終了時の工夫で成果を高める(記事まとめ)

同じ教材を用い、同じ展開で授業を行っても、仕上げ方/まとめ方で学習効果は大きく異なります。これまでに公開した拙稿から、関連する記事をまとめてみました。実りの秋も近づいています。日々の授業における学びの実りをもっと大きくするために、是非ともお試しください。

過日の記事でも申し上げた通り、「教室は、興味が生まれる瞬間を体験して学ばせる場」ですが、授業毎に学びをきちんと仕上げ、成果を確かなものにして自分の進歩として実感できることが、そうした場を作り出すための必須要件だと思います。

2016/08/31 に公開した「まとめページ」を更新しました。
併せて、リンク先の記事も内容を見直しアップデートします。


質問を引き出す~学びを深め、広げるために 10/16 更新
質問をするということは、まず疑問点や「その先を覗きたい箇所」 を探すことになりますよね。当然ながら、ノートや教科書、プリントを見返すことになります。しかも、そこに載っていることを覚えるという意識ではなく、疑問や興味を探しながらというおまけ付きです。生徒からの質問があれば受けるというのではなく、もっと積極的に「質問をさせる/質問を作らせる」という発想でその手段を考えたいものです。

結論を出さずに終える授業 10/17 更新
問いに答えを出してしまうと、生徒の側では「答えはこれね、あとはテストまでに覚えるだけ」という意識が生まれ、それ以上考えることをやめてしまうことがあります。授業を通じて考えるために必要な材料をしっかり与えたら、生徒が解を導くべき問いを示し、「次の授業では、これについて考えてみよう」とそのまま締めくってしまうのも思考を継続させて学びの総量を増やすのに有効です。

5分間アウトプットの費用対効果 10/18 更新
インプットに不備や不足があってもアウトプットの機会がなければそれに気づくことができません。言語化と振り返りが学習効果を高めることもまた事実です。そうした機会をなんとか作りたいところですが、授業時間も足りないとの事情も…。さて、どう折り合いをつけたものか…。単純な計算ですが、学習成果の総量変化を試算してみました。

ひとつの課題から複線的なハードルを作る 10/19 更新
「どのレベルに合せて授業をすれば良いのか」は悩みのタネ。どんな課題を与えるかも厄介な問題です。上位生を意識しては他の生徒は手が出ず、真ん中に合せては上位も下位にもぴったり来ない…。ひとつの課題で全部をカバーしようという発想に問題の根っこがあります。本時主眼を課題に置き換えるとき、指示の形式でハードルを複線的に設ければ、かなりの問題が解消できそうです。

答えを仕上げる中で学びは深まる New!
授業を通じて学力の向上や自分の進歩を実感できるか(学習効果)に対して大きな寄与度を持つ項目の一つに、習ったことを使って課題解決に取り組む機会(活用機会)があります。問題群の配列で教科書が構成されている数学などでは、習ったことを用いた課題解決体験は整いやすいのに、活用機会で著しく低い評価を受ける授業も観測されます。先生がすべてを丁寧に教え込んでいるだけでは、生徒が自力で知識を活用する機会は作れません。

協働学習を"集団としての調和"で終わらせない New!
グループ学習などで実現される「対話的な学び」 は、互いの知識や経験、発想を交換することで、学びをより深いものにするのに加え、一人では解決できない課題に取り組むときにも欠かせないものです。しかしながら、グループ学習の場を設けるだけでは、一人ひとりの生徒ができること(=コンピテンシー)の増大を図るという本来の目標に近づかないこともあります。フリーライダーを作らないことや個に戻した学びの仕上げが大切です。

課題の仕上げは個人のタスクに(前編) (後編)
授業中に様々な活動や課題を経験させたとき、仕上げの工程は個人のタスクに戻して取り組ませることが大切です。協働を通じて課題を解決できたとしても、チームを離れた別の場面で、似て非なる課題に自力で取り組めるかどうかは別の話。仕上げを通してインプットの不備に気づき、言語化して成果に固定することで、一人一人の学力が作られます。





終業時とは限りませんが、ひとまとまりの学習の仕上げには、板書したものを振り返って、全体の流れから部分の意味づけをしていくようにしたいものです。

目の前で行われている説明はわかるけど、実は何のためにやっているのか学習者が全体像の中でとらえきれていないことがあります。初めて学んだ事柄は、往々にして部分理解が全体把握に繋がっていないということを念頭に置きましょう。

黒板上に残ったものを活用した、学びの振り返り [板書の技術#4]
せっかく書上げた板書は、まとめの段階での振り返りにも積極的に使いたいもの。情報整理を行った場面でも、問題を解いた場面でも、板書を遡りながら学んできたことを見直していきましょう。
「ここでは何故、こんな操作をしたのか」「何を根拠にこのように分類したのか」 など、ポイントになるところを残しておいた板書で辿ります。文字を加えるだけでなく、枠で囲み直したり、関連項目をマークアップさせたりすることでも、生徒の意識はポイントに向かいますし、内容に触れる機会が増えれば、そのたびに再記銘が図られます。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

この記事へのトラックバック

  • 知識の活用、学びの仕上げ

    Excerpt: 1 課題解決を通した知識活用の機会1.1課題解決を伴わない知識獲得は…(序) 1.1 課題解決を伴わない知識獲得は…(その1) 1.2 課題解決を伴わない知識獲得は… (その2) 1.3 伝達ス.. Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2016-12-27 08:24
  • 今日の授業でどんな気づきがあったか

    Excerpt: 授業終了のチャイムまで30秒を残して、「さて、今日の授業でどんな気づきがありましたか」 と生徒に尋ねた先生がいました。どの生徒もささっと鉛筆を走らせ、先生が出す次のキューで隣同士ノートを見せ合っていま.. Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2017-07-26 05:32
  • "アクティブ・ラーニング"で学習時間が減る?

    Excerpt: いわゆる"アクティブラーニング"的な授業が広く行われるようになった学校で、生徒の平均学習時間が減ったというデータがあります。 Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2018-03-13 04:59
  • 質問を引き出す~学びを深め、広げるために

    Excerpt: ひと通りの学習を終えた場面で生徒に質問させれば、そこまでの学びを振り返らせることができます。しかしながら、「質問ありませんか」という聞き方はあまり効果的とは言えません。もともと積極的な生徒が手を挙げた.. Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2018-10-16 04:54
  • 結論を出さずに終える授業

    Excerpt: 授業の終わりは「今日の授業の内容をまとめて」 というのが定番スタイルかもしれませんが、ちょっと発想を変えて、問いに答えを出さずに次の授業につなぐというやり方はいかがでしょうか。 Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2018-10-17 05:19
  • 5分間アウトプットの費用対効果

    Excerpt: 学力の向上や自分の成長や進歩を実感するには、学習を通じて達成すべきこと(=学習目標)の把握教え合い・学び合い、対話を通じた学びの深まりという2つの要素に加えて、習ったことを課題解決に活用する機会が欠か.. Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2018-10-18 04:43
  • ひとつの課題から複線的なハードルを作る

    Excerpt: クラス内の学力差は、大きくなることはあっても、なかなか縮まることはありません。「どのレベルに合せて授業をすれば良いのか」というお悩みは、多くの先生に共通するものでしょう。授業の進め方以外にも、どんな課.. Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2018-10-19 07:58