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zoom RSS 卒業を前に改めて考える、大学に進んで学ぶ理由

<<   作成日時 : 2019/01/10 07:07   >>

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2月に入れば続々と合格の知らせが届くでしょうし、既に進学先が決まった生徒も多いはずです。進路が決まったのは喜ばしいことですが、生徒一人ひとりが「なぜ大学で学ぶのか」という問いに自分の答えを持っているか、この段階で改めて確かめる必要もあるように思います。

どの大学・学部に進むか選ぶときは「大学で何を学ぶか」が問いの焦点ですが、大学に進むことが決まった生徒(あるいは、捲土重来を期して浪人が決まった生徒)には、「何を学ぶか」の再確認に加え、「なぜ大学に進んで学ぶのか」を改めて考える機会を持たせたいものです。

2017/03/14 公開の記事をアップデートしました。
旧タイトル: 進学前に改めて考えさせたい、大学で学ぶことの意味


❏ 独学では得られないものを手に入れるために

合格するために頑張ってきた志望校だけに、そこでの4年間をより有意義なものにしてもらいたいと思います。

4年間という時間と、決して安くない学費を投じてこそ得られるものは学位だけではありません。

学びのコミュニティを形成する一員になり、その中で受ける刺激や支えといったものが、4年後には大きな財産になるのだと思います。

ある特定分野での知識を得るだけなら、書籍や論文を手に入れれば当座の用は足りますし、独学で資格を得たり、研究を続ける人もいる以上、知識のためだけに高い学費と長い時間を投じる必要はなさそうです。

でも、同じ学問や専門領域を学ぼうとする仲間がいて、互いに刺激し合い、支え合う学びのコミュニティでしかできないことにこそ、大学に進んで学ぶという選択の意味があるのではないでしょうか。


❏ 学ぶための環境と、ともに学ぶ仲間

大学で学べることと、書籍や論文を読むことでカバーできることを、ベン図を書いて整理してみてはどうでしょうか。

さまざまなイシューについて、議論を戦わせることは、発想を広げ、知識の新しい結びつきを見つける上で欠かせないはずです。

また、実験を行うにはそれなりの設備や協力者、時には(個人では賄えない規模の)予算も必要になります。

自分一人でカバーできる知識の範囲にも限界がありますので、同じ学部の違う学科・専攻の仲間がいることは、研究を進めるうえで大いに役立つでしょう。

仲間との対話の中で得られる「知の交換」 は、書籍から一方通行で得られる知識とは違った働きをしますし、そこで培われた関係は、大学卒業後の研究や事業でも大切な糧になるはずです。


❏ 興味を深堀するだけでは、広がりがない

独学で学ぶことは、興味を深掘りすることには向いていても、発想や視野を押し広げにくいという弱点もあります。

書籍や論文から得られる情報は、自分がそこに興味・関心を抱いたものにしか手が伸びにくいもの。

ネットの検索と同じで、PULL型の情報取得なので、関心のないところに触れる機会は乏しくなりがちです。

様々な専門を持つ方と触れ合うことでの気づきもあれば、単位を揃えるためにやむなく履修した授業で偶然みつけた「自分の専門・興味と、他の領域の関係性」などもあるはずです。

大学が用意したカリキュラムに乗っかって、様々な科目で、いろんなメンバーと一緒に学ぶことの良さはここにあるのだと思います。


❏ 学びのコミュニティに自分はどんな貢献ができるか

このように考えてみると、大学で学ぶことと独学との最大の違いは、仲間の存在であろうと思われます。

学問や研究への意欲を強く持つ仲間が周囲にいることは、自分の地平を飛び越えるための推進薬や飛び続けるための翼のようなものかもしれません。

コミュニティの一員になる以上、受益者でいるだけではすみません。自分もそのコミュニティに何かの貢献をしなければなりません。

ハーバードの学生募集ページ には、こんな記述があります。
In our admissions process, we give careful, individual attention to each applicant. We seek to identify students who will be the best educators of one another and their professors—individuals who will inspire those around them during their College years and beyond.

「大学に入ることが目的ではありませんし、学位を得ればそれでOKということでもない」 ─ まさに今、高校を卒業して大学に進もうとしている生徒に伝えたいことの一つだと思います。


❏ 進路が決まった生徒に課す、最後の宿題

合格の知らせを持ってきた生徒には、「大学に進んで何を学ぶのか」「大学に進んで学ぶのはなぜか」という問いを与え、終業式までにまとめさせておくのは如何でしょうか。

卒業後に歩んでいく道に、明確な目的と意味を見出させて送り出すことは、生徒にしてあげられる最後の指導だと思います。

ここでしっかり立ち止まり、自分の未来を見据えさせることは、何年後かの同窓会で再会した卒業生の生き生きと学び大きく成長した姿に繋がっていくはずです。

また、卒業までわざわざ待たずとも、高校に入学してからどこかのタイミングで、大学で学ぶことの意味を考えさせておくことは、決して無駄なことではないように思いますが、いかがでしょうか。


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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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