探究活動や課題研究と成果発表会(まとめと追記)
課題研究や探究活動が、学校の教育活動の中に根付き、確固たる地位を得て、先輩から後輩に引き継がれていくものが生まれたら、それば学校の文化のひとつだと思います。
学校内の行事はすべからく教育活動であり、相互啓発の機会として仲間や先輩がやっていることを見て「自分たちもあの高みを目指したい、あそこまで行けるんだ」と思えることが大切なのだと思います。
素晴らしい文化祭や合唱祭、演劇コンクールなどが根付く学校では、一つの文化として先輩から後輩に継承されているものがあります。他方、文化祭から「文化」が取れて出店やアトラクションが並ぶだけの「祭」に堕しているケースも少なくありませんが…。
成果発表会も行事の一つ。課題研究や探究活動で、先輩たちの足跡に触れることができる貴重な機会のひとつです。
日々の授業での課題解決学習などを含めて、課題解決のスキームをきちんと学ばせることに加え、それを具現できた発表者を明確な意図のもとで選出することが「相互啓発の場」として機能させるための条件です。
その上で、刺激の受け取り手である後輩にも参観者として必要な事柄、例えば評価のスキルなどを指導して身につけさせておくことで、成果発表会は相互啓発と文化継承の場として活きるのではないでしょうか。
成果発表会の“成果”(その1)
├ 成果発表会で目指した教育成果は何か?
├ 探究の方法を互いに学び合う場として
├ 先人が明らかにした先を見たいと思うことが学びの動機に
└ 学問探究への欲求を生むきっかけとして
成果発表の“成果”(その2)
├ 探究の方策を体系的に学ぶ機会も
├ 成果を発表する生徒をどう選ぶか
├ 生徒が自分の研究を相対化できるように
└ メモをとる姿勢と評価者スキル
良いものを選んで重点的に~探究活動の成果発表
├ すべての成果品を同等に扱うことにメリットはない
├ 事前の審査結果を表示方法に反映させる
├ 成果発表会は学校の教育力を評価される機会
└ どんな成果品を選出するかは評価規準に沿って
選定理由の言語化を~探究活動の成果発表会
├ 合理的な理由なしに代表作品を選ぶことで生じる問題
├ 選定理由そのものを教員間で突き合わせる
├ 選定理由を言語化することで改善課題が見えてくる
├ 探究活動を評価するルーブリックは整っているか
└ 適切な評価・選定で、探究活動の成果を確かなものに
内外の理解・協力を得るためにもきちんと効果測定を!
探究型学習(課題研究等)の成果をどう測るか
探究活動を通じて、生徒は様々な「目に見えない学力」 を獲得しています。興味の先に見出す「学ぶことへの自分の理由」や、それが具体化した「進路意識」 などもそうですし、解が特定されていない課題を解決するときのスキームやそれらに取り組むときの姿勢なども含まれます。
指導に当たられる先生方の苦労が並大抵ではないのは現場を拝見するたびに痛感しますが、それでも探究活動には投資をはるかに超えた大きな効果があります。
きちんと成果検証を行い、校内外に理解者と協力者を増やしていくことも、探究型学習/課題研究を学校に根付かせていく上で欠かせません。
探究に必要なスキルと姿勢を書き出して行動評価の規準として用いることで、活動を通じた生徒の成長の度合を定量的に捉えておくのは極めて大切なことです。
また、成果発表の直後や卒業して暫くたったタイミングで、探究を経験した生徒にアンケート調査などを行い、学習者・研究者としての自分の成長をどう感じ取っているかを調べてみることも検討したいところ。
たとえ、直ぐには目に見えた変化(効果)がなくとも、生徒の記憶に残った「原体験」が後になって形になる可能性も小さくありません。
同窓会と連携した追跡調査(コホート研究)も検討してみたいところです。学校の取り組み、後輩たちの頑張りを見て卒業生が協力に駆けつけてくれるようになれば、斜めの関係を作るきっかけにもなりそうです。
■関連記事
総合的な探究の時間
高大連携や進路関連のイベント#INDEX
探求型学習を使った進路指導#INDEX
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一
学校内の行事はすべからく教育活動であり、相互啓発の機会として仲間や先輩がやっていることを見て「自分たちもあの高みを目指したい、あそこまで行けるんだ」と思えることが大切なのだと思います。
素晴らしい文化祭や合唱祭、演劇コンクールなどが根付く学校では、一つの文化として先輩から後輩に継承されているものがあります。他方、文化祭から「文化」が取れて出店やアトラクションが並ぶだけの「祭」に堕しているケースも少なくありませんが…。
成果発表会も行事の一つ。課題研究や探究活動で、先輩たちの足跡に触れることができる貴重な機会のひとつです。
日々の授業での課題解決学習などを含めて、課題解決のスキームをきちんと学ばせることに加え、それを具現できた発表者を明確な意図のもとで選出することが「相互啓発の場」として機能させるための条件です。
その上で、刺激の受け取り手である後輩にも参観者として必要な事柄、例えば評価のスキルなどを指導して身につけさせておくことで、成果発表会は相互啓発と文化継承の場として活きるのではないでしょうか。
成果発表会の“成果”(その1)
├ 成果発表会で目指した教育成果は何か?
