成果発表会は、指導を振り返る機会

学年末テストが終われば、いよいよ年度の締めくくりですね。1年かけて取り組んできたことの成果発表などは、この時期ならではの行事です。

生徒が取り組んできたことの成果は、とりもなおさず、先生方が重ねてきた指導の成果。発表会から、どれだけの反省と展望を得てその先の活動に活かせるかは、生徒のみならず、先生方にも問われるところだと思います。

日々の学習でも、「振り返り」 は次に向けた課題形成を図り、メタ認知を高めるために欠かせませんが、1年間の学習活動・学校生活についても同様に、きちんとした振り返りを行いたいものです。


❏ 成果発表は締めくくりではなく、新たなスタート

総合的な学習の時間などを使った、課題研究や論文作成、探究活動などの成果発表会もあちらこちらで行わています。

これらを振り返りの機会として正しく利用できるかどうかは、その後の指導を大きく分けるはずです。

生徒が1年かけて頑張ってきたことは、「発表して終わり」 ではありません。

プレゼンが上手にできたかどうかは、評価対象のごく一部であり、何を経験し、何を学んで身につけたかこそ、評価すべき事柄です。

成果発表を行った学年の生徒たちは、次の学年や上級学校に進んでからも、それまでの学びの成果の上に立って学びを続けます。

現時点で足りていないもの、さらに一歩進むために必要なことを、どこまで認識できたでしょうか。

肝心なのは、探究のマインドとスキルを身につけられたかどうか、探究を通じて見渡せる世界が広がったかではないでしょうか。

これらはまさに、「未来を拓く力」 であり、探究活動をカリキュラムに組み込んだときの目的だったはずです。


❏ 講評者からの助言を、次の行動に結び付けられるか

外部から講評者を招いてコメントをもらっても、生徒が「もう発表は終わった」 と言わんばかりの表情で、メモを取るでもなくリラックスして聞いているケースも少なくありません。

中には居眠りしている生徒もいたりして…。次に向けた大きな成長の機会を認識できていない様子に、がっかりすることもしばしばです。

成果発表会を通じて、何を目指すのか、その意味を生徒がわかっていないのかもしれませんし、もしかしたら探究活動を行ってきた意味そのものを把握できていないのかも、とすら心配になります。


❏ 指導者視点で、講評に耳を傾ける

振り返りを行うべきは、生徒だけではありません。

指導に当たった先生方も、それぞれの生徒の発表を見て、そこに至った指導の成果を客観的に自己評価することで、次の指導がさらに良いものになる可能性を膨らませます。

講評者からのコメントは、生徒だけに向いているのではなく、半分くらいは指導に当たった先生に向いているのだと思います。

また、一つ下の学年の指導に当たる先生方にとっては、如上の場には、次年度の指導に活かす反省と教訓がぎっしり詰まっているのではないでしょうか。

あるいは生徒の発表の中にどんな課題が潜んでいるかを端的に表現しているのが、講評者からの助言。どんな指摘があったのかも知らないのでは、継続的な指導改善のチャンスを失いかねません。


❏ 講評で得た視点を、日頃の指導に活かす

成果発表会の現場に立ち会い、一つひとつの発表を見て、その場で自分が感じたことと、講評者からのコメントとを照らし合わせることで、生徒の活動を観察してきたときの視点に欠けていたものに気づけます。

先生方のご専門によっては、本格的な探究活動にあまり触れる機会がなかったこともあり得るはずです。書籍などで学ぶことに加え、こうした実地の場での経験も積み重ねていきたいものです。

もちろん、講評者からの「助言」 は、現況において足りない部分を前提として行われた「改善提案」 です。

そこに含まれていたことをどれだけ次年度の指導に反映できるかが問われていると考えたいものです。

緊張感をもって臨むべき場ですよね。生徒を伸ばせるかどうかは、指導者しだいであるのは言うまでもありません。


❏ 次学年の指導で同じ轍を踏まない

学年が違えば、同時並行で別の指導を行っているのは想像に難くありませんが、1年間の指導を振り返り次に生かす教訓を得るべき場と捉えれば、優先順位は低くありません。

成果発表会の実施計画を立てる段階で、次学年の先生方が参観できる体制を組むことも必要ではないでしょうか。

それが無理なら、ビデオで撮影しておき、後でも見られるようにするとともに、講評の内容を整理して書面に起こし、頻繁に参照できるようにしておくべきです。

せっかくの教訓がそこに存在しているのに、活かそうとしないのではあまりに勿体ないし、より良い指導を実現する責任も果たしきれなくなってしまいます。


❏ もちろん、日常の教科学習指導においても

1年前に行った授業開きや学習オリエンテーションで生徒に伝えたことが、どこまでできるようになり、習慣として根付いたでしょうか。

オリエンテーションで伝えたことを箇条書きにしておき、短時間でも構いませんので、一つひとつ生徒に自己採点させてみたいものです。

自己採点をしながら、感じたこと・考えたことを文字に書き起こせば、より具体的な自己認識も作れます。

当然ながら、先生方も、自分が授業開きで伝えたことと、生徒一人一人の学習行動とを照らし合わせ、指導を徹底できたか振り返ってみるべきだと思います。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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