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zoom RSS 学習方策は課題解決を通して身につく

<<   作成日時 : 2018/10/11 04:54   >>

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ある単元を学ばせるときに「不明を残さずに理解させる」ことだけ目的なら先生が丁寧に教えれば十分かもしれませんし、ある問いに正解を導くだけであれば、手順をきちんと伝えさえすれば当座の目的を達することはできると思います。しかしながら、これだけでは学び方を学ばせたことにはならないのではないでしょうか。

先生が丁寧に教えてくれれば理解できるという段階に止まっては、先に進んで自力で学んで行かなければならなくなったときに、困ったことになりますよね。

生徒に「この科目の学び方が身についてきましたか」と尋ねてYESと自信を持って答えてくれないようなら、これまでの指導に改めるべき点があるはずです。

2016/09/01 に公開した記事をアップデートしました。


❏ 学習効果が身についたかという問いにNOが増えていく?

生徒による授業評価アンケートで「この科目について学び方が身についてきたと思うか」と生徒に尋ねてみると、学年・学期が進むにつれて、NOという答えが徐々に増えてくるケースが少なくありません。

学びが次のステージに進んだときのことを考え、そこで必要な学び方を身につけさせることに十分な意識を向けていたかどうか、指導者が省みなければならない問題だと思います。

授業内容が高度化していくのは当たり前ですが、その中で「先生が丁寧に説明してくれるのをしっかり聞き、理解できたら覚えていく」という方策しか持たないままでは、先行きの不安は火を見るより明らかです。

授業評価アンケートに際して如上の質問をひとつセットしておくだけでも、「学び方を身につけないまま進級させるリスク」をコントロールできる可能性が増やるのではないでしょうか。


❏ 知識活用の機会を重ねるほど学習方策の獲得が進む

下の散布図は、授業評価アンケートの集計結果(n=1,542)を用いて作成したものです。

横軸に置いた【知識活用の機会】は「授業で学んだことを用いた課題解決の機会が整っているか」という問いへの答えを0〜100点のスケールに換算したもの、縦軸の【学習方策の獲得】は「この科目の学び方が身についてきたと思うか」への答えを-10〜+10に換算した結果です。

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横軸と縦軸においた両項目の相関が高いことは、狭い範囲に分布が集中していることからおわかりいただけると思います。実際に、相関係数を計算してみると0.801という高い値になりました。

また、学習効果「授業を受けて学力や技能の向上、自分の進歩を実感できるか」で75ポイント(=肯定的な回答が概ね9割)以上に達した授業は、知識活用の機会≧75、学習方策≧3.0の領域に分布が集中しており、その他のエリアに位置する授業は「例外的」と言えそうです。

もう少し詳しくデータを見てみると下図のような結果になります。

画像

学習方策で+3.0以上に達する確率が十分に高まるのは、知識活用の機会が75ポイント以上に達したときのようです。


❏ 丁寧にやりかたを教えて理解させるだけでは…

冒頭でも書きましたが、ある学習内容を理解させることは、その学習内容を理解する方法を学ばせることとイコールではありません。

拙稿「教科固有の知識・技能を学ぶ中で」で申し上げた通り、各科目の学習目標達成を「手段」と捉える発想を持つことも重要だと思います。

目の前の学習内容を理解させることに意識が向き過ぎると、勢い、丁寧に説明することに気を取られ、本来なら「やらせるべき」ことを肩代わりしてしまうことがあります。

常に、できない? やらない? やらせてない?と自問し、できることはどんどんやらせる〜生徒の邪魔をしないようにしたいものです。

やらせるためのきっかけは言うまでもなく「生徒が自力で解決すべき課題」を与えることだと思います。

データもまた、「課題を与えればそれに取り組む方策を生徒は身につけ、学びの成果を積み上げられる」ということを示唆しています。

ジョージ・パットンの「人にやり方を教えるな。何をすべきかを教えれば、人はその創意工夫で驚かせてくれる」に通じるものを感じます。

山本五十六の「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」だけでは、解内在型の課題には対応できても、そこから先の創意工夫は生まれないのかもしれません。


❏ 予習や復習のやり方についても同じことが

予習や復習のやり方を懇切・丁寧に教えたとしても、それを生徒が身につけてきちんと履行しているかどうかは別問題ですし、指示した方法がその生徒にマッチしているとも限りません。

新年度を迎えたときの授業開きで伝えた「学び方」は、どのくらいの生徒が自分のものにしているでしょうか。半年が経過してもなお定着していないようであれば、年度前半での指導に不足が疑われます。

また、提示した方法に沿って学びを進めている生徒と、それ以外の生徒とで成績の伸びに違いがなければ、生徒に求めた学び方そのものの妥当性も疑ってみるべきです。

学習方法は生徒が知恵と工夫を駆使し、自力で課題解決や不明解消に挑む中で育まれます。

学びながら不明に出くわしたときの行動についても同じでしょう。

説明がわかりにくいと言われたらで申し上げた通り、生徒同士の教え合い・学び合いを促したり、参照型教材を徹底的に活用させたり、先生以外のコンサル先を生徒に持たせることが重要です。

先生の説明がわからないと立ち止まってしまい、そこから先に進めない場合と、友達や書籍を"コンサル先"(相談相手)として必要な知識や情報を得て先に進める場合とでは大違いです。


以下の記事もお時間の許すときにご高覧いただければ光栄です。
  1. 指示を的確にこなす生徒〜それだけで良いのか?
  2. 学び方における守破離
  3. 次に進んだときの学習をイメージ
  4. 生徒が解法を考える機会
  5. 教え込むより、調べさせて気づかせる
  6. "正解を言って欲しい"と言う生徒
  7. "正解ありき"で教えていないか?
  8. 自ら学び続けられる生徒を育てる
  9. 学ぶことへの自分の理由(再考)


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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