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zoom RSS 課題解決学習における導入の工夫

<<   作成日時 : 2017/01/26 07:13   >>

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昨日の記事では、進路講演などの単発イベントで所期の成果をより確実に得るための工夫 について考えました。進路意識を持たせたり、キャリアについて考えさせたりするこうした機会を、講演タイプではなく、ワークショップ型で運営するケースも増えてきています。

あちらこちらで参観させていただく中で見出した、うまく機能しているケースとそれ以外の違いについて、考えるところをまとめてみたいと思います。


❏ 討論を成立させるには「前提知識」が必須

総合的な学習の時間を含めて、課題解決型学習を行う場合、生徒の側で基礎的な知識が不足していたり、テーマの周辺に存在している解決すべき問題に気づいてなかったりすると、グループでの討論も盛り上がりません。

背景知識が共有されていない状態では、発想や意見の交換を望むべくもありません。

「協働によって新たな課題に解を導く」 という当座の目標も達成できないばかりか、その活動を通じて身につけるべき資質や姿勢の獲得にも不安が残ります。

教科の内容を学ぶときも同じですが、課題解決のための話し合いに進む前に、前提となる知識や背景知識をある程度まで整えておく必要があります。


❏ 導入講義だけで何とかしようとしても…

かといって、背景知識を整えようと、導入講義を長々とやってしまうのも考えものです。

そもそも、背景知識・前提理解が揃っていない段階で行うことですから、知っている生徒にはすでに新味のかけらもなく、知らない生徒には認知の網が足りないので講義自体が十分に理解できません。

総合的な学習の場合、このギャップは、カリキュラムが整った教科学習指導のときとは比べ物にならないほど大きく、導入講義の設計はとても難しくなります。


❏ 導入講義を端折り、お題の提示から入る

導入講義から入るのではなく、思い切って、お題を最初に示してしまう方法に切り替えてしまうと割とうまく行くことが多いようです。

お題というのは、「その日の活動を経て、生徒たちが自分たちなりの答えを導くべき課題」 のことです。

当然ながら、この段階でまともな答えは導けないことは織り込みずみです。

不足する知識、偏った見方に縛られたものであり、「仮の答え」 にすらならないかもしれませんが、ここでの狙いは「問題意識を刺激して、何について考えるかフォーカスを与える」 ことと考えましょう。


❏ 前提知識・背景理解は、自力と協働で整えさせる

解くべき課題を示して、生徒それぞれに考えさせながら、やるべきことは、
  • 資料文献や新聞記事のコピーなどを配って読ませる
  • 読んだことを元に、感想や意見を交わさせる
  • メンバーそれぞれが知っていることを伝え合わせる
  • ときには、スマホやタブレットを使って調べさせ、関連することがらにまで視野を広げさせる
などです。

このプレ活動を挟むことで、背景や前提となる知識の補完を図り、解決すべき問題点を具体的にイメージさせることができたら、ようやく「学習」 の本番です。


❏ 討論にフォーカスを与える「問題点の切り分け」

背景知識などをある程度整える段階を経たら、討論が拡散しないように、問題点を切り分けておく必要があります。

大きなお題のままでは、切り口が多すぎて、感想の伝えあい、意見の言い合いで終わるリスクが高まります。

講師の側から、最初のお題をいくつかの観点に分割した問いを示しても良いし、生徒自身が立てた問いを共有しても良いと思います。

最初のお題に対して、それぞれの生徒が自分なりの切り口を見つけているはずです。それらを付箋に書き出し、ボードの上で整理していけば、様々な問題のカテゴライズができるのではないでしょうか。


❏ 興味の所在に応じて、グループを再編

また、問いの切り分けが済んだら、それぞれの生徒が面白そうと感じた問いのもとに集まらせて、グループを再編するのもお奨めです。

もちろん、グループを固定しておき指定した問いに取り組むことで、それまで考えてみることのなかった事柄を学ばせることにも大きな意味がありますが、直感的に面白いと感じたことに取り組んだ方が、生徒の興味のふくらみが早いというのもまた事実。

面白いと感じたということは、そのサブテーマの周辺にある程度の認知の網が張られていたということであり、ディスカッションに参加しても、一定以上の役割を果たせる可能性が高まります。


❏ 集団達成の喜びが協働性を育て、興味を広げる

講義から、討論、発表、講評という4フェイズで組むのではなく、プレディスカッション、調べの時間、グループ再編などを挟み込むことで、その時間がより大きな果実を結ぶことに繋がりそうです。

まったく興味もわかず、ぴんと来ないテーマで討論に参加させられても、チームに貢献することも、自分の意見をまとめ上げて表明する喜びも感じにくいかもしれません。

こうした喜びや達成感は、課題解決に向けた協働の大切さを学ばせる貴重な機会。主体性や多様性の獲得につながるかもしれませんし、活動を通じて膨らませた興味がやがては将来の夢や進路意識となっていくかもしれません。

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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