教科間で行う、課題量の把握と調整 #INDEX

生徒にどのような授業外学習の課題(予習・復習、宿題など)を与えるかで、生徒の学び方が大きく変わります。教室での対面で行う学習活動でやることと、生徒が個々に取り組む学習活動でカバーすることの線引きを曖昧にしては新しい学力観が求める「学ばせ方」も実現しません。

当然ながら、各教科の指導に当たる先生方は、生徒の学力を伸ばすために様々な課題を用意しますが、熱意が行き過ぎて、課題の総量が生徒のこなせる範囲を超えてしまっては、生徒はやり切ることができず、先生方が描いていた「学びの設計図」は形にならなくなりますし、生徒にも仕上げきらないことを習慣化させてしまうなどの弊害が増えます。

先生方から与えられる課題量が、常に一定の範囲に収まってこそ、生徒は残りの持ち時間を「自分が計画した勉強」に充てられ、個々の目的を明確に持った「主体的な学び」も実現しやすくなるはずです。

どのくらいの時間を日々の授業外学習に投じさせるか、根拠をもって目標値を設定した上で、その枠にしっかりと収まるように、教科・科目間での調整も怠らないよう、しっかりと連携していきましょう。

また、総合的な探究の時間が始まれば、そこに充てる時間もより多くなるはず。新課程への移行でカリキュラムの再編が進んでいると思いますが、何を教えるかだけでなく、生徒に何をどのように学ばせるか、そこにどれくらいの時間を投じさせるかも併せて検討していくべきです。

2015/09/10 公開の記事をアップデートしました。


教科間で行う、課題量の把握と調整(その1)
調整は「減らすこと」 に止まらない
・課題量を減らす方向で調整する局面
・増やす方向で調整すべき局面
適切な課題量が学習習慣の確立を助ける
・生徒が個々に取り組む学習活動の充実は最重要課題
生徒が自ら選んで取り組む課題の割合を徐々に増やす

教科間で行う、課題量の把握と調整(その2)
授業外学習の実時間と見込み所要時間の比較
・{実際の学習時間<見込み所要時間}の場合
・{実際の学習時間>見込み所要時間}の場合
乖離の様子は「平均値」ではなく「度数分布」で把握
実際の所要時間の差が、生徒間で過度に大きい場合
課題ごとに所要時間を申告させれば、把握も容易
学習時間の把握は手間は掛かれど、効果≧費用

教科間で行う、課題量の把握と調整(その3)
家庭学習時間の目標値に合理的な根拠はあるか
・平均学習時間と模試などの成績の相関などから
・第一志望に最後まで挑戦し続けた生徒の足跡から
・検証に必要なデータがきちんと揃っていることが大前提
減らす課題/増やす課題の特定にもデータを活用
・課題に取り組んだ分の効果が確認できるかどうか
課題量のリアルタイム把握や行事予定とのすり合わせ



授業外の学習活動に生徒がどのくらいの時間を掛けているかを調べるにも、もはや調査紙に記入させたものを改めて入力してデータ化する時代でもありません。集計だってマクロを組めば工数が大幅に減ります。

教育改善におけるデータの活用は、今後ますます「当然のこと」として求められるようになるでしょうが、「教育ビッグデータ&AIの活用」を一足飛びに目指すより、まずは、こうした身近なところからスタートするのが現実的かと思います。

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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