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zoom RSS PPDACサイクルを用いた課題研究(前編)

<<   作成日時 : 2016/11/07 08:05   >>

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課題発見や課題解決を行う枠組み(型)の一つに、「PPDACサイクル」というのがあります。 現時点で認知度は高くないようですが、総務省統計局が開設している 「なるほど統計学園高等部」というWEBサイトに紹介されています。

問題の解決に至るプロセスが、
  1. Problem(問題): 問題の把握と明確化
  2. Plan(調査の計画): 研究計画づくり、不足する知見の補完
  3. Data(データ): データの収集・整備、統計表の作成
  4. Analysis(分析): グラフの作成、問題点の分析
  5. Conclusion(結論): 分析結果の解釈、レポートの作成
という5つのフェイズで構成されるという考え方です。


❏ 調べ学習と探究活動とでは目的が違う

小中学校で広く行われている調べ学習は、「指定された/自分で選んだテーマについて、文献に当たったり、聞き取り調査をしたりして結果をまとめる」ことで興味発現のきっかけを狙った体験的・横断的な学びです。

児童・生徒から「やってみて面白かった」との感想を引き出せれば、当座の目的はかなりのところまで達成したと言えるかもしれません。

しかしながら、これらをすでに経験してきた中学生、高校生に同じことを繰り返させても意味は大きくありませんよね。その先に挑ませる必要があります。

物事を明らかにしていくことの姿勢やその方法も身につけさせなければなりませんし、学びを深め掘り下げる中で、大学に進んで学びたいことや、学んだことを用いた社会との関わり方に思いを巡らす貴重な機会だからです。

 ■ 『TOK(知の理論)を解読する』 を読んで
 ■ 探求型学習を使った進路指導〜探究活動と進路意識形成の一体化 


❏ 探究活動に用いるフレームワークを学ぶ必要性

方法を学ばず、やみくもに取り組むだけでは、体験的な調べ学習の先にはなかなか進めません。

探究を通じた目的とするところに近づくには、一定の型(探究学習の方策や手順)を知っておく必要があります。

やりかたを生徒に任せて「やってみることが大事」という段階は、小中学校での体験で通過しているはずです。

その先に進ませるには、領域に応じたいくつかの型をきちんと示し、実践を通じて生徒に習熟させる必要があるのではないでしょうか。

 ■ 探究活動や課題研究と成果発表会(まとめと追記)

冒頭で紹介したPPDACサイクルは、統計的な思考法や統計を扱う知識・能力(リタラシー)と課題発見&解決の能力を結び付けたものですが、探究活動や課題解決行動のひな形として大きな可能性を持つように感じます。


❏ 最初の一歩は、疑問を「問い」に起こすこと

最初のフェイズである Problem (問題の把握と明確化) というのは、大雑把に言えば「問いを立てる」ということです。

周囲に関心を向けてさえいれば、「問い」はいたるところに転がっています。日頃から新聞を読んでいれば、賛否の分かれる論点や疑問に感じることはいくらでもありますよね。

教科書に書かれていることにだって、当たり前とスルーしないで、「なぜこう言えるんだろう/どうやってわかったのだろう」と、知識そのものにツッコミを入れる (=疑問を抱く)姿勢を持ちさすれば、解明すべき「謎」には事欠きません。

そういった社会問題や科学上の疑問、だけでなく、身近なところにも疑問はいたるところに転がっています。


❏ 「当たり前のこと」をスルーしないことが大事

夏の昼間にベランダの手すりをうっかり触ってしまい火傷しそうになったとき、「鉄はどうしてこんなに熱くなるんだ?」と疑問を持つことだってあるでしょう。

熱いから触らないようにするという智恵を得ることも大事ですが、「どうして?」と思うかどうかが探究の入り口です。

本を読んでいて、「この文章、なんだか読みにくいなぁ」という感想に止まらず、「なんで読みにくいんだろう」と考えれば、次節に例示する探究に繋がります。

こうした疑問を持つかどうかは、もともとの性格による部分もあろうかと思いますが、トレーニングによって修得することもできるように思います。

日頃の授業で「書かれていることを疑って読む」ことを促し、「答えるべき問い」を投げかけていくことが、そうした姿勢を生徒のうちに育む第一歩です。


❏ 問いを起こしたら、調査の計画に

例えば、「人を引き付ける文章とは何か」「わかりやすい文章とはどういうものか」という問いを立てたとしましょう。

「わかりやすい文章」というキーワードでインターネット上の記事を検索したり、図書館で本を探して読んでみたりするだけでは、「調べ」はしていますが、探究とは呼べませんよね。

自分が立てた問いに答えを導くのに、先人達がどんなアプローチを採ってきたかを調べてみるのは、仮説を予測する準備の段階だと思います。

読みやすさ、わかりやすさの構成要因は何かを調べようと思うなら、最初の一歩は、様々な文章をサンプルとして集めて比較検討してみるところでしょうか。

ジャンルやタイプが違った文章をサンプルに比較しても、余計な要素が入り込み過ぎる(ノイズが大きい)ため、比較が容易にできません。

同じテーマを扱った文章を集めるには、同じキーワードで検索して、ネット上の膨大な「書庫」を利用するのが手っ取り早い方法です。

試しに「自然との共生」で検索してみたら、96万件ヒットしました。行政が公開しているようなお堅い文章もあれば、個人が勢いだけで書いているものもあり、サンプルは簡単に集まりそうです。

その2に続く


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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一




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探究活動、課題研究
1 横断的・体験的な調べ学習の先にある探究活動1.1 高校生にとっての探究活動 1.2 PPDACサイクルを用いた課題研究(その1) 1.3 PPDACサイクルを用いた課題研究(その2) 1.4 『TOK(知の理論)を解読する』 を読んで 1.5 中学での経験を踏まえて考える「高校での探究活動」 2 探究型学習がつなぐ各教科の学び(合教科・科目型学力)2.1 探究を軸に教科の学びをつなぐ 2.2 教科固有の知識・技能を学ぶ中で 2.3 総合的な探究の時間 2.4 学習指導・... ...続きを見る
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