活動を配列するときに考えるべきこと(その4)

授業内外に配列する学習活動には様々なものがありますが、いくつかの分類軸を設けてみると整理がつきやすく、すべての活動について配列上の考慮が十分に巡らせることができているか点検が容易になります。

ひとつめは「個人で行うか、ペアやグループで行うか」での分類です。

前者には、練習や演習といった対話の要素を含まないものと、講義を聞いたりする場面での先生との問答や、ほかの生徒の発表を「聴く」場面などの、一対多で行われる対話を含むものがあります。

ちなみに、教科書や参考書を読むのも立派な学習活動ですが、文字を介した対話という点で後者タイプかも。(後掲記事もご参照ください)

もうひとつは、「教室の中で行うか、教室を離れて行うか」です。

前者はイメージもしやすく、授業案を考えるときに先生方の視点から外れることはあまりないと思いますが、後者には、改めて振り返ってみると、これまで十分な意識が向いていなかったかもしれません。

教室外の活動でもICTを活用すれば、グループでの学び合いや協働も可能ですが、こちらは別稿に譲るとして、まずは日々の授業とセットになった予習・復習や宿題でしょうか。家庭学習にも正しい取り組み方をさせようとすれば、その準備や土台作りの指導が欠かせないはずです。


2015/07/07 公開の記事をアップデートしました。

❏ 個人で練習や演習に取り組ませるとき

・課題に挑ませる前に、そこまでの理解を確認

授業内で、練習や演習に取り組ませる場面は多々あります。知識や技能の定着や習熟には欠かせないものかと思いますが、ここでも準備を整えてから取り組ませないと、不明や戸惑いに阻まれて立ち止まっているだけの生徒が出てきます。

課題に挑ませる前には、そこまでの理解をきちんと担保するようにしましょう。例題を解説して概念などを理解させたつもりで類題に挑ませても、例題の解説に不明が残っていたら生徒はその先に進めません。

類題の解き方を考え、隣の生徒に説明させてみるといった小さな活動を挟めば、その様子を観察することで、理解の不備や誤解の存在に気づいてあげることができます。教え合いをしていますので、生徒同士で誤解や不明を解消することもできるでしょう。

説明を黙って聞かせ、そのまま黙って解かせるというのでは、助けを求めるチャンスもありません。机間指導中に生徒の質問に答えるにしても一人に対応していたらあとの39人は順番待ちです。

・練習や演習を終える前に、互いの成果をシェア

また、練習や演習を終えた/途中まで進んだ段階では、それぞれの生徒がそこまでに得た成果をシェアすることも大切です。他の生徒の着眼点や考え方に触れることでの気づきは、学びをより深くしますし、仕上げに向かうにもより良いアウトプットをイメージできます。

 ■ 課題解決の場を整えたら、挑ませる前に理解の確認
 ■ 生徒の答案をシェアして作る学び(相互啓発)

なお、練習や演習は、貴重な授業時間をわざわざ割いてその場でやらせる必要が本当にあるのか、冷静に見極めたいところです。

生徒が個人の学習活動(≒家庭学習)でできることと、教室での対面学習で行うべきところの線引きをはっきりさせることは、教室でしかできない学びを充実させるためにも不可欠です。事前に準備と土台を整えさえすれば、反復をメインとする練習などは、個々の生徒が自分のペースで行った方が効率に勝るかもしれません。


❏ ほかの生徒の発表を聞かせるとき

・ほかの生徒のプレゼンに質問をするというタスク

生徒が個人/グループで取り組んできたことの成果を発表することもまた、重要な「活動」の一つですが、この場面で発表者だけが真剣に取り組み、聞いている側は(おとなしく耳を傾けているでしょうが)目的意識をもった積極的な取り組みになっていないことも少なくありません。

聞く側での参画を促すべく、評価シートなどを配って書き込ませているケースでも、書き出したものには「深い学び」が実現しているようには見えないものが多かったりします。

発表を見せる/聞かせる場面では、聞く側には建設的な「質問」を積極的に発するように求めたいところです。質問を考えるということは、与えられた情報(=ここでは「発表」の内容)に対して問いを立てることにほかなりません。

発言内容に対して「どうしてそう言えるのか」「こういう反論にはどうこたえるのか」などを考えることは、発表されている内容に対して深い考察を与えることですし、そうして生まれた質問は、発表者に戻され、その思考を磨き、深め、広げる働きを持つはずです。

発表の機会というと、ついつい発表者側のプレゼンテーションの内容やスキルにばかり目が行きますが、聞く側の学びや活動にもしっかり目を向けて、どのような活動の場にするかを考える必要があります。

 ■ プレゼンテーション力より質問力

・相互評価や自己評価を通して図るメタ認知の向上

また、せっかく相互評価を行わせても、互いに気を使ったり(空気を読んだり?)してか、シビアなものはなかなか出てきません。それでは発表者も育ちませんし、自分が発表する場に回る時に何に留意すべきかの視点も得られないのではないでしょうか。

相互評価・自己評価は「大切な学びの手段」です。活動の配列を考えるときには、先生がどのように評価をするかに加え、生徒にどんな方法で評価者としてふるまわせるかも考えましょう。

評価者としての視点とスキルを獲得させることは、メタ認知を高めることにほかならず、自律的な学習者に向かわせるうえでも不可欠です。

 ■ 自己評価、相互評価を行わせるときの工夫


❏ 予習・復習、宿題に正しく取り組ませる

授業外の時間に取り組ませる「活動」には、予習・復習、宿題といったものがありますが、これらに取り組ませるにも、きちんと活動に取り組めるだけの準備と土台を整えさせておかないと、やらない生徒、手を抜く生徒、間違ったやり方で成果を結ばない生徒が出てきます。

予習を課すなら、生徒を予習ができる状態にしてから教室を離れさせることが必要です。少なくとも以下の3つは徹底を図りたいところです。

  1. 前提となる知識や理解の有無を授業を終える前に確かめる
  2. 予習する内容に対してウォーミングアップで問題意識を持たせる
  3. わからないことがあったときの参照箇所を確認させておく

2. では、前の授業を終えるときに、次の授業で学ぶテーマについて、ミニディスカッションをしておくのも好適かと思います。3. では、予習のシミュレーションを授業内でやらせてみても面白いかも。

どのクラスでも説明しなければならないようなことは、解説動画に仕立てておき、予習で勉強させておくことだってできるかもしれません。

加えて、予習などを経て、答えを仕上げてくるべき課題をセットしておくことも忘れないようにしましょう。「教科書の〇ページまで読んで、わからないことは調べておくこと」という指示では、わからないところを見つけることすらできないはずです。

一斉休校期間中、課題を出したけど履行率はいまいち、学習内容の理解や定着が進まなかったというケースがありました。詳しくは別稿「休校が続いて、何をやればいいのかわからない?」に譲りますが、根本的な問題のひとつは、如上の「指示の出し方」にあったように思います。

■関連記事:
  1. 対面以外の環境で実現する対話的な学び
  2. リモート学習で「答えが一つに決まらない問題」を扱う
  3. 教科書をきちんと読ませる
  4. 参照型教材を徹底して使い倒す
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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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