春休みの宿題~やるべきものを選ばせる

2017-02-08 更新

一月は行く、二月は逃げる、三月は去ると申します。多忙な日々を送る中、あっという間に終業式を迎え、生徒は春休みに入ります。そんな中、春期休業期間中の生徒に課す宿題は、もうお決まりになったでしょうか。

長期休業期間中は、時間的に余裕があるからこそ、平常期にできなかった課題に挑んでもらうという考えもあろうかと存じますが、生徒の持ち時間をびっしり埋めるような宿題を用意するのはちょっと待ちませんか。

「何をやるかを生徒自身に考えさせ、自分できちっと計画を立てて実行させる」 ことも、自立的な学習者に成長してもらうには欠かせないトレーニングです。

生徒の側でも、
  • 学期中はこなしきれずに中途半端にしてしまった副教材
  • 興味があったが、読めなかった本/調べられなかったこと
  • 思いのほか出来が悪く次回のリベンジを誓った模擬試験
などなど、普段はできなかったことに取り組みたい、放置していたものを仕上げたいと、思っているかもしれません。

休みに入ったら手を付けようと思っていたことも、学校で指定される宿題に追われて、結局やらずじまいになってしまうことも大いにあり得ます。

宿題がずらりと並べられたら、「さて、何をやろうか」 という方向に考えは膨らまなくなってしまうのではないでしょうか。


❏ 仕上げ切らず、先送りにしていたことに挑ませる好機

やろうと思っていたけど、宿題のせいで出来なかったという体験を重ねていたら、自分で考える意欲や姿勢も失うというものです。

指示に従う姿勢よりも、自分なりの目的を持っている方が、より多くの成果につながるのは、「授業規律VS学ぶことへの自分の理由」 でお示ししたデータと重なる部分があるはずです。

仕事に追われるうちに、ノルマをこなすだけの日々になるのと、そんなに変わらないかもしれません。

「計画的に、自律的に学べるようになってほしい」 と言いながら、そうなるチャンスを失わせないようにしたいものです。

まずは、生徒自身にこれまでの学習を振り返らせて、「やりたいこと」 をリストアップさせてみてはどうでしょうか。

ずらりと並べさせたら、優先順位をつけさせます。その時に、「やりたい順」 に加えて、「やらなければならない順」も考慮したいですよね。


❏ 優先順位をつけさせるトレーニング

have to ばかりを優先させてwant to を後回しにするのは窮屈ですし、want to ばかりでもちょっと問題がありそうです。

原点を中心とする同心円をイメージして、「遠いものほど優先順位を高く」 という考え方が良さそうです。

画像

その上で、優先順位の高いものから順に、あらかじめ計算しておいた「持ち時間」 の中に配置させるというのはどうでしょうか。

持ち時間が足りないなら、どこから時間を引っ張るか、何を先送りにして空き時間を作るかも考えさせなければなりません。


❏ 生徒の側に「やるだけの理由」 がないまま、挑ませても…

強制力をもって宿題とすることもできますが、学ぶこと/挑むことに「自分の理由」 を作らせないまま、ただやらせてみたところで大きな効果や、次に向けた更なるモチベーションにつながるような達成感は期待できません。

他人が決めた仕事(=他人事)に追われるよりも、自分で決めたことを実行する方が、やる気もでるというものです。

もし、生徒が作ってきた「やるべきことのリスト」 に、先生がやらせたいと思っていたことが含まれていなかったらどうしましょうか。

悩ましいところですが、それまでの授業内外の指導を通じて、興味を刺激できなかった/必要性を伝えきれなったと割り切るのもアリかと思います。
  • 普段の授業で、興味関心を刺激する問い掛けができていなかった。
  • せっかく興味を持つ場面があったのに、それを掘り下げられなかった。
  • 参考図書を示すべきチャンスを逃してしまった。
  • 模試や定期考査のやり直し について目的と方法を学ばせなかった。
生徒の頭に「やらなければならないこと」 としてリストアップされていなかったのはなぜか、その理由を考え、次の指導機会にどうするべきかを考えるきっかけにするのが建設的かもしれません。

指導はまだ続きますので、「やらせたかったこと」 は、新学期以降の計画に組み直していくこともできるはずです。


❏ やるべきことが見つけられない生徒には

生徒自身に学習計画を作らせてみて、それでもやるべきことがどうしても見つからないという生徒には、先生が予め想定しておいた宿題を与え、「じゃあ、これをやってみれば?」 と提示して、生徒に選ばせましょう。

複数の選択肢から自分が選んだものなら、そこに自分の理由を持てる可能性が膨らみます。

また、繰り返しになりますが、「やるべきことを見つけられるようにすること」 も大切な目標です。休み明けからの指導で目指すことが一つ増えたということです。

夏休みもまた同じことが起きたとしたら、学習者としての成長はなかったということですが、そんな事態はなんとしても避けたいところですよね。


❏ 自律的な学習者に育てる3つの練習

入学時や夏休みなどに行われる「勉強合宿」 でも、やるべきことを生徒自身に探させることを第一目的とするケースが増えてきているように思います。

でも、この方法で身につくのは、日々の予習・復習の進め方や、定期考査の準備など、「やるべきことが決まっている場合」 のことに限られます。

合宿中の演習や講義がベースにあって、その準備方法を考えるというのと、やるべき事柄を選び出すことは根本的に違うものです。
  1. 自分の置かれた状況に照らして何をやるべきかをリストアップし、
  2. それらに優先順位つけて、
  3. 計画に落とし込む(=持ち時間の中にレイアウトする)
という練習は、チャンスさえあればできるだけ積ませたいもの。

平常期の指導では体験する機会が少ない、1. やるべきことのリストアップ こそ、長期休業期間にやらせることとして上位に置くべきことだと思いますが、いかがでしょうか。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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