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zoom RSS 課題の仕上げは個人のタスクに(後編)

<<   作成日時 : 2015/11/10 04:44   >>

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様々な授業内活動を通じて課題解決の糸口を得るとともに必要な材料を揃えたら、仕上げの段階は生徒一人ひとりの個人タスクに戻すべきというのが前編の趣旨です。

活動を通じて深めた学びは、生徒一人ひとりが手元に戻して答案などの形に仕上げてこそ、その成果を自らの内に固定できます。

アウトプットを通じてインプットの不備を知ること、答案としての充足要件に照らして自分が書き上げたものを分解的に評価することを目的とした"機会"を授業デザインに組み込む必要があります。


❏ 自分の答えを、分析的に評価、修正できる姿勢と力を

自分の答えと模範解答の違いを表面的にしかとらえられない状態では、せっかく作った答えを吟味することなく、模範解答に書き換えて覚えるだけという間違った方策を取りかねません。

教室を見渡して、「自分で答えを作ってもどうせ模範解答に書き替えるのだから」と無意識に考えているのか、正解(模範解答)が与えられるのを待つ姿勢が見て取れる生徒はいないでしょうか。

安易に模範解答を示すことが、自分の答えを仕上げる機会を生徒から奪っているかもしれません。また、自分で書き上げたものを吟味する前に先生が朱入れしては、より良い答案に練り上げる練習も積めません。

答案の仕上げに取り組んで残っていた不明に気づけば、自ずとそれを解消しようとする行動もとりますし、その中で調べ方(知識獲得の方法)や不明解消の方策を身につけていきます。

教科学習指導の目的には、学ぶ理由/自立した学習者を育てることも含まれるはずです。時間と手間をかけた丁寧な指導が、意図とは逆の方向に生徒を導くリスクは、常に意識しておくべきだと思います。


❏ 活動そのものも、仕上げとして総括させる

授業内で扱った課題は、生徒が自力で仕上げることが大切ですが、活動そのものについても「仕上げ」を考える必要がありそうです。

やりっぱなしで「今日は頑張った」では、学習者としての成長は不確かなものになってしまいます。

高校教育改革では、教育内容・目的、教育・学習方法に加えて、評価方法も改革すべき事柄に挙げられています。

その目玉のひとつが「ポートフォリオの作成」です。

画像

ポートフォリオを作成する目的は、学びを振り返って達成できたこと、課題として残ったことを生徒自身に認識させることにあります。


❏ 学習行動そのものに到達目標を設定する

ポートフォリオには、
  • 「ラーニング・ログ」(学習記録)
  • 「プラクティス・ログ」(実践体験記録)
  • 「リフレクション・ログ」(省察記録)
などで構成されるのが一般的です。

スクール形式で先生の話を聞くだけ、教えられたことを覚えるだけという学習なら、わざわざ学習記録を残さずとも、どこまで覚えたかをテストで試し、その結果を記録しておくだけで十分でしょう。

わざわざリフレクション・ログを用意したところで、「真面目に取り組んだ」「できた/できない、難しかった/易しかった」というあいまいな自己認識に止まり、得るものは大きくなりません。

ところが、授業内に主体的に取り組むべき学習活動が組み込まれ、協働で課題解決に挑む場面が作られる場合には事情が異なります。

今日の授業でとれた好適な行動を、言葉にして認識しておくことは別の機会で再現できる可能性を高めますし、反省は次の機会でのより良い行動に繋がるはずです。

協働・調べ・発表など様々な活動について、それぞれの場でどんな行動が好ましいのか、どのようなふるまいが期待されているのか、到達目標を示してそれに照らした自己評価に取り組ませる必要があります。

振り返りの機会を持つたびに"好ましい学習行動"を学んでいければ、3年間、6年間での成長はずいぶん大きなものになるはずです。


❏ 放っておいては正しい振り返りができるようにならない

とはいえ、振り返りをさせれば良いというものではありません。

中学や中等教育学校の前期課程では、リフレクションシートを用意して毎時間書かせているケースをよく見かけますが、十分に活用できているかというと疑問もあります。

学びの振り返りには、相応のスキルが必要であり、その涵養に意識的に取り組まなければなりません。

好ましい行動をきちんと評価規準として書き出していることを前提に、それに照らした自己評価を重ねさせることで、徐々に正しい振り返りができるようになっていくとお考え下さい。

ルーブリックの導入と活用も、そろそろ本腰を入れて考えていく必要がありそうです。

 ■ 自己評価、相互評価を行わせるときの工夫
 ■ 評価規準は使いながらブラッシュアップ


❏ 振り返りの共有を相互啓発の機会に

期待される行動は、先生から整理した形で示すだけでなく、生徒同士が互いの行動を観察するなかで気づきを重ね学んでいくこともあります。

むしろ忘れられがちな後者こそ、本当に大切なものかもしれません。そうした気づきの場を意識的に作っていく必要があります。

となれば、振り返った結果をクラスの中でシェアする機会、互いが書いたものから刺激を受ける機会も必要です。

ICTを使えば、わざわざプリントにする手間も省けますし、個人情報の管理も確実に行えるはずです。



活動を通して深めた学びをきちんと仕上げること、仕上げたものに照らして自らの学びを振り返ることは、その科目に対する自己肯定感を高める上で不可欠であるのは、"書くことと振り返りが学力を伸ばす"や、"勉強を好きにさせる学ばせ方"などでご紹介した様々な研究データからも間違いなさそうです。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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