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zoom RSS 過去問演習への取り組ませ方

<<   作成日時 : 2015/11/12 06:30   >>

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受験期に限らず、過去問を授業内外の課題に採り入れることは、「今やっている勉強がどのような場面に繋がるのか」 を知るうえで学習者に大きなメリットをもたらします。

しかしながら、目先のハードルをクリアさせるために単に演習量を増やす、形式に慣れさせるという使い方には少々疑問を感じなくもありません。


❏ 過去問演習がもたらす効果

過去問演習により、学習した項目の一つひとつを活用の場面と照らして理解を深めることも、教科書の記載を超えて意味を拡張して知ることもできます。

高1の生徒にも、本時の授業で扱った項目が、センター試験でどう出題されているかを具体的な問題で示せば、「ここに着目して理解する必要があるのか」という気づきも期待できるうえ、 「授業をきちんと聞いていればセンターでも解けるんだ」 といった好ましい認識を持たせることができます。

中高一貫校では、中だるみ防止のために、近隣の高校入試問題にモチーフを取った問題を解かせてみても大きな効果が期待できます。

しかしながら、本時の学習内容と明確な関連付けがなされずに過去問だけがポンっと与えられるケース、課題ありきの授業設計が行われていないケースでは、むしろ弊害の方が強調されかねません。


❏ 形式的習熟を図ることばかりに目を向けない

近くに迫ったテストでの平均点を引き上げるために、演習量を増やす方策は、「与えるものは与えた。あとは君たち頑張ってね」 という姿勢に見えなくもありません。

課題には3種類があることを、まずはご確認ください。今、与えている課題がどのパターンに属するのか分類してみましょう。

画像


Aパターンなら、学びの振り返りやアウトプットとして機能するはずで、必要な事柄を授業内で伝え習熟を図らせておけば、生徒の側でも達成感を得ます。

Bパターンは、習ったことを覚えるだけなので、思考の要素は介在しにくく、知識の定着や処理への習熟以外の効果はあまり期待できません。履行状況を観察しても、覚えたかどうかを確かめるだけで、理解できているかどうかは別問題です。

Cパターンは、授業カリキュラムと関連性がないまま、カバーしきれない部分を生徒の努力で何とかしようというやり方にも見えます。

前述の過去問演習も、ただ問題を与えて解かせるだけではこのCパターンに入ります。

もちろん、受験直前期を迎え、知識の拡充を図ったり、教科書でカバーしきれない部分を補うことも大切ですが、問題に挑むレディネスを整えさせておくこともまた重要な事柄です。

課題ありきの授業設計で達成可能性が担保されることもなく、下手をすると失敗体験の積み重ねで自信(自己有能感)をそぐ結果にもなりかねないリスクを教える側が認識する必要があります。


❏ 本時の学びと過去問演習をどう結び付けるか。

出題研究は、以前の記事「分業で行う出題研究のフィルタリング」 にも書いた通り、今教えていることがどう問われるかを知る機会として、教える側にこそ重要な仕事です。

好適な出題をみつけたら、既定のカリキュラムと照らして適切な機会をみつけて抜粋・改題・アレンジしたものを、学習成果の検証手段として授業内課題に組み込むのが正しい使い方です。

どのようなポイントがフォーカスされるのか、どのような訊き方がなされるのかを研究し、その成果を教える側が「教材の課題化」 に利用するというのがここで求められる発想です。

過去問そのものを生徒に与えてガンガン解かせるという使い方とは、ちょっと違いますよね。もちろん、実際に解いてみたいという生徒には、過去問を渡して採点してあげてもよいでしょうが。

過去問演習を自己目的化しても、授業での学びがその準備として必ずしも機能しませんし、容量超過に拍車をかけ、仕上げ切らずに放置してあるものを増やすだけにはならないようにしたいものです。



受験期が近づけば、過去問を解く機会も増えるでしょうが、その問題を解くことで何が身につくのか、問題を選んだ根拠や理由を少なくとも教える側ははっきりさせておきましょう。

たくさん解けばそれだけでも一定の効果はあるかもしれませんが、目的を明確にして取り組ませる場合とではおのずと成果の量が違ってきます。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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