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zoom RSS 授業のこと以外にも尋ねておくべき“生徒の意識”

<<   作成日時 : 2015/06/04 05:09   >>

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2016-08-03 全面リニューアル


授業評価アンケートの質問文は、学習指導で実現すべき状態をイメージして、生徒が成否判断できる文章(=評価規準)に起こしたものです。

集計結果は、目標までの距離を以って授業改善の課題形成に、また以前のデータとの比較を通した改善行動の効果測定に活用すべきものです。
もう一方で、学級経営の状態は、教科学習指導の効果も大きく左右することが、データの蓄積からわかってきました。


❏ 学級経営や好適資質の獲得で生徒の意識を尋ねるのは…

例えば、下の質問リストの6番目「成長の場」 は、授業評価の「授業をうけて学力や技能の向上、自分の進歩を実感できるか」 との間に、通例 0.8 前後に達する強い相関が見られます。

また、「成長の場」 は5番目にある「係の仕事」 とも強固な相関を示すなど、教室を互恵意識と相互啓発で結ぶために必要な事柄は様々です。

こうした項目を継続的に改善していくには、学級経営や好適資質の獲得についても評価項目を置いて、アンケートで生徒の認識を確かめる必要があります。


❏ 教育・学習環境の改善のために行う多面的評価

学習の結果は測定項目を明確にしたテストで測り、生徒の活動は規準に照らした観察によって測定します。これに対して、アンケートが担うのは、「生徒の意識そのものを把握する」 という部分です。

これら3つのツールを組み合わせて利用しない限り、学習活動の多面的な評価はできず、教育改善に向けた課題形成と効果検証に、十分な指標が揃わないことになります。

改善課題を見落としたり、共有すべき校内の優良実践に気づくことで、学校全体でより良い指導に近づいていくチャンスをつかめるということですね。

 ■ご参考: 評価、考査、成果検証 (記事まとめ)


❏ 学習環境や資質・姿勢の獲得についてもアンケートで

生徒意識アンケートは、HRを中心とする学びのコミュニティへの満足度や課題意識を尋ねる前半部分と、生徒自身の成長・変化に関する自己認識を尋ねる後半部分から成り立っています。

教科学習指導の効果をより高めるためには、学級経営の改善を進める必要がありますし、生徒一人ひとりが好適な資質を備えていく様子を把握しないことには、校内の効果的な指導法も共有できません。

学校評価アンケートを行う際に同時にアンケートを取ることもできるはずです。しっかりと現況把握を行い、優良実践の共有を進めていきましょう。

また、ホームルームの状況は、各教科担当者からの働きかけによるところも小さくありません。3単位以上の授業を担当していたら、学級担任より長い時間をその教室で過ごしますよね。

学年団と教科担当がスクラムを組む上でも、共通した指標を持つことが大切なのではないでしょうか。あらゆる機会を通じて、「学力の三要素」 を総合的・多角的に確実に身につけさせていきたいものです。

推奨質問パターン(生徒意識:学級経営&好適資質の獲得)

評価項目質問文
【連絡の徹底】ホームルームを通じ、学校からの連絡はもれなく伝えられている。
【期待する行動】担任の先生が生徒にどんな行動を期待しているか、はっきり理解できる。
【公平な指導】担任の先生は、生徒の言い分によく耳を傾け、公平に接してくれる。
【整理整頓】教室は、いつも整理整頓され、勉強に集中できる環境が保たれている。
【係の仕事】学級の係や当番は、それぞれがきちんと必要な役割を果たしている。
【成長の場】私のクラスは、生徒が互いに刺激し合い、ともに成長している。
【相談相手】困ったことや悩みがあるとき、信頼して相談できる相手がいる。
【共生の資質】私は、立場や考えの異なる相手の意見にも耳を傾けられるようになった。
【行動選択】私は、進路のことや今何をするべきかを考えて行動できるようになった。
【規律ある生活】私は、規律ある生活を送るとともに、集団生活のマナーを守れるようになった。


