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zoom RSS 指示を的確にこなす生徒〜それだけで良いのか?

<<   作成日時 : 2016/07/04 06:17   >>

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どの生徒のノートを見てもきれいに板書を書き取っており、寸分の違いもない。あるいは、予習も完璧に行われており○をつけていくだけ、生徒を指しても期待した通りの答えがきっちり戻ってくる ── 表面的な現象だけを見れば「指導の成果」のように見えなくもありませんが、どこかに違和感を覚えませんか。

ちゃんとノートを写せない、予習もしてこない、答えは的外れというのでは、授業の受け方・取り組み方の指導が不十分で所期の成果を得ていないということですが、冒頭の状態にも看過できない大きな問題が潜んでいます。

何かが問題で、その原因になっているのは何か、どうするべきなのかを少し考えてみたいと思います。


❏ 板書されたこと以外に書き込めたものが「生徒自身の学び」

生徒のノートが皆同じというのは、板書を写しているだけということですよね。

写すだけでは、生徒自身の思考はどこにも介在していません。板書をスマホのカメラで撮影しても意味はないと思いますが、それと似たようなお話です。

自分で考えながらノートを起こしていれば、そこには自ずと何らかの「思考の痕跡」 が現れるもの。全員のノートが同じということにはならないはずです。

板書されたこと以外にも、口頭でなされた説明から重要な情報を拾い出したり、自分で気づいたことをメモに起こしたりすれば、自ずと「板書されたこと以外」 が付け加えられます。

先生の発言からポイントを拾い出すだけでなく、自分が考えたこと(疑問点や膨らんだ着想など)をどれだけ書き込めたかが、「主体的な学び」 の進み具合を測る一つの指標ではないでしょうか。

 ■ノートにメモを取らせる指導(記事まとめ)


❏ 自分の答えを先に書き出すスペースを作らせる

生徒の中には、ノートを汚すことを嫌う生徒がいます。自分から先回りして考えても、先生の答えと違っていると書き直さなければならない。だから、正解が板書されるまで手を動かさないという選択をします。

ノートの真ん中に縦線を1本引かせて、自分の答えを書いておく欄と、あとで答えを確認して先生が示した「別解」 を書き込む欄とを分けるように指示するだけでも、手の動き方はだいぶ違ってきます。

ノートを汚したくないというのと同時に、「何も書かれていない部分を残す」 のも生徒にとって違和感があります。この違和感を利用して、「自分の答え」 を書き出していく意欲に転じさせましょう。

最初に考えたものと直した後の差分こそが「学習の痕跡」 であり、学ぶべきポイントであるという指導を早いうちから徹底しておきたいものです。

ある科目の担当先生だけが口を酸っぱくして伝えても、他の授業では「写せばOK」 という状態では、学びに対する姿勢が後戻りしてしまいます。

学年で目線と足並みを揃えて、ある時期に集中して、如上の意識を持たせる指導に当たりましょう。


❏ 全訳を写して来れば困らない授業では、対処法を探すだけ

予習段階でノートには全訳が書かれ、授業中にはそこに朱入れしている様子もないという光景も目にします。

教科書ガイドを使っている子もいれば、ネット上に全訳を公開しているサイトを利用している生徒もいます。

このこと自体が問題ではなく、全訳さえわかれば対処できる授業や考査に問題があるのではないでしょうか。

そんな状況で、番号順に指名して、正しい訳を生徒が言えることを確認しても、どこに学びが生まれたか定かでありません。

全訳を写して来れば授業中に困ることはない。こうした状況では、学びよりも困らないことに知恵を使う生徒が出てきたとしても、彼らを責めるわけにはいかないような気がします。


❏ プロセスに焦点を当てた発問+答案にまとめさせる機会

授業中の解説は、その大半が内容の確認に終始し、中間テスト、期末テストでも、本文をある程度覚えてしまえば完答できるような状態にあることが、如上の「誤った学習」 を助長しています。

答えを導くプロセスを生徒自身が見出し、初見の文脈に適用できるように育てることが授業の目的です。

全訳というアウトプットを得るまでの過程(構造や照応関係の理解、用法の判別、語義の特定など)に焦点を当てた問いがきちんとなされているかどうかが、学びの成否を決めます。

 ■プロセスに焦点を当てた問い

また、せっかくプロセスを焦点化した問いを重ねても、最終的には模範解答が与えられそれを覚えればOKというのであれば元の木阿弥です。

時には、正解を与えず次回まで考え続けさせ、理解したことを生徒自身に答案として書き上げさせることも必要でしょう。

 ■結論を出さずに終える授業


❏ 定期考査の出題方針にも見直してみるべき点が

幾つかの事例を挙げてみましたが、共通するのは「習ったことを覚えればそれでよし」 とする誤った学習観を生徒に抱かせてしまっている可能性です。

記憶と再現だけで点数が取れるような定期考査が、これに拍車をかけているかもしれません。

教えられたことをきちんと覚えさえすれば定期考査でもちゃんと点数が取れるし、それでOKという状態が長く続けば、学習観をゆがめてしまうのも半ば当然だと思います。

 ■考査問題の改善が授業も変える

教室は、正解を伝えて覚えさせる場から、「答えを導く方法を学ばせる場」 に転換してきています。次期学習指導要領ではさらにはっきりと求められるkとになりそうです。

当然ながら、答えを導く方法には、討論などを通じて自分の考えを相対化して判断力を身につけたり、力を合わせてより良い答えを作り出す協働の方法を学ばせたりすることも含まれます。

 ■学力の三要素とは〜もう一度考えてみました


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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