのかを知るのが前提要件です。

練習に取り組むときのポイントやより良い作品を作るために必要な要件をチェックリストのように書き出しておき、それに照らして、生徒に自己評価をさせてみましょう。

チェックリストは先生が予め用意するのでもかまいませんが、授業が進む中で一度立ち止まり、そこまでの先生からの説明や生徒自身の気づきを、生徒の手でまとめさせるという手もあります。

生徒たちの手によるチェックリストと先生がイメージしていたもののずれ、あるいはチェックリストに照らした自己視点結果と先生の目による評価とのずれは、教える側と学ぶ側の認識の違いを表しています。

こうしたズレの検知を繰り返すことで、生徒の学習行動を観察するときの視点の最適化、観察の精度向上が図れるはずです。

また、こうした機会を重ねることで、生徒が自分で状況を把握し、ゴールに近づくルートを自分で設計できるようになっていけば、学習者としての自立にも着実に繋がっていくのではないでしょうか。

メタ認知を作るには、"振り返りを通じた課題形成"が欠かせませんが、振り返りに用いるモノサシを用意することはその大前提です。


◆ 改善のための必須タスク:

説明や指示に対し生徒が想定通りに反応しているかこまめに点検しましょう。点検が疎かでは伝わっていないことに気づく機会を逃します。先に進めないでいる生徒には課題を分割したりハードルを低く設定したりする必要があります。また、進歩が見える生徒には次に挑むべき課題を示すことで立ち止まらせないことが肝要です。


◆ さらなる改善を目指して:

生徒の状況を正確に把握するには、観察の視点をあらかじめ設けておくのが肝要です。生徒に期待する行動や出来るようになって欲しいことを、複数の習熟段階に分けて具体的に書き出しておくようにしましょう。各ステージへの到達割合の変化・向上をもって、指導の改善を図ったときの効果測定にも用いることができるはずです。




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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一



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