├ 探究の方法を互いに学び合う場として
├ 先人が明らかにした先を見たいと思うことが学びの動機に
└ 学問探究への欲求を生むきっかけとして
成果発表の“成果”(その2)
├ 探究の方策を体系的に学ぶ機会も
├ 成果を発表する生徒をどう選ぶか
├ 生徒が自分の研究を相対化できるように
└ メモをとる姿勢と評価者スキル
良いものを選んで重点的に~探究活動の成果発表
├ すべての成果品を同等に扱うことにメリットはない
├ 事前の審査結果を表示方法に反映させる
├ 成果発表会は学校の教育力を評価される機会
└ どんな成果品を選出するかは評価規準に沿って
選定理由の言語化を~探究活動の成果発表会
├ 合理的な理由なしに代表作品を選ぶことで生じる問題
├ 選定理由そのものを教員間で突き合わせる
├ 選定理由を言語化することで改善課題が見えてくる
├ 探究活動を評価するルーブリックは整っているか
└ 適切な評価・選定で、探究活動の成果を確かなものに
探究型学習(課題研究等)の成果をどう測るか
探究活動を通じて、生徒は様々な「目に見えない学力」 を獲得しています。興味の先に見出す「学ぶことへの自分の理由」や、それが具体化した「進路意識」 などもそうですし、解が特定されていない課題を解決するときのスキームやそれらに取り組むときの姿勢なども含まれます。
指導に当たられる先生方の苦労が並大抵ではないのは現場を拝見するたびに痛感しますが、それでも探究活動には投資をはるかに超えた大きな効果があります。
きちんと成果検証を行い、校内外に理解者と協力者を増やしていくことも、探究型学習/課題研究を学校に根付かせていく上で欠かせません。
探究に必要なスキルと姿勢を書き出して行動評価の規準として用いることで、活動を通じた生徒の成長の度合を定量的に捉えておくのは極めて大切なことです。
また、成果発表の直後や卒業して暫くたったタイミングで、探究を経験した生徒にアンケート調査などを行い、学習者・研究者としての自分の成長をどう感じ取っているかを調べてみることも検討したいところ。
たとえ、直ぐには目に見えた変化(効果)がなくとも、生徒の記憶に残った「原体験」が後になって形になる可能性も小さくありません。
同窓会と連携した追跡調査(コホート研究)も検討してみたいところです。学校の取り組み、後輩たちの頑張りを見て卒業生が協力に駆けつけてくれるようになれば、斜めの関係を作るきっかけにもなりそうです。
■関連記事
総合的な探究の時間
高校の「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」に名称変更されるとのこと。 小中学校では横断的・総合的な学習」 で視野と興味のすそ野を広げて、高校での探究的な学習で学びを深めるという順序が想定されています。深く学べば、その先にあるものとの関わりを考えます。学んだものを介して社会とどう関わるかという進路意識の形成に繋がるはず。探究スキルは、各教科の学びにも利用できる「学習方策」であり、学習を深める土台も作れます。
高大連携や進路関連のイベント#INDEX
外部講師を招いての講演会、課題研究などの発表会、進路指導・キャリア教育を目的としたワークショップなど、生徒向けの授業外イベント・行事には様々なものがあります。校外から講師や指導者を招くことは生徒に大きな刺激を与えますが、指導計画の中に明確な目的をもって組み込み、日頃の指導と明確に関連付けることで効果の拡大が図れます。
探求型学習を使った進路指導#INDEX
探求型学習を通して、興味を持てる学問・研究や社会の取り組みを見つけ、そこから具体的な進路希望を作っていく生徒がいます。職業をターゲットにして逆算的に作ったルートに乗せる指導に限界が見える中、キャリア教育を補完する、あるいはその一部を置き換えるものとして、探求型学習の可能性は大きく広がっているように思われます。