同じことを尋ねたつもりでも…(学校評価アンケート)

学校行事が一巡したこの時期に、学校評価アンケートを実施するケースが多いようです。一番の悩みどころは、質問文の作り方。同じことを尋ねたつもりでも、ちょっとした文言の違いで、回答の分布がまったく違ってしまいます。

例えば、生徒に答えてもらうアンケートで、

質問 A担任の先生が生徒にどんな行動を期待しているか、
はっきり理解できる。

という質問文を設けることがあります。質問文の意図と、回答の違いでもたらされる影響などについては、こちらの記事をご欄ください。

これに対して、

質問 B担任の先生が自分に期待していることが明確である。

という質問文があったとします。

ご想像の通り、両者の回答分布はまったく違ったものになります。

同じ学校で同時に2つの質問に答えてもらったデータはさすがに手元にはありません。

正確な比較はできないことを覚悟の上で、成り立ちがわりと近い学校での回答データと照らし合わせて比べてみました。

右の箱ひげ図(四分位図)が、その結果です。縦軸の数値は、5択の回答を得点に換算したもので、75ptなら肯定的な回答が9割程度に達します。

箱の位置が重ならないほどの違いが生じていますよね。

質問Aを採用している学校間ではこれほど大きな違いは見られません。

両者の違いを生じた理由はいくつか想定できます。

質問Aでは、「生徒」 という集団に対して先生が抱いている期待、つまりは「目指したいクラス、望ましい生徒像」にフォーカスが当たるのに対して、質問Bでは「先生と自分という一対一の関係性」 の中で答えを選ばなりません。

また、質問Aの「どんな行動を期待しているか」 と質問Bの「期待していること」 の部分でも、受け取り方がだいぶちがいますよね。

質問文は、簡素なほど回答者に負担がかからず好ましいのですが、フォーカスがずれることのないように最小限の情報はきちんと組み込む必要があります。

その2に続く。

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一



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