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zoom RSS 家庭学習の質と量〜仮のアウトプットで時間の延伸

<<   作成日時 : 2016/11/04 08:32   >>

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家庭学習時間調査はたいていの学校で実施しており、平均学習時間について指導目標を立てている学校も少なくありませんが、調査の目的と方法についてきちんと整理しておく必要もありそうです。


❏ 目標達成に必要な投資量(学習時間)には個人差がある

授業外の学習時間を延伸することは、当然ながら目的ではありません。生徒の学力を伸ばすという目的を達成するために手段に過ぎません。

昭和の時代から、難関突破には「学年プラス1時間」 などの表現で、家庭学習に投じる時間の目安を立ててきましたが、そこに合理性はあるのでしょうか。

確かに、全生徒を母集団に平均学習時間と成績とを調べてみると、たしかに両者の間には相関が見られますが、相関係数は必ずしも高くなく、近似線から大きく離れているケースが多く見られます。


❏ 散布図上の位置から、一人ひとりの課題を探る

横軸に学習時間を、縦軸に成績をとった散布図を作成し、それぞれの中央値をX軸、Y軸としてみると、、「時間をかけているのにできない生徒」 は第四象限に、「時間をかけていないからできない生徒」 は第三象限に現れます。

前者の生徒には、学習方法のカウンセリングが必要かもしれませんし、後者には、時間の使い方を改めタスクマネジメントを覚えさせることが必要でしょう。

ちなみに、第二象限にいる生徒は、過去の努力で作った貯金で点数をキープしているだけかもしれないので、たとえ現時点の成績が良くても注意して見守る必要があります。


❏ 科目ごとの相違を捉えるには学習生活の記録が必要

当然ながら、勉強方法や取り組む意欲は同じ生徒であっても、教科・科目ごとに異なりますので、学習時間は科目ごとに把握する必要があります。

このニーズに照らして考えれば、「平日は平均してどのくらい勉強しますか」 という聞き方に無理があるのは自明です。

忙しい毎日の中で、一週間分をいちいち覚えていられませんよね。

ビジネス手帳を用いた指導 を行っているなら、こまめに記録を書き込ませておき、一日の終わりにその日の過ごし方を振り返る際に、科目ごとに集計させておくなどの方法を講じれば、この課題はクリアできそうです。


❏ 学力伸長に寄与しないノルマ型の宿題になっていないか

授業の実施単位(クラス)ごとに各象限の分布をみると、教員による授業デザイン、とりわけ宿題の出し方に課題が見つかることもあります。

他のクラスと比べて、第四象限(時間をかけているのに伸びない生徒)の分布が厚かったとしたら、宿題の量ではなく質に問題があるということです。

授業で学んだことを初見の課題を解決するのに用いるタイプの課題を通じたアウトプットの機会は、学力伸長に大きく寄与しますが、習ったことを記憶して再現できるようにするだけの課題では効果は小さくなります。

適切なアウトプットがなければインプットの不備にも気づけず、理解しないまま覚えているだけでは、初見課題の解決力が高まるとは思えませんよね。

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❏ 教室を出る前の仮のアウトプットが履行率を高める

授業で学んだことを用いて解決すべき初見の問いをきちんと用意し、授業終了時に「仮のアウトプット」 をさせておくことをお奨めします。

途中まで解きかけていれば、「仕上げたい」 との欲求も生まれますし、仮のアウトプットを経てわからないところがはっきりすれば、周りに訊くことも先生に質問することもできます。

家に持って帰って「わかんないや、明日学校で誰かのを写そう」 とさせてしまわないためにも、教室を出る前に疑問点の所在に気づかせることが重要です。

宿題となる問題をひと通り眺めさせて、解き方の方針や答えのまとめかたを言葉にさせるだけでも違うはず。指名して発言させても良いですが、隣同士に説明させた方が好適です。より多くの生徒に、理解したことを言語化する機会を与えることができるからです。


❏ それでもやはり、家庭学習には十分な時間を投じるべき

冒頭で、授業外学習に投じる時間を延ばすだけでは意味がないという趣旨のことを書きましたが、きちんと学習時間を確保させることを否定しているわけではありません。

持ち時間を上手に使い、しっかり勉強することはやはり必要です。

何かやりたいことを見つけたときに、それが手の届かないところにあったら諦めるしかありません。できりかぎりのことを日々積み重ねることが、偶然との出会いに備えることです。

学校の勉強をこなすだけなら、要領のよい生徒、授業によく集中しその中で多くをこなせている生徒は、それほど多くの時間を自宅の机の前で過ごす必要はないかもしれません。

でも、その生徒にとって余力を大きく残して、本来なら到達できるよりはるか手前で足踏みさせていては、その生徒に拓ける未来の姿が変わってしまうのではないでしょうか。


❏ 課題・宿題の付与は複線的に

となると、生徒一人ひとりに能力と意欲に応じた課題を用意する必要がありそうです。でも、教室は集団指導の場であり、「個別」 の対応には限界があります。

生徒それぞれが目標とするところも違えば、課題をこなす基礎学力も違いますよね。クラス全員に同じ課題を与えても、過剰負荷と伸びこぼしを同時に作るだけと考えることがスタートです。

宿題を「必達」「標準」「挑戦」 の3段階に分けて、標準がどうしてもこなせなければ「必達だけでも可」とし、受験科目として難関に挑むつもりなら「挑戦」 にも、という段階性は必要だと思います。

また、一つの課題から複線的なゴールを設ける方法 もあります。生徒が意欲と必要に応じて選べる状態にすることもご検討いただくべきことの一つです。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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