考査問題の妥当性を評価し、最適化を図る

「授業で何を教えるか」 と「考査で何を測るか」 はともに、担当する先生がたの頭の中にある学力観を反映したものだけに、両者はほぼ同じものです。片方の最適化を図れば、もう一方もおのずと改善されます。

授業改善を図ろうとしたとき、相互参観や研究授業を行いますが、指導で何を目指すかという「主眼」 に関わる部分については、考査問題を材料に話し合い、知見や発想を交換する方がやりやすく、また成果を固定できる分効果にも勝ります。

ちょっと考えてみただけでも、時々刻々と局面を変える授業そのものを協議の材料とするより、紙の上に固定された考査問題について検討・協議する方がやりやすいのは自明ですよね。

また、考査の妥当性を高めておかないと、学力の形成、進路希望の実現といったゴールを目指す中での中間検証が正しく行えません。

「考査問題の妥当性」 という視点を持ち、目標学力の形成における中間検証の機能をきちんと持ち得る考査とはどのようなものか、教科組織の中で認識を共有できることは、授業のあり方にもより好ましい見方をもたらします。



一昨日、昨日と、「考査問題における得点集計(集計の取り方と活用法)」 と、「考査問題に使う初見材料をどこから調達するか」 の2本の記事を公開しましたが、これを機に、関連記事の更新を思い立ちました。

当該記事は、公開から1年半以上が経過しています。その間に学ばせていただいたことを少しでも反映できていればと思います。お時間の許すときにご高覧をいただければ光栄です。



2016.11.18 追記:

❏ 目標学力への接近を正しく測れる考査は、学びの羅針盤

目標学力への接近を正しく測れる考査があってこそ、その考査で好成績を目指す生徒の努力が、進路希望の実現を引き寄せます。

間違ったモノサシに照らして頑張ったところで、本来進むべき方向と違った方向に進むのにエネルギーを使わせてしまっているかもしれません。


❏ 優良実践の抽出にも、正しいモノサシが欠かせない

考査問題の妥当性を十分に高めておけば、考査のたびにクラス間で成績の比較を行うことで、より効果的な指導法の所在も特定しやすくなります。

相互参観や、そのクラスを担当する先生からの実践報告などで知見の共有を図れば、学校全体での教育力向上、授業改善にも確実につながっていくのではないでしょうか。

 ■ 考査問題の改善が授業も変える


❏ 一定期間を経過した変化から、好ましい学習者像を探る

また、きちんと目標学力を予測できるテストなら、一定期間を挟んだ2回のテストで作った散布図には、伸びた生徒と苦戦した生徒が現れます。

ケース会議などを通じて、伸びた生徒の行動を特定し、「望ましい学習者像」 として次学年の生徒に示していくこともできるのではないでしょうか。

画像

多忙を極める先生方に、お手間を増やしかねないご提案をすることに躊躇も覚えますが、考査の妥当性を確かめながらその向上を図る取り組みは、十分にコストに見合った成果をもたらしてくれるものと確信しています。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

この記事へのトラックバック

  • キーワード=“評価・考査・成果検証”の記事一覧

    Excerpt: キーワード別 記事インデックス 評価、考査、成果検証2016-11-18 更新 Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2016-11-18 06:56
  • 知識をどこまで拡張するかは個々のニーズに合わせて

    Excerpt: ひとつの単元を学んだんときに、どこまで拡張して知識を獲得させるか ── 生徒の進路希望を実現しようと、最大公約数的に広く網をかけていくと、「そこまでは必要ではない」 という生徒に過剰な負担をかけること.. Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2016-11-21 06:21
  • クラス内での学力差にどう対処すべきか(記事更新12/6)

    Excerpt: どんなクラスでも学力差は存在します。たとえ、習熟度別にクラスを分けて展開授業を行っても学力差は残りますし、時間の経過ともに差が再び拡大していくのは多くの先生方が経験している通りだと思います。 Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2016-12-06 07:13
  • クラス内で生じた学力・学欲差への対処法

    Excerpt: どんなクラスでも学力差は存在します。たとえ、習熟度別にクラスを分けて展開授業を行っても学力差は残りますし、時間の経過ともに差が再び拡大していくのは多くの先生方が経験している通りだと思います。 Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2016-12-14 05:52
  • 考査問題で何をどう測るか

    Excerpt: 1 考査問題の改善が授業も変える1.0 考査問題の改善が授業も変える(序) 1.1 考査問題の改善が授業も変える(前編) 1.2 考査問題の改善が授業も変える(後編) 2 考査問題の妥当性評価2.. Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2017-01-05 06:09
  • 生徒にYESと答えてもらいたい質問

    Excerpt: 指導目標の達成により大きく近づいた指導(=付加価値)の大きな指導を特定して共有を進めることで、組織的な授業改善が進みます。一人ひとりがより良い指導を目指して試行錯誤を繰り返すことは大切ですが、その段階.. Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2017-09-19 07:52
  • 考査問題と被験者学力のマッチング

    Excerpt: 考査問題の妥当性を評価し、最適化を図ることの重要性は以前の記事でも書いた通りですが、たとえ同じ問題であっても、どんな学力層の生徒に与えるかで「良問」にも「悪問」にもなり得ます。 Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2017-11-02 06:08
  • データをいかに利用するか INDEX

    Excerpt: 学校には実に様々なデータが蓄積されていますが、集めて貯めるばかりで十分に活用されていないことも少なくありません。 Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2018-06-06 05:03
  • 夏休みの過ごさせ方を振り返って、来期の指導設計を

    Excerpt: 昨日のブログで、「自由研究/課題研究は狙い通りの成果を得たか?」と題して、夏休み中の宿題の代表格(?)である自由研究、課題研究について考えてみました。夏休みと言えばもう一つ、講習会や補習授業もあります.. Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2018-08-28 06:21
  • 定期考査の失敗を繰り返させない~リベンジ自習会

    Excerpt: 日々の学習の中で「伸びている実感」を抱いたり、自らの進路希望の実現に展望を持てたりすることは、学び続ける意欲を維持するために欠かせません。少なからぬ生徒が模試成績を通じてそれらを感知しますが、模試の点.. Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2018-09-13 04:52
  • アンケートで探る“学ぶ側の認識” #INDEX

    Excerpt: 学習評価は、個々の生徒の現状を正しく捉えゴールに導く方策を考えるにも、これまでの指導の成果を検証し、改善に向けた課題を形成するにも欠かせないものです。学習評価は多面的に行う必要があり、知識・技能、思考.. Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2019-02-07 07:07
  • 授業で使った教材・課題や考査問題の引き継ぎ

    Excerpt: 新年度の引き継ぎに際し、これまでの指導で使用した教材や課題、考査問題などを必要に応じて次年度以降でも利用・参照ができるように調えて残すしておくことはとても重要です。日々の指導の中で積み上げてきた工夫に.. Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2019-03-18 07:57
  • 試行テストの分析で用いられた出題評価の手法

    Excerpt: 昨年11月に実施された大学入学共通テストの試行テストの検証結果が先日、大学入試センターのホームページで公開されました。既にご覧になられたと思いますが、本日のブログでは、結果分析で用いられていた出題評価.. Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します! racked: 2019-04-10 05:59