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zoom RSS 進路希望を作る指導[進路意識形成](その1)

<<   作成日時 : 2016/06/15 08:10   >>

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「進路希望を実現する」 ── いろんなところで見聞きするフレーズです。確かに、生徒が抱いている希望ならその実現に向けて本人の努力を支え、導いてあげたいものですが、「進路希望は、実現する前に作るもの」 ですよね。


❏ 職業をターゲットとして最短ルートを通る戦略で良いのか

このブログでも幾度も取り上げたことですが、変化の激しい現代社会で、何らかの職業をターゲットに設定し、そこで必要となる知識や資格を得られるルートをもって希望進路とするのはリスクがあります。

もちろん、その職業を通じて行う社会への貢献に自分のミッションを見出しているのであれば、その実現にまい進すれば良いのですが…。そうでない場合は、「ゴールを決めて最短距離を歩めばよいのか」 という疑問が残ります。

10年後、20年後にその職業が存在する保証はないというのが、その主な理由ですが、16歳、17歳の時点で見渡せる範囲や深さは知れたもの。

同じ業種でも、職種によって、仕事のやりがいの所在は違いますし、その業種が求める専門領域以外から、その世界に貢献するのはごく普通のこと。枚挙に暇はないほどでしょう。


❏ 就職率、平均収入などの数字に選択が影響されることのリスク

就職率の良さで大学・学部を選んだり、安定性や平均生涯収入で職業をより分けたりするのも結構ですが、これらの指標はあくまでも「平均値」 に過ぎませんよね。

過去のデータをもとに確率的に算出した、期待値のようなものです。かつての花形職業の中にも、衰退の一途をたどり、見かけなくなったものだってたくさんありますよね。

情報収集は大切ですが、正しい判断と自分との関わりの中での選択こそが優先すべきものだと思います。

冒頭に出てきた「進路希望を実現する」 の前には、たいていの場合、「一人ひとりの資質や志向に合った」 という文言がくっつきますが、確率論的に選んだ進路や消去法の結果として残った進路には、この部分が欠け落ちます。

興味を起点に探究を経て見つけ出した進路の方が、資質・志向とのマッチングは高くて当然です。


❏ 職業調べは、働くことの意義を考える場として

批判的な物言いが続いてしまいましたが、職業調べや職場体験を否定するつもりはありません。働くとはどういうことか、そこでどんな喜びを見出せるのかを、実体験として学ぶことの意義は小さくありません。

社会人講話やOBガイダンスなどは、それらを間接的に知る機会として有効に活かしたいもの。

ちなみに蛇足かもしれませんが、外部の方を真似いて講演をしてもらうときは、今の立場にたどり着くまでに何を考え、どんなことを悩んだのかなどにも焦点を当てて、選択のプロセスを伝えてもらうのも良いと思います。

活躍の場を得たり、社会的地位を得たりした方を、憧れの対象(ロールモデル)として据えるのではなく、生徒自身がこれから歩んでいく選択のプロセス(詳しくはのちほど)にどう向き合っていけば良いかを考えるきっかけを作ってもらうことにも大きな価値があるはずです。


❏ 興味を追求し、その先に新しい興味が生まれる循環

課題研究や探究活動を通じて、自分が抱いていた興味の先に広がる世界を知ることで、「心から学びたいと思えること」 や「学んだことを通じて社会に関わる接点」 を見出していくのが、進路意識形成の本来の姿ではないでしょうか。

言うなれば、キャリアは選ぶものではなく重ねるもの、ではないでしょうか。

次のステージに進み、面白いと思ったことを突き詰めていけば、また新たな興味や関心が生まれます。そうした「しなやかな選択」 を重ねて行けることは、タフで満ち足りた人生を送れるかどうかを決める資質かもしれません。

多少の回り道や道草には、それなりの価値もありそうです。


❏ 選択の結果に向き合えないから、隣の芝生が青くなる

他方では、手が届かないからあきらめる、嫌いなことから遠ざかるという消去法で“進路希望”(カッコつき)を作っている生徒もいます。

住めば都とも言います。そんなふうに選んだルートでも、歩き始めてしまえば、そこに面白さや楽しさを見出すこともあるはず。

でも、自分が選択したものに向き合えていないばかりに「隣の芝生が青く見える」 のでは、なんだかつまらないことになりそうですよね。


❏ 目指すべきは、納得できる「選択に至るプロセス」

進路選択に向けて自分が歩んだプロセスに満足している生徒は、決定した進路にも満足する傾向があり、別稿では、「結果への満足≧プロセスへの満足」 は95%というデータをご紹介しました。

生徒が、「自分は進路を選択するまで、しっかりとプロセスを踏み、その結果に向き合ってきた」 と認識できることが、進路指導の成否を探るための最も大切な指標ではないでしょうか。

もちろん、時には現実的な判断も大事ですが、少なくとも消去法で導き出した結果には向き合えないものだと思います。

その2に続く


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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