ノートにメモを取らせる指導(記事まとめ)

授業中にメモを取る力は、学びのために欠かせないものです。同じ講義を聞かせた場合にそれぞれの生徒がノートに残した文字数とその生徒の学習効果との間には、統計的に有意な相関が見られました。

板書を写す以外にどれだけメモを残せたかが、学習の密度を示していると考えられます。

「人の話を聴きながら、自らしっかり考え、その痕跡を文字に残していく」 というのが学びの場におけるメモのあり方ではないでしょうか。


メモには2つの種類があります。

ひとつは、相手の発言を記録するもの。

もう一つは、「話の中で自分が感じたこと、考えたこと」 を記録するものです。

前者なら、忘れてしまっても、相手にもう一度説明してもらえば済む話ですが、後者はそうはいきません。短期記憶が飽和する前に書き出すことが大事です。記憶が上書きされたら復元できません。

しかも、自分で感じたこと、考えたことは、次の発想を刺激し思考を広げてくれる大切なアンカーです。このタイプのメモを取る習慣/メモを起こせるスキルは、早期に確立させたいもの。学びの能動性を高める効果も期待できます。


メモを取る姿勢とスキルは、特定の教科に閉じたものではなく、様々な場面で用いられる「汎用スキル」 です。

様々な教科・科目で同じ意図(=メモを取れるようにするという指導目標)をもって臨むと、相乗効果で生徒の進歩は大きく加速するように思われます。

一度抱いた疑問を放置せずきちんと解消していく姿勢を作るにも、タスクマネジメントのスキルを身につけさせるにも、ノートにメモを取らせる指導は大きな役割を担っています。

#01 ノートにメモを取らせる指導(その1)
  • メモ用のスペースを作らせて
  • メモをとることの効果
  • 何を書き込めば良いかを、実例の中で学ばせる
  • 高校を卒業するまでに身につけさせるべきスキルとして

#02 ノートにメモを取らせる指導(その2)
  • 他人の発言ならば、忘れても何とかなる
  • 自分の中に生まれたアイデアや思いは…
  • 考えを書き留めることで、さらに広がる可能性
  • メモを取る力は、授業への集中力も高める


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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一


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