学校説明会での来訪者アンケート

秋本番を迎え、学校説明会や授業公開など来年度の生徒募集を見据えたイベントが連続します。そこでは、学校側が考える「望まれる学校・選ばれる学校」のイメージをもとに、これまでの取り組みに加えて、今後の教育、学校づくりの方針が示されるわけですが、来訪者の心にどこまで思いが届いたかしっかりと確かめたいところ。

いくら素晴らしい価値を打ち出しても、受験生、その保護者、地域の求めるものとの間に違いがあっては、望んだものと違う結果になるのも当然です。

そこで利用したいのが、学校説明会来訪者アンケート。どの学校でも来訪者向けに質問紙を配って答えてもらっていますが、「戦略的に練られた質問なのか」、「集計結果が次の行動選択に生かされているのか」には、疑問を感じることも少なくありません。

来訪者の求めていたものに応えたか、学校が伝えたかったことが届いたかという2つの面を、それぞれしっかりと意識して質問設計にあたることが肝要です。


❏ わざわざ足を運んでまで知りたかったこと

まずは、来訪者がどんな情報を求めて説明会に足を運んでくださったのかを知る仕組みを調えましょう。知りたかったことは何かを複数選択で尋ね、項目が一致していても「よし、よし、スライドのこの部分で伝えたから大丈夫」と考えるのは早計です。加重や順序が違っていることを見落としていませんか。

前年度までのアンケートの記録や、学校が打ち出した価値、他校のパンフレットなどから、受験生・保護者・地域のニーズを想定して、項目立てを行いましょう。

あまり多くなっては回答する側の負担も重くなります。項目数の上限は15くらいでしょうか。カバーしきれないものは、「その他」として、自由記述にするなど、優先順位に基づき、絞り込みをしっかりと行うことが大切です。

項目(例):
  • 「習熟度別指導や少人数クラス編成などの学習指導体制」
  • 「補習・講習などの進学対策」
  • 「キャリア教育、進路指導での取り組みと成果」
  • 「体験型・探求型の学習プログラムの内容や目的」
  • 「短期留学や語学研修などの国際化教育の在り方」
  • 「学校行事の様子やそこに込めた教育的意図」
  • 「部活動の様子(学業との両立、活動時間、指導体制など)」
  • 「新しい教育への対応」

尋ねる項目が揃っても、質問設計は終了ではありません。集計分析を見越した選択肢の設定も大切です。

リストアップした項目のそれぞれについて、知りたかった度合と、得られた情報への満足度が一致しているかどうかを確かめるべく、一つの設問に以下A、Bの2つの選択肢群を用意するのが好適です。

選択肢群A(4段階または5段階スケール)
「非常に関心があった」⇔「まったく関心はなかった」
選択肢群B(3段階スケール)
「十分な情報が得られた」⇔「情報が大幅に不足している」

来訪者の興味・関心の大きさに比例して、発信する情報の質と量が備わらなければなりません。来訪者の属性によっても関心の所在は異なりますので、属性とのクロス集計も想定しておきましょう。次回以降は、来訪者の属性区分ごとの人数を見ただけでも、情報の軽重がつけやすくなります。


❏ 学校が発信した価値が、どこまで届いたか

尋ねるべき事柄の、もう一つのカテゴリーは、その日の説明会で触れた事柄、つまり学校が伝えたかったことが、どこまで来訪者の心に届いたかです。

パブリックリレーション(PR)の基本的な考え方ですが、何かを選んでもらうときには、「認知」「理解」「共感」「選択」という4つのステージを通過しなければなりません。どこまで心に届いたかは、言い換えれば、4ステージのどこまで通過できたか、ということです。

説明会用スライドで謳った項目の中から特に伝えたかったこと10個程度を選んで、来訪者の反応を質してみましょう。ここでは選択肢の作り方がポイントです。

同じ情報に対しても、「初めて知ったが、共感できた。でも、まだよくわからない」という方もいれば、「前から知っていたし内容もよく分かったけど、共感は覚えない」という方もいます。これらをきちんと分けて集計結果を把握するためには、以下のようなマトリクス型選択肢が好適です

選択肢群C:
 A列、B列、C列のそれぞれについて、よく当てはまる方を1つお選びください。
A列B列C列
はじめて知った 内容がよくわかった共感できた
前から知っていたよくわからなかったピンとこない

集計に際しては、当然ながらクロス集計も必要です。正の字を書いて回答の分布を調べても、項目間の連関まではつかめません。WEB上のアンケートも簡便なサービスを利用できますが、回収率は3分の1以下がせいぜいです。やはり質問紙をきちんと作って、OMRかパンチ入力をするしかなさそうです。



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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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