高大連携や進路関連のイベントに外部人材を活用 #1

高大連携や進路関連のイベントは、生徒に大きな刺激と成長のきっかけを与えますが、先生方だけでなく、参加する生徒にとっても貴重な時間を投じるだけに、費用対効果はできるだけ大きくしたいものです。

指導計画全体で目指していた所期の目的を達成するには、イベントが単発のもので「閉じて」はいけません。計画全体の中で明確な位置づけがなされる必要があるはずです。

事前の指導や事後の指導と一体化して、イベントが企画・運営されていると言い切れる状態にあるか、どこかで点検が必要です。

2016年02月22 公開の記事をアップデートしました。

❏ 講演会などを、単発の行事として完結させない

外部から講師を招いて行う講演は、イベントとして持つ非日常性に加えて、普段は接する機会の乏しい世界で活躍している方の、リアルな視点からの話を聞けるだけに、生徒にとって大きな刺激を受ける機会です。

進路講演に限らず、探究活動の成果発表会での講評なども、これまでゼミなどで指導に当たってくださった学校の先生とは違う視点からの指摘が期待できるはずです。

しかしながら、そうした日々の指導との接続/連続性の弱さは、他の指導機会との関連付けを曖昧にしがちという弱点も同時に抱えます。その場で話を聞いている間は意識の盛り上がりが見て取れても、その後の行動などの具体的な変化に繋がらないことも多いのではないでしょうか。

指導計画全体の中で、そのイベントがどんな位置づけを持つのか、指導に当たる先生方すべてがしっかりと認識を共有しておくべきです。

たいていのイベントには、その後に設定されている一連の指導に向けた意識づけを図ることや、それまでに生徒が重ねてきた学習の成果を振り返って、次に向けた課題を明確にさせることが目的であるはずです。

イベント後の学習に向けた意識づけを図るにしても、事前学習などを通じて刺激を受け止められるだけのレディネスを整えさせ、且つ、行事を終えたときの振り返りで、しっかりと内省ができているかを確認し、不足があれば遅滞なく解消に向かわせる働きかけが必要なはずです。


❏ 深く理解し、刺激を得るために、聴く側も準備

実社会の現場で日々活躍している方々のお話は、リアリティと迫力があり、それを生で聞くことは生徒に大きな刺激になるはずです。

しかしながら、講演の内容をきちんと理解するには、ある程度の「認知の網」が必要です。事前に下調べなどを少しでも行えば、聞きたいこともでてきて、行事に参加する意欲も高まるはずです。

下調べもなく、ただ話を聞かせるだけなら、ドキュメンタリー番組を用意して視聴させるのと大して変わりません。講演よりむしろ、映像や構成などにも凝っている分だけ、理解度やインパクトにも勝るかも…。

せっかく、社会や学問の最前線で活躍している方をお招きする以上、そこから出来るだけ多くのことを深く知れるように、「聴く側の準備」をしっかりと整えさせておきたいところです。

まったく準備ができていない生徒が目の前にずらりと並べば、講演者も深いところまで話を掘り下げるのは難しくなり、ネットでちょっと調べればわかるようなところで時間切れになってしまうかもしれません。


❏ 事前課題でしっかりウォーミングアップ

問題意識を刺激すること(学びのウォーミングアップ)の必要性は、教科学習指導だけでなく、様々な行事やイベントでも大切です。

特別な準備をせず、目的や問題意識を持たないままの生徒を講演会場に連れてきても、「面白かった」「興味深い話だった」で終わってしまうかも。貴重な成長の機会なのに、あまりにも勿体ない気がします。

講演のテーマに関する新聞記事のスクラップなどを与えて読ませてみるだけでも、一定の効果はあるでしょうし、「〇〇は必要か/〇〇の今後はどうなる」などの問いを与えて、講演当日までに「答え」を作っておくように指示すれば、さらに大きな効果が期待できそうです。

ただし、準備に気合いを入れ過ぎて、生徒の負担が過剰になっては逆効果。イベント当日を迎えたとき、既に嫌気がさしている生徒がいるようでは、元も子もありません。


❏ 自力で資料を集めた輪読とロールプレイ

少し余裕があるなら、生徒一人ひとりに、関連する記事やデータなどを探させて、持ち寄ったものをグループで輪読させてみるのも好適です。

自分が見つけたのと違う視点から書かれているものに触れるのも有意義な体験になります。輪読の材料をそれぞれが探して提供しなければならないので「ただ乗り」 はできないというのもポイントです。

新聞社のニュースサイトなど、出処が明らかな記事を検索する方法を教えれば、記事を探すのにそれほど負担はかけずにすむでしょうし、情報スキルの獲得も後押しできます。

ホームルームで10分ほど時間を使い、資料を配って、簡単な説明をしたら、その日はそれでおしまい。後は、宿題として記事/データ探しに取り組ませ、見つけたらクラウド上の共有サーバーにでもアップ(投稿)させるようにすれば、輪読も各自の空き時間でできるはずです。

履行確認まで踏み込む必要もないかと思いますが、もし必要なら、輪読に際して、読んで感じたことを短くまとめてコメント欄に書き込みさせて、記録を残させるという手もあります。

賛否の分かれるテーマなら、輪読を終えたあとに、賛成派・反対派に分かれたロールプレイをさせてみても面白いかもしれません。

ある学校では、賛否の立場を入れ替えたロールプレイ第2部まで行っていました。自分と異なる意見を持つ人が何を考え、何に重きを置いているのかを想像することは、有為な学びになるはずです。


❏ 生徒の事前学習の「成果」は講演者とも共有

事前学習を通じて、生徒は「講演で聞きたいこと/知りたいこと」を(個々に程度の差はあれ)具体化してきているはずです。

講演前にアンケートを行い、「事前学習を通じて関心を持ったこと/聞きたいこと」などを尋ねておくと、言語化という活動を通して、生徒は問題意識をより明確に持てるようになります。

アンケートの結果を講演者に見ていただければ、生徒の疑問に直接答えてくれたり、気づきの不足しているところを厚めに扱ってくれたりと、より「ニーズにマッチした内容」へのアレンジも期待できます。既に生徒がわかっているところは端折れますので、他を掘り下げられます。

また、事前アンケートの内容と、講演を聞いた後にポートフォリオに生徒が残したリフレクション・ログを後日改めて読み比べてみると、両者の違いの中に「講演の効果」も読み取れるはずです。

大した効果がなかったり、意図した方向と違った結果になったりして、ガッカリすることもあるでしょうが、それに気づくだけでも、これまで行ってきた一連の指導に改めるべき点を見つけられたということ。より良い教育活動に近づくきっかけが得られたことになるはずです。

その2に続く

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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