このリストを先生方が手元におき、ときどき自分の担当クラスのことを思い浮かべるだけでも、改善すべき点に気づくことが多いとのお声を頂戴しております。


❏ アンケート項目に設けることで様々なメリット

これまで似た質問でアンケートを行った際のデータを見ると、如上のリストにある項目では、授業評価以上にクラスごとの違いが大きく出ます。

改善点への気づきの遅れが差を拡大する一方、アンケートの集計結果から「内部の優良差分」 を見つけられないことが差の解消を妨げています。

クラス間の差が大きいということは、優れた実践が共有されていないということです。それを探し出して、相互の実践報告などを通じて共有していけば、学校全体での改善が急速に進みます。




「生徒による授業評価&生徒意識アンケート」 では、上記の標準質問に加えて設問を2つ追加できる枠をご用意しております。

学校の教育目的や建学の精神、あるいは導入した新たな試みや重点課題についての評価項目を加えることをご検討下さい。

改善のためにはPDCAサイクルを確実に回すことが重要ですが、先生方が振り返ったり、生徒の意識を尋ねたりする際の項目リストに入っていないと、検証そのものを忘れてまううことだってあります。

手応えをしっかり確かめない取り組みは形骸化も速く、中長期にわたって実現を目指す事柄は、きちんとした評価指標を設けることが大切です。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一



