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zoom RSS 成果発表会の“成果”(その1)

<<   作成日時 : 2016/10/06 07:51   >>

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先月はいくつかの学校をお訪ねして課題研究の発表会を拝見してきました。プレゼンやポスターからは、生徒一人ひとりのこれまでの頑張りや先生方がご指導に凝らした成果が伝わってきます。課題研究を通じて、生徒さんたちは、新たな興味を見出したり探究や発表に必要な様々なスキルを身につけたりしたことと拝察いたします。


❏ 成果発表会で目指した教育成果は何か?

成果発表会は、ある学年の生徒たちが経験の中で学んだもの、積み上げたものを次の学年に引き継ぐための教育機会だと思います。

後輩たちだけでなく、同学年の生徒にとっても相互刺激・相互啓発の場となったはず。そこで得た刺激や知識、思いといったものは、将来のどこかで生きる場面を得るはずです。

ある生徒の研究成果は、それに触れた他の生徒/次の学年の生徒にとって、「こんな面白い世界もあるのか」 という気づきをもたらすだけではありません。

研究に用いた方法や考察の視点などに、倣うべきものや改めるべきものを見つけることもまた、大きな意味のある学びです。

もちろん、課題研究にしっかり取り組んできた生徒に発表の機会を与えるのも大切なことですが、目指すところはそれだけではない ── そうした認識に立って、運営に当たる必要があるのだと改めて感じています。


❏ 探究の方法を互いに学び合う場として

お訪ねした成果発表会では、それぞれの生徒が面白いテーマを見つけて研究をしていましたが、探究という活動の手法そのものには、生徒間に大きな隔たりがあります。

ある生徒の発表では、独自に分類軸を立ててから、研究対象を点検し直して、定量的(=検証可能)なデータ化を行って、考察がなされていました。

詳しいご紹介は差し控えますが、ある映画作品の歴史を振り返って、そのテーマや登場人物像の変遷を辿ったものであり、分類軸を立てて考察に臨んだことで、社会の価値観の変化に客観的に迫ることができていました。

その生徒は今後、別のテーマについて調べたり考えたりするときの、一つのフレームとして分類的アプローチを身につけたはずです。発表を見て感銘を受けた生徒もそれに近いものを得たかもしれません。

成果発表会は、他の生徒の発表から「探究の方法」 そのものを学び取る場だと思います。

発表者もそのあたりを伝えることに重きを置くよう、、また参観者もそうした視点をもって臨むよう、事前の指導をしておくかどうかで「成果発表会の成果」 はだいぶ違ったものになるのではないでしょうか。


❏ 先人が明らかにした先を見たいと思うことが学びの動機に

ある生徒の課題研究が、何らかの問題を未解決のまま残したら、それ自体が次の世代の生徒にとっては研究テーマにもなり得るはずです。

仮説を検証する材料をより広く集めて仮説のブラッシュアップを試みたり、反証を見つけて新たな考察を展開したり、引き継いだことによってできることは少なくありません。

そんなふうに一つのテーマを、世代が引き継ぎながら深めたり多角的に捉え直したりしながら、展開していったらとても面白い気がします。


❏ 学問探究への欲求を生むきっかけとして

そもそも、大学などでの研究も、そうしたものですよね。先人の研究に触れて、自分もそれを学んでみたい、その先を見てみたいという意欲が、大学への進路希望の少なくとも一部を形成しているはずです。

ある学年の生徒が研究テーマを決めるときに、前年度の生徒が残した冊子やポスターに目を通すのはとても有意義なことだと思います。

でも、生徒は自分で独自にテーマを決めることに拘ってか、先輩の研究成果を引き受けて未解決の課題に新たなアプローチを試みるという選択はあまり見られません。

せっかくの成果発表会。次の学年の生徒には自分のテーマを考えるための横断的体験の場として臨ませたいものですよね。

発表会を終えて、進路意識(=大学で何を学びたいのか、学んだことを通じて社会とどう関わりたいのか)に変化が生じた生徒もいるはずです。



課題研究/探究を進路意識形成指導の一部と位置付け、成果発表会を相互啓発の場と捉えることで、各々の教育活動が多角的に結びつき、大きな成果を結ぶのではいか。大きな可能性を感じています。

卒業生の成果展示が、在校生の学びを刺激
高大連携や進路関連のイベント#INDEX
中学での経験を踏まえて考える「高校での探究活動」

その2に続く


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一




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