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zoom RSS ひとつの課題から複線的なハードルを作る

<<   作成日時 : 2015/06/26 06:34   >>

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クラス内の学力差は、大きくなることはあっても、なかなか縮まることはありません。「どのレベルに合せて授業をすれば良いのか」というお悩みは、多くの先生に共通するものでしょう。授業の進め方以外にも、どんな課題を与えるかは厄介な問題です。

上位生を意識しては、大半の生徒には手が出なくなりますし、真ん中に合せては上位も下位にもぴったり来ない…。ひとつの課題を用意して、全部をカバーしようとする発想にこの問題の根っこがありそうです。

本時の主眼をアウトプットのための課題に置き換えるときに、ハードルの高さを複線的に設ければ、かなりの部分で問題が解消できそうです。


❏ 例えば、本時の内容理解を試すアウトプットで

本時の授業をきちんと理解していたかを試すアウトプット場面では、授業冒頭に提示しておいた問いに答えを書かせる「言語化」が有効です。

しかしながら、ある程度の長さ(字数)でしっかりと文章にまとめるのは、成績上位者にはチャレンジングで好適なものであったとしても、中下位の生徒には厳しいものがあります。

そこで、取り入れたいのは、同じ問題に対してガイドの強さを数段階で設けることです。

「○○について80字で論じなさい」といった問いに対して、
  • 全くのガイドなしで生徒が自力で文章を構成するAタイプ
  • キーになる部分だけを文に近い形で書き上げるBタイプ
  • 重要語句をサブノート式に埋め込むだけのCタイプ
を1枚のプリントに収めてしまうというものです。


❏ 解答方式で難易度を分けて高難度から順に配列

並べ方は、Aタイプが一番上、次がBタイプ、一番下にCタイプです。

プリントの構成

課題の配列というと、なんとなく"簡単なものから難しいものへ"という固定観念がありますが、最もガイドの弱いAタイプを最上段に置くところが、このプリントのみそです。


❏ 生徒は自分の実力に合せて課題を選択

実際の教室で様子を見ると、その科目が得意な生徒は、中段・下段を下敷きなどで隠してヒントになるようなものを見ないようにしています。

少しでも自信がある生徒には、よりチャレンジングな課題に挑みたいという意識が働いているのでしょう。

一方、それ以外の生徒たちは、最上段を一応見て、「だめだ」と判断し、中段に目を移します。そこで少し考えてみて、やっぱり無理かなと思えば、一番下の穴埋めCタイプに手をつけます。

自分に手が出る範囲で、最もチャレンジングなものに挑みたいというのが、普通の反応のようですね。何とかなりそうなら、より強固な達成感を得たいと思うのが人の本能かもしれません。

仮にズルをして、中段や下段を参考にしつつ、最上段を解いたような顔をした生徒がいたとしても咎める必要はありません。

少なくとも、Cタイプを埋めるのと同じことはやっていますので、それなりに復習効果はあったはずです。ズルをしたことは本人が一番わかっています。ここは敢えて責めずに、かわいい奴めと大目に見ましょう。


❏ 手間はかからず、且つ応用できる場面は広い

この課題プリントは、内容説明や要約といった記述・論述タイプの設問をベースに作るのが普通ですが、それ以外にも、英語のリスニングで書き取らせる部分の長さを変えるなど、様々な場面に応用できます。

最初に先生の側で模範解答を作っておけば、重要語句を空所に変換するだけでCパートが完成、もう少し広い範囲を消去(スペースに置換)して下線を補えばBパートが出来上がります。

Aパートに至っては語数に合わせたマス目を作るだけです。ワードでプリントを作るなら、[挿入]→[表]→[表の挿入]で、列数・行数を指定すればOKですね。

プリントを作るたびに同じ作業ルーティンが適用できるのは、面倒を減らす上でも助かります。

学力差に合せて複数の課題を用意するのはたいへんです。ひとつの資産(ここでは最初に作る「模範解答」)は広く流用しましょう。

■ご参考記事
  1. 知識をどこまで拡張するかは個々のニーズに合わせて
  2. しっかり負荷をかけてこそ学びに十分な手応えが
  3. 難易度をどう考え、どのように調整するか
  4. クラス内で生じた学力・学欲差への対処法
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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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