チャイムから生徒が活動を始めるまで何分かかる?

授業開始のチャイムが鳴ってから、生徒が最初に活動するときまでの時間を計測したことはありますか。何校かのご厚意を得て、観察をさせていただいたところ、最短はチャイムが鳴り終わるのと同時ですが、5分以上たってからという授業も3割近くに及びます。


❏ タイムラグなしに学習者の活動が始まる授業

チャイムが鳴り始めると同時に、小テストの用紙が最前列の生徒に配られ、なり終わるまでに全員にいきわたり、なり終わった瞬間に「はじめ」 の号令がかかる授業もありました。

チャイムの終了と同時に、CDでリスニングの音声が流れ始めて、学習係が予め配っておいたディクテーション用紙に生徒がまじめに鉛筆を走らせるクラスもありました。

いずれも始業のルーチンとして確立しており、こまごまと指示をする必要もありません。


❏ 5分のロスも馬鹿にできない

一方では、雑談から入り、本題への枕なのかと思って見守っていると、結局なんのつながりもないまま、出欠点検やプリント配布と併せて5分以上ロスしているケースも少なくありません。

先のケースではいずれも、生徒が答案に向かっている様子を観察しながら先生は出席を点検していました。

毎時間、授業の入りで5分間を失ったとしたら、4単位科目なら5分×4コマ×35週で合計700分、実に授業14回分の時間を失っている計算です。

これでは夏休みに60分×5コマの講習会を設けても、差し引きマイナスですね。


❏ コンパクトにまとめつつ、本時の目標を理解させる

導入フェイズをいかにコンパクトに且つ効果的にまとめるかは、授業の成果を大きく変えます。

目標理解と活用機会を整える授業デザイン」 でご提案した授業デザインでは、授業冒頭で「その日に学ぶことを使って解を導くべき課題」 を提示します。

わざわさプリントを用意していかなくても、その問いを板書するだけでも所期の目的は果たします。

むしろ、先生が黒板に何か書いたらノートに写そうとする「条件反射」 を利用して、教材や筆記用具を机上に揃えさせるきっかけにもなりますよね。


❏ 長々と手順説明を行えば、「待て」 をかけているだけ

また、その日の授業でやることの段取りの説明をすぐに始めたとしても、説明が終わるまでの間、生徒はただ聞いて待っているだけです。

この間、生徒は活発に頭を働かせることもなく、学習内容に意識を向けさせる効果も期待できません。

実験の手順説明が書かれている教科書のページを開かせたり、プリントを配ったりして、まずは熟読させるだけでも、「活動を開始させる」 という目的に少しは近づけます。

 ■ご参考: 不用意な“待て”をかけない教科書をきちんと読ませる

❏ 自力で挑ませることで、何ができるのか把握する

手順説明も、先生の話を聞いているだけの場合と、生徒が自力で読もうとする場合とでは、頭が働いている度合いが違います。

少し短めの時間で区切ることで「集中してできるだけ早く読む」 ことを習慣づけることも大切です。

生徒が該当部分を読み終えたタイミングで、重要なところ、見落としがちな箇所を「問いかけ」 の形で確認していけば、効率よくポイントを押さえられますし、読みながらポイントを拾い上げる練習をさせることもできますね。

自力で読ませればOKの部分と、問い掛けで意識を向けさせたり、口頭での説明で補足しないときちんと伝わらない部分を切り分けるだけでも、授業の密度や学びの深さは変わってくるはずです。


❏ ストップウォッチを片手に、自分の授業でも点検を

授業の始め方は、その日の成果を大きく左右しますし、貴重な学習時間を効果的に使えるかどうかも分けてしまいます。

チャイムが鳴ってからの5分間を、如何に学びの盛り上がりにつなげていくかは、授業の工夫を考えるときの大切なテーマの一つではないでしょうか。

ストップウォッチを片手に、チャイムが鳴り終わってから生徒の学習活動がきちんと立ち上がるまでの所要時間を測ってみませんか。

手元のデータでは、生徒が何かに集中するまで1分以内だった授業が3割弱、中央値が4分半です。

今後、次期学習指導要領への切り替えに伴い、カリキュラムはますます窮屈になるはずです。

これまで50分かけていたことを45分、あるいは40分で消化できるスキルを身につける/スタイルを切り替えていく必要があると考えます。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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