授業評価&生徒意識アンケート

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タイトル (本文) ブログ名/日時
生徒意識調査アンケート@ HRを通じた連絡の徹底
ホームルームを通じて、連絡事項が伝わっているのは当たり前と思われるかもしれませんが、実際にアンケートを取って調べてみると肯定的な回答の割合が50%を切るようなクラスすらあります。 ...続きを見る
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2015/06/05 04:57
生徒意識アンケートA 生徒に期待する行動
生徒にどんな行動を期待しているのか、担任の先生がはっきりとしたメッセージを発信できているクラスと、それが不十分なクラスとでは、他の質問項目にも大きな違いが生じています。期待する行動とは、すなわち「今の段階で、到達を目指して欲しい状態」 であり、授業における学習目標と同じ意味を持ちます。 ...続きを見る
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2015/06/08 06:34
生徒意識アンケートB 言い分に耳を傾け、公平に接する
前稿で取り上げた、「期待する行動」をしっかり伝えることとの両輪をなすのが、この項目です。教える側の思いの強さは、ときに「おしきせ」と生徒の目に映るときもあり、メッセージの発信と生徒の思いを受け止めることのバランスを高い次元で保つことが必要です。 ...続きを見る
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2015/06/09 06:00
生徒意識アンケートC 整理整頓、学びの場の環境整備
教室を整理整頓された状態に保ち、学習の環境を整えているかどうか、当然ながら各教科の学習指導にも影響します。生徒の荷物が通路をふさいでいたら…、机間指導をする先生が荷物を避けたり跨いだり、ペアワークからグループワークに切り替えようと机を動かすにもひと騒動。こんなところで貴重な授業時間は無駄にしたくないもの。 ...続きを見る
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2015/06/10 05:15
生徒意識アンケートD 係や当番で社会性を育む
学級を組織する上で、一人ひとりが役割を持つことが重要です。ホームルームは生徒にとって最も基本的なコミュニティ。その中で、どんな役割を引き受けるのか、どんな貢献をするのかを考え、行動を起こしていくことは、社会性を身につける最初の訓練です。 ...続きを見る
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2015/06/11 07:21
生徒意識アンケートE 刺激し合いともに成長するクラス
相互の信頼関係の中で、共通した目的のもとにクラスがまとまっているかどうかは、学級経営がうまく行っているかどうかを総合的に表す指標になります。前稿までに取り上げた様々な事柄を整備・実現することが前提ですが、その上で、係の仕事や学校行事など様々な機会を通じ、クラス全体が一つの目的に向かって努力する場面を作ることが、 ...続きを見る
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2015/06/12 04:58
生徒意識アンケートF 困ったときの相談相手
困ったことや悩み事があるときの相談相手として友達を挙げる割合が減ってきて、これに代わるように両親(特に母親)を挙げる生徒が増えてきているのが近年の傾向だそうです。 ...続きを見る
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2015/06/15 04:16
生徒意識アンケートG 異なる意見に耳を傾ける姿勢
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2015/06/16 05:15
生徒意識アンケートI 規律ある生活、集団生活のマナー
規律ある生活を送り、集団生活のマナーを守れること。大切なのはわかっていても、そう簡単ではありません。過去にアンケート調査をしたいくつかの学校のデータを見直してみても、肯定的な回答が9割を超えるのはかなり少なく、また中だるみが発生している様子も見て取れます。 ...続きを見る
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2015/06/18 04:39
授業評価アンケートの質問設計〜まとめと追記
昨日まで、授業評価&生徒意識アンケートの質問設計について、それぞれの評価項目に込めた意図や改善のための着眼点などの整理を試みてきました。シリーズで取り上げたのは、標準的なケースを想定した推奨パターンによる質問群です。 座学・講義系の授業での評価項目実習・実技系の授業での評価項目生徒意識調査(学習環境/資質・姿勢の獲得) 学校が掲げる教育目標によって、項目ごとに別のものに入れ替える「調整」が必要な場合もあるはずです。質問文の一つひとつひとつは、学校全体で実現を目指したい「校是たる授業」の... ...続きを見る
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2015/06/19 08:14
授業評価&学校評価
【テーマ別記事インデックス】 ...続きを見る
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授業評価の結果から(記事まとめ)
今期も多くの学校で授業評価アンケートをご利用いただきました。改めて御礼を申し上げます。お預かりしたデータの集計・分析を行いながら、気づいたこと、検証してみたことを当ブログで記事にしてまいりました。わずかでもご参考なる部分があれば光栄です。 ...続きを見る
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生徒募集は、学校の教育について、認知→理解→共感というステップを経て、最終的に選択してもらうことで成立する活動です。認知→理解→共感→選択という4ステップは、学校に限らずすべての広報活動を考えるときの基本スキームです。 ...続きを見る
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授業評価アンケート〜正しい活用と質問設計
2016-05-12 更新 授業に限らず、評価は改善のために行うものです。目標までの差分を明らかにすることで、次に何をすべきかが特定できます。 ...続きを見る
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アンケートで尋ねるべき生徒の意識(更新開始)
2016-07-19 更新開始 ...続きを見る
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7月下旬から進めて参りました、「アンケートで尋ねるべき生徒の意識」 と個別項目に関する記事の更新がようやく完了いたしました。 ...続きを見る
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学校行事が一巡したこの時期に、学校評価アンケートを実施するケースが多いようです。一番の悩みどころは、質問文の作り方。同じことを尋ねたつもりでも、ちょっとした文言の違いで、回答の分布がまったく違ってしまいます。 ...続きを見る
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学校評価アンケートの質問設計
多くの学校で実施されている学校評価アンケート。学校行事が一巡するとともに、来年度の教育活動の計画づくりに着手するこの11月から年末にかけてが実施のピークのひとつのようです。 ...続きを見る
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1 授業評価アンケートと同時に行う調査1.1 学級経営を定量的にとらえて知見の共有を 1.2 授業のこと以外にも尋ねておくべき“生徒の意識” 2 アンケートで探る“学ぶ側の認識” 2.0 アンケートで探る“学ぶ側の認識” (序) 2.1 アンケートで探る“学ぶ側の認識”(その1) 2.2 アンケートで探る“学ぶ側の認識”(その2) 2.3 アンケートで探る“学ぶ側の認識”(その3) 2.4 アンケートで探る“学ぶ側の認識”(その4) 3 学級経営に関する評価項目3.1 生徒意... ...続きを見る
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