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zoom RSS 進路希望を作る指導[進路意識形成](その2)

<<   作成日時 : 2016/06/16 05:10   >>

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前回からの続きです。手近なところから消去法的に選び出した進路では、成績が伸びなかったり努力を続けることがつらくなったときに、「手が届く範囲からの選び直し」 にも躊躇は覚えません。進路希望の切り下げなどは、こうした場面で起きやすいのではないでしょうか。

これに対し、「これを学びたい、学んだことを通じて社会にこう関わりたい」 という意志がはっきりしていれば、目標を切り下げて「入れる大学」 を探し直すことよりも、どうやったら目標に近づけるかを考える方向に意識が向くはずです。

❏ 学ぶことへの自分の理由が、進路希望を維持する力

学ぶことへの自分の理由を見つけた生徒は、自らの希望を実現させるために努力し、時として周囲の想像を超えるような頑張りを見せてくれます。

探究学習プログラムをきちんと整備した学校は、際立って高い進路実績を示すことが多いようです。

教科学習指導や進路指導の体制に大差がない学校でも、またある時点で成績が同じようなレベルにあっても、最終的な進路実績には違いが生じているように感じjます。

以前の記事では、こんなケースを紹介しました。

ある学校に在籍する生徒の一人(以下A君)は、「ゲーム理論」 をテーマに研究を行い、その難しさとともに応用性の高さを知りました。応用例のひとつとして国際紛争の解決に思い至り、そこから「○○大学の国際関係学部に進み、ゲーム理論に基づく国際問題解決手段を学んでみたい」 と思ったそうです。

興味を起点に、学びたいことが生まれ、それを学べる環境に自らをおくことで更に拓ける世界が生まれる。まさに、クランボルツの計画的偶発性理論のいうところそのままです。

http://blog.kyouikujissen-ofcf.jp/201503/article_9.html



❏ 探究的な学習活動と、学部・学科(学問)調べを連動させる

探究活動や課題研究は、探求型学習を使った進路指導で申し上げた通り、進路希望を作るプロセスの上で、最も重要な要素の一つです。

興味を抱いた対象を起点に、社会が取り組む活動や先端研究の現在がどうなっているのかを調べ、それらを学べる学部・学科を調べてみる、というのが、如上の記事でご提案した手順の大雑把なところです。

ちょっとした興味を起点にしても、調べたり、考えたりする中で、興味は大きく膨らみ始めます。

興味が膨らんだタイミングで、「学部・学科研究」 に臨ませれば、「入れる大学はどこだ」 ではなく、「自分の興味を一番よく満たしてくれる大学・学部はどこだ」 となるのではないでしょうか。

探究的な学習活動だけ、あるいは学部・学科研究だけ、という両輪の片方を欠いたら、如上の流れは作れません。


❏ 進路希望調査の方法も見直しが必要かも

また、進路意識の把握を、いわゆる「志望校調査」だけで済ませていたら、生徒は自分の中に芽生えつつあった進路意識に向き合う機会を持てないかもしれません。

次期学習指導要領では、ポートフォリオの作成が求められたり、大学への出願に際して「学修計画書」や「志望理由書」 の提出が求められたりするようになるようです。

どの大学・学部を選んだのか、選択の結果だけを訊いても進路意識の形成には不十分です。進路希望を作る指導の一環として、「志望理由を書いて選択に向き合う」 ことを求める場を作るべきとお考え下さい。


❏ 横断型・体験型の学習は、興味のきっかけを作る場として

探究的な学習プログラムと対をなすのは、職場体験や職業研究などの「横断型・体験型」 の学習機会でしょう。

こうした機会は、公立の中学校でも非常によく整備されています。高校ではその成果に乗っかって、その先を教育活動として設計する必要があるのではないでしょうか。

見学に行くと、「おおっ、こんなことまでやっているのか」 と驚かされます。

 ご参考: 中学校職場体験ガイド(文科省ホームページ)


様々なことを体験しないと、それが自分に合っているかどうかも、自分は本当は何が好きなのかも知り得ません。クランボルトも、「いろいろな活動に参加して、好きなこと・嫌いなことを発見しよう」 と言っています。食わず嫌いでは、計画的偶発性理論の言うところの「偶然による出会い」 を遠ざけます。周囲からの働きかけで、いろんなことを体験させるのが、横断的・体験的な学習のもつ価値なのかもしれません。


❏ せっかく作ったきっかけを活かすのはその後の探求型学習

横断型、あるいは体験型の学習は、興味を見つけるきっかけとしては好適なものですが、見出した興味を広げたり深めたりする場面としてはあまり有効とは言えません。

課題研究や探究活動を通して、深めて具体化していく過程が不可欠です。

また、一過性の体験は、「当事者としての覚悟と行動」 にも繋がりにくいものです。

高校に入学してくる生徒が、中学校でどんな活動を経験し、何を学んだのかを知らないまま、高校でも同じような場面をを繰り返しているケースも皆無というわけではなさそうです。

拙稿「中学での経験を踏まえて考える「高校での探究活動」 も併せてお読みいただければ幸いです。

横断型・体験型の学習を経てから探究の場面を経験していくという「順序」 が、進路意識の形成(進路希望を作る指導)には欠かせません。

他校種での教育活動にも目を向けないと、教育活動の設計を誤りそうです。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一






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