小テストをもっと効果的に #INDEX

授業で学んだことをしっかり定着させることを意図して行う小テスト。授業で習って、復習で覚えて、テスト用紙に再現してと、最低3回は対象知識への接触機会を持てますので、再記銘により記憶が保持されやすくなります。

また、覚える練習、思い出す練習は、記憶力そのものを鍛えるのにも欠かせません。知識の定着に加えて、学習に必要なスキル/能力を得ていることにもなります。

しかしながら、短時間で行う小テストでは、記憶と再現、「覚えたかどうか」を確かめることが多く、本当に理解しているかどうかを確かめる機能に欠けがちです。

また、テストという外圧を利用することで学びを習慣化させようとしても、外圧がなくなったときに学び続けてくれるかどうかは疑問です。

小テストのあり方について、その要否まで遡って、どのように利用していくべきか改めて考えてみる必要がありそうです。

#01 小テストをもっと効果的に(その1)
習ったことを覚えたかどうかに偏りがち
"記憶と再現"を、"言語化&知識活用"に置き換え
5分のテストは50分の学びを網羅しない
本時の学びを見渡す"チェックリスト"
正解は配らず、自分で調べさせる

#02 小テストをもっと効果的に(その2)
再テストの繰り返しで、後手のスパイラル
ペナルティで縛るより、知識を活用する場面を作る
小テストはその場で自己添削+相互採点
小テストの点数は平常点に加えるべきか?



重要語句を覚えて答えるだけの場合と、新しく知った語句(=概念)を自分の言葉で説明させる場合とでは、確かめられる理解の確かさに大きな違いがあります。

自分で調べたことを文章にさせる指導や、授業の最後に学習を振り返る活動などが、学力伸長に顕著な効果があるとの調査結果(cf. 書くことと振り返りが学力を伸ばす) を踏まえると、授業で学んだことを振り返って言語化するタイプの課題に切り替えていく方が、好ましい結果をもたらすのではないでしょうか。

こうした課題や活動に振り向ける時間を確保するには、理解や活用と切り離されて覚えるだけの作業は軽くしていく必要があるのではないでしょうか。

覚えたことを使う場面も用意されずに、ひたすら記憶と再現を繰り返していくだけでは、その知識を得たことにどんな意義があるかも実感しにくく、せっかく覚えたことも使わないでいるうちにどんどん記憶から消えていきます。

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  7. 知識をどこまで拡張するかは個々のニーズに合わせて


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一


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