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zoom RSS 互恵意識で結ぶ学びのコミュニティ

<<   作成日時 : 2016/06/02 08:06   >>

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一人ひとりが意欲をもって学び、生徒が互いを支え合う、互恵と相互啓発で結ばれたクラスを作りたいもの。学級を担任するときは当然ですが、教科教員として担当するクラスについても同じでしょう。

新学期スタート後の2〜3週間を「黄金週間」 と呼ぶそうですが、何事もスタートは肝心。目指すクラスの姿を漠然としたイメージではなく、その構成要素の一つひとつを明確にしておくことで、実現に向けた歩を着実に進めたいものです。


❏ ルールで縛るより、学ぶ理由を持たせることに注力

学ぶことへの自分の理由を持っていないと、授業への集中を欠いたり、消極的な参加姿勢しか示さなかったりするのは半ば当然のこと。

そんなときに採られる対処に、「指導の強化 (ルールの厳格化)」 や、「要求の切り下げ(できないことの看過)」 がありますが、残念ながら、いずれも期待通りの結果を得るのは稀なようです。

奏功しない理由は、どちらの方策も「学ぶ理由」 に繋がらないから。大元の原因を解消することなく、対象療法を繰り返しても、「再発」 は時間の問題です。

表層に現れた行動をその場の指導で改めさせてイタチごっこを繰り返しても、お互いに疲弊するばかり。関係をこじらせるリスクもあります。

そうした行動の原因となっているものを解消していく方が、よほど建設的ですし、中長期的には得策ですよね。


❏ 解くべき課題で目標を示し、解消すべき不明に気づかせる

別稿でも繰り返してきたことですが、生徒は解くべき課題を通じて学習目標を認識し、課題に解を導こうとする中で、解消すべき不明の所在に気づきます。

その不明を解消したいという気持ちこそが、学ぶことへの自分の理由であり、課題に自力で答えを導けたたことが達成感となって、次の学びへのモチベーションになります。

教科書の内容をなぞって理解させ、先生が肩代わりして作った答えを覚えることの中に、如上の「理由」 が生まれてくるチャンスはなさそうです。

以下の記事も併せてご参照いただければ光栄です。

 ■ 興味関心と自ら学ぶ姿勢とのギャップ
 ■ 授業規律VS学ぶことへの自分の理由
 ■ 目的意識/自分の理由をどう作らせるか(全6編)

私語や居眠り、内職、いたずら…目にすれば不愉快ですし、ガッカリもしますが、同じクラスでも場面が違えば生徒のふるまいが違うのはよくあること。

生徒が居眠りしたり、余計なことに気を取られたりするのは、その場でやるべきこと、挑むべきチャレンジングな課題がきちんと与えられていないからだと考えましょう。


❏ 学びの場での互恵意識、貢献への意欲

学ぶことへの自分の理由を作る一方で、学びの場での互恵、パートナーやチームへの貢献という側面からのアプローチも欠かせません。

「工夫して努力した結果として達成した中に生まれる興味・関心」 がその土台になりますが、学ぶ理由がなければ工夫や努力が始まらないという堂々巡りも考えられます。

自分のためだけに行う努力は、「まあいいか」「やらなくても別に困らないし」 という、ごまかす手段には事欠きませんが、周囲を巻き込むとなったらそうはいきません。

そこで、積極的な取り組みを引き出す「起点」 として利用すべく授業設計に取り込んでいきたいのが、パートナーやチームへの貢献という要素です。

周りに迷惑をかけるとなれば、あからさまに手を抜くことはできず、努力しているうちに「わかってきた楽しさ」 や「頑張ったことでの達成感」 が持てればしめたものです。

誰かの役に立った、コミュニティの一員として貢献できたという実感は、生徒の中に快体験の記憶として残り、それを繰り返したいという意欲に転じます。


❏ 先生との関係に、生徒同士の関係を加える

ちょっと、喩えがずれるかもしれませんが、高級料理店のカウンターで板前さんと差し向かいで食事をする場面を想像してみてください。

板前さんの腕がどれほど良くても、相性というのはまた別の話。

窮屈さや不快を感じながらの食事が楽しいはずはありません。(高級店で食事をしている私ってステキ!という変わった嗜好もあり得ますが、…。)

