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zoom RSS 成果発表会の“成果”(その2)

<<   作成日時 : 2016/10/07 06:13   >>

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課題研究や探究活動の成果発表会は、次の学年に多くのものを引き継ぐ教育機会です。考察を経て残った未解決の課題は次学年の生徒の研究テーマになり得ますし、研究・考察に用いた優れた手法は、倣うべきものとして同級生や後輩たちに伝えたいものです。

自分自身が行った探究は、進路意識(=大学で何を学びたいのか、学んだことを通じて社会とどう関わりたいのか)の芽生えや深化に繋がりますが、他者の成果に触れて啓発されることも大きなきっかけになるはずです。


❏ 探究の方策を体系的に学ぶ機会も

担当の先生によって指導に違いが生じることも気になります。教科学習指導の場合と違い、指導法を体系的に学ぶ機会もそれほど整備がされていないことも一因でしょう。

総合的な学習の時間は、次期学習指導要領で「総合的な探究の時間」 に名称を変えることになりそうです。

横断的・体験的な総合学習から探究的な総合学習への転換に対応するために、まずは教える側が探究の方法を体系的に学んでいく必要があります。

 ■ ご参考図書: 『学びの技』(玉川大学出版2014)

生徒には、全体像をいっぺんに示しても、一度も経験していない(=認知の網も張れていない)だけにピンとこないと思います。

テーマの選定、先行研究の参照、仮説の立案、実験方法の検討、検証と考察といったステップごとに、その都度丁寧にガイダンスを行いたいもの。

学年や学期ごとに幾度かミニ探究を繰り返したり、各教科の学習の中で同様の経験を少しずつ積ませたりすることで、スパイラルの中におき理解の体系化と深化を図っていくのが好適です。


❏ 成果を発表する生徒をどう選ぶか

探究活動の方策そのものを学ばせていくことに加え、成果発表会での発表者/代表者を選ぶときの視点と方法も重要です。

様々なテーマ・ジャンルから満遍なくという選抜基準は、横断的・体験的な総合学習を進める段階ではOKかもしれませんが、探究にフォーカスが移った場面では十分とは言えません。

横断的・体験的な学習が、興味を持つきっかけを広く整えることに主眼を置くのに対して、探求型の学習は、興味の深化と物事を突き詰め明らかにする方策を身につけることに重きが移るからです。

発表者・代表者は、発表のクオリティの高さやテーマの独創性などに加えて、
  • テーマを選んだときのプロセスに学ぶべきものがある
  • 考察に際して軸をしっかり持っている
  • 仮説の検証が的確に行われている
  • 研究テーマに対して当事者として向き合う姿勢が明確
なども備えていることが大切です。

代表者選出に際しての選考基準をしっかり定立することが、相互啓発に役立つ研究を正しく選ぶための前提要件ではないでしょうか。

そうした観点は、生徒にとって取り組みの指針にもなり、前述のガイダンスに際して示すことで有意な使い方ができるのではないでしょうか。

発表者/代表者を選び出すためにも、探究活動のルーブリックが必要ということになりそうです。

 ■ ご参考: コモンルーブリック(リサーチ) ※文科省HPからPDFで開きます。


❏ 生徒が自分の研究を相対化できるように

先輩や過年度生のパネルを校内に展示している学校がちらほら見られますが、在校生はどのように使っているのでしょうか。

自分が研究テーマを選ぶときの参考にするだけではもったいない気がします。

如上の「探究活動の評価観点」 に照らしながら複数のパネルや発表を比較してみれば、漫然と眺める時よりはるかに多くを学べるのではないでしょうか。

面白そうなテーマのヒントを見つけるというのとは見方が違いますよね。生徒は、課題研究・探究活動の進めかた、完成度の高め方に新しい見方を得ることになります。

もちろん、「パネルのところへ行ってみておいで」 で指導がうまく回れば苦労はしません。探究活動のガイダンスなどで、実際にいくつかの成果品パネルを使って、比較評価を実地に経験させるのが好適です。

表現力を高める指導の公開添削と同じですね。同じものを見て、他の生徒が違う感じ方をするのを知るだけでも、相対化は進みます。


❏ メモをとる姿勢と評価者スキル

成果発表会に聞き手として参加している生徒の様子を見ると、メモを取りながら聴く生徒が多い学校もあれば、ほとんどの生徒が目と耳だけを働かせている学校とがあります。

ちなみに、発表後に質問が活発に飛び交った学校ほど、生徒がノートを片手に発表を聴いている姿が多かったように感じます。定量的に検証はしていませんが、…。

限られた時間で何人もの発表者が登壇するだけに、密度の高い情報と刺激が次から次に飛び込んでくるだけに、短期記憶はあっというまに上書きされてしまうはず。

メモを取らずによほど印象が強かったものだけが残れば良いという考え方もあろうかと思いますが、自分の中で芽生えた小さな気づきが後になって大きなイノベーションに繋がることもあります。

発表会に限らず、あとでメモを見ながら思考を整理してみると、一見無関係に見えたものが結びついたり、新たな側面を見せたりするものです。

せっかくの気づきを霧消させないためにも、メモを取ることを日頃から意識させても良いのではないでしょうか。

 ■ ノートにメモを取らせる指導(記事まとめ)
「人の話を聴きながら、しっかり考え、その痕跡を文字に残していく」 というのが学びの場におけるメモのあり方ではないでしょうか。メモには2つの種類があります。ひとつは、相手の発言を記録するもの。もう一つは、相手の発言を聞いて自分が感じたこと考えたことを記録するものです。メモは、次の発想を刺激し思考を広げてくれる大切なアンカー。学びに能動性をもたらす効果があり、早いうちから習慣づけたいものです。



教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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