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zoom RSS キャリアは選ぶものではなく重ねるもの

<<   作成日時 : 2015/08/04 05:44   >>

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好きこそものの上手なれ。たしかに一度興味を覚えてしまえば、夢中になって取り組んでいるうちに上達するというのもよくあること。

きっかけとなる興味さえ作れれば、それを突き詰めるうちに、新たな気づきや刺激を受けて、やがては「学びたいもの」 が見えてきて、進路意識が形成されていきます。

 ■総合的な探究の時間
深く学べば、その先にあるものが自分とどう関わるのか考えます。深い学び、主体的な学びの先に、学んだものを介して社会とどう関わるかという進路意識の形成にも繋がっていくのではないでしょうか。

でも、「興味」 を入り口にする指導は必ずしも上手くいくとは限りません。「好きになれ」「興味を持て」 と外から言われても、…そうそう言われたとおりにはならず、言われた方も面食らうばかりですよね。


❏ 努力して達成した中に興味は生まれる

下図のように「興味は、努力して達成した中に生まれるもの」 と考えた方が良さそうです。外から条件を揃えやすい「努力」を入り口にすれば、講じるべき手立てを具体的にイメージできるからです。
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授業を受けて学力や技能の向上(=できることの増加)を実感できると、その程度に応じてはっきりと興味関心が高まることはデータでも確認できています。

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❏ 達成可能で具体的な課題が、努力を入り口にする

努力を入り口にしようとした場合でも、「頑張れ」 と言われただけで頑張れるのなら、誰も苦労はしません。

何を目指しているのか、そのために何をすれば良いのかが把握できて、ようやく「じゃあ、やってみるか」 ということになります。

以下の表は、授業評価アンケートの回答約30,000件をもとに作成しました。

  • 目標提示

    先生は、達成すべき目標やポイントをはっきりと示してくれる

  • 活用機会

    宿題や課題など、習ったことを使ってみる機会が整えられている

という2つの問いに何を選んで答えているかで、
  • 学習効果

    授業を受けて、学力の向上や自分の進歩を実感できる

での肯定的な回答が占める割合が、どう変化するかを調べたものです。

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目標提示が十分になされ、単なる記憶と再現を超えた活用機会としての課題が与えられていれば、学習効果が上がったという意識を明確に持つ生徒は87.4%に達します。

さらに授業内活動に参加して充足感を覚えるという条件が加われば、93.6%(「どちらかと言えば」をふくめれば、なんと99.2%!)の生徒が、学力や技能の向上を実感できたと答えています。

 ■目標理解と活用機会を整える授業デザイン


❏ 興味関心が生まれた先には、進路意識が形成される

目標提示、活用機会、授業内活動の3つは、いずれも指導者がとる行動です。

生徒の側での学力や意欲、その他の事情は影響は小さく、かなりの部分まで教える側の意志と知恵でコントロールが可能なはずです。

各教科の学びや課題研究などを通じて見出した興味の先には、上級学校で学びたいもの、そこで学んだことを通じて社会にどう関わりたいかという進路意識が芽生えます。

進路意識は、別の角度からとらえれば「学ぶことへの自分の理由」 にほかなりません。

生徒が主体的、意欲的に学ぶことを求めるのであれば、まずは教える側が明確な到達目標と活用/アウトプットの機会を備えた授業デザインを実現することが必要ということではないでしょうか。


❏ 面白いものを見つけて追及していれば、また新しい出会いが

努力→達成→興味というサイクルは、ぐるぐるとまわり続けます。面白がって夢中になって頑張っていれば、予想もしなかった面白いことにまた出会います。

これを繰り返していくことは、その人のキャリアそのものではないでしょうか。

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タイトルにも書きましたが、キャリアは選ぶものではなく重ねていくものです。

ゴールを目指して最短距離を歩むような時代・社会でもなさそうです。

 ■ゴールを決めて最短距離?
 ■カッコつきの“キャリア教育の充実!”に思うところ

どんなに一生懸命に職業調べや自分探しをしてみても、もしかしたら目標にしていた職業がこの世からなくなっていることもあるかもしれません。

幸運にも、まだ存続していたとしても、環境や情勢の変化で、今の時代に持ち合わせているほどの魅力や輝きはすでに失せていることだって十分に考えられますよね。

そもそも、18歳までの数年間で考えたことに、20代半ばから何十年も続く後の人生が縛りを受けるなんて、不合理な気もします。



やりたいこと、興味のあることが見つからないことに焦りや悩みを抱える生徒もいますが、ちょっと違うアプローチもあるんだよ、ということを教えてあげる必要もあるのではないでしょうか。

安定性やら年収やら、外における指標だけで仕事を比較しても始まらない気がします。

学力をつけることこそが、“キャリア教育の真ん中にあること”なのかもしれない ── 最近はそんな風に考えています。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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