先生を「扇の要」 にするような、生徒と先生の一対一の関係だけで学びの場が構成されていると、折り合いが悪くなったときに逃げ場がありません。

先生との関係に加えて、生徒相互の関係(ペアやグループ)を作り、常に機能させておくことも大切だと思います。

そもそも、専門家である先生の言葉より、同じような立場の仲間が一度理解し、自分の言葉で表現しなおしたものの方が理解しやすいことだってあります。

すべての生徒にとって、先生がベストティーチャーとは限りません。


❏ 相互の貢献/互恵、教え合いや学び合い

わからないことがあっても、手を挙げて質問するのは気おくれも感じるものです。ましてや先生が気分よく話をしているときに、その腰を折るのはちょっと。

でも、ペアでの練習中にちょろっと相手に聞いたり、問題を解いているときに隣と話ができたりしたら、わからないまま耐えていなくても済みますよね。

先生が想定している授業の流れを崩さないことや、生徒が話をだまって聞いているのを良しとするのは、教える側の論理に過ぎないのかもしれません。

要は、その日の学びが目標としたものを達成できれば良いわけで、先生の指示に従うかどうかは「二の次」 いうことになるのではないでしょうか。

先生がすべてを担うという考えから離れ、生徒同士の支え合い・学び合いを積極的に利用することで、互恵意識や相互啓発の働く「望ましい学びの場」 を作り得ると考えます。


❏ ルールは、必要を感じてこそ守れる

かと言って、無秩序状態を許容するわけにもいきません。授業内での規律はあって然るべきもの。学びたい生徒の権利を守ることでもあります。

授業内での約束事は、その理由に立ち戻って「守ることの必要性」 を生徒自身に考えさせる必要があるのではないでしょうか。

 ■ご参考記事: 生徒に考えさせる授業規律

例えば、始業のチャイムまでに不要な私物はロッカーにしまっておくことをルールにしたとしましょう。それだけでは、「そういう決まりだから」 という認識を超えることはできません。

一方、授業内での活動でフォーメーションが頻繁に変更されるとしたら、でっかい荷物を出しっぱなしにしたことが、他の生徒の迷惑になるし、そのことにうしろめたさも感じるはず。

この段になってようやく、「ロッカーにしまっておいた方が良いかな」 と思えてくるのかもしれません。

フォーメーションの変更が一度もない授業、先生が机間指導をするわけでもない授業では、私物はロッカーにというルールそのものが必然性を持たないということですよね。

無用なルールを課し、守らせることで得られるものはなさそうです。

理由もわからないまま指示やルールに従っていては、生徒の側に「繰り返しに値する快体験」 は持てないばかりか、主体性や判断力を養うチャンスも奪いかねません。


❏ 最長の時間を過ごす授業で、互恵意識を育む

成長の場には、生徒相互の刺激/啓発が不可欠です。

学習においても、互いに貢献し合う機会を整え、互恵や相互啓発の価値に気づかせることが大切だと考えます。

ホームルーム活動や学校行事、部活動は、生徒が互恵・相互啓発を学んでいく大切な場です。

何やら、次の学習指導要領では、「カリキュラムマネジメント」 という言葉で、朝のホームルームや掃除の時間を短縮することも検討されているようですが、特活が担う教育機能をみうしなっていないでしょうか。

 ■ 海外も注目している日本の”トッカツ”

とはいえ、学校生活のうち最も多くの時間を過ごすのは授業(教科学習指導)です。この場面で成果を積み上げていけるかどうかで、卒業までに獲得できる資質・姿勢は全く違ったものになるのは明らかです。

協働で課題解決に当たらせる機会は、協働性・多様性・主体性を育む好機です。互恵意識で結ぶ学びのコミュニティを形成し、教科固有の知識・技能を獲得する中で、様々な資質を養っていきたいものです。

 ■学力の三要素とは〜もう一度考えてみました




ホームルームとしての学級経営が作り出したコミュニティの質に、教科学習指導の成果が左右されます。生徒意識アンケートでの各項目評価は、授業評価アンケートにおける【学習効果】との間に高い相関を示しており、中でも【係の仕事】や【規律ある生活】などは、相関係数>0.8という高相関にあります。

【係の仕事】 学級の係や当番はそれぞれがきちんと必要な役割を果たしている
【規律ある生活】 私は、規律ある生活を送るとともに集団生活のマナーを守れるようになった
【学習効果】 授業を受けて学力の向上や自分の進歩を実感できる



教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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