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zoom RSS 授業評価アンケートを行うときの最小要件

<<   作成日時 : 2017/03/16 07:38   >>

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何らかの形で生徒による授業評価アンケートを行っている学校が大半ですが、質問設計と集計方法が誤っていると、データを活用した授業改善にはつながりません。

質問設計は、校是たる授業像を現場の先生に示す機能があり、しっかりと考えて作ることが大切ですが、せっかくのデータも、集計方法が好ましくないと課題形成や効果測定に使えません。

両者がきちんと揃わないと、何のために手間暇かけているのかわからなくなってしまいます。

この時期なので、新年度に向けたご相談をいただく中、これまで行っていた方法に改めるべき点を抱えている学校も少なくないと感じています。

授業評価アンケートの運用に際し、最小限満たすべき事柄を整理して、チェックリスト形式にまとめてみました。新年度に向けてご参考になれば幸いです。


❏ 質問設計について

  • 生徒側での伸びている実感を尋ねていますか?
    伸びている実感は、興味の発現やその先にある進路意識の形成にも繋がります。一方、たとえ模試の成績が悪くなくても、生徒の側で「伸びている」「何とかなりそうだ」 という実感を欠くと、その科目を学び続ける意欲が維持できません。志望の切り下げや、受験科目から外す選択も頻発します。

  • 学習効果を決定する要素が測定項目に含まれますか?
    学力の伸びを実感できるかどうかは、学習目標の理解と獲得した知識を活用する場面とでほぼ決定することが、これまでのデータでわかっています。また授業内での活動での充足感も大きく影響します。これらについてクラスごとの状況を把握しておけば、伸びている実感が乏しいときにどこに問題があるのか特定できます。

  • 生徒に尋ねるべきでない項目を含んでいませんか?
    教員側の授業準備などは、生徒に訊いても正しく判定できません。また宿題の履行率などは、先生側で把握すべきこと。余計な質問を加えることで、回答の負担が上がるばかりです。質問は、生徒が答えられること、生徒に訊かなければわからないことに限りましょう。

  • 教材・課題の難易度や、得意・苦手の意識を確認していますか?
    3年間/6年間の流れの中、難易度が急激に上がった瞬間に苦手意識が膨らみます。そうした変化をとらえるのが後手に回ると、それ以降で難度の調整を図っても手遅れ、改善効果はきわめて限定的です。全学年を通して定期的に把握しておき、問題が見えたらその都度こまめに調整を行うべきです。

質問設計についての詳しい解説はこちらから。
授業評価アンケート〜正しい活用と質問設計


❏ 集計方法について

  • クラスごとの集計値が比較できていますか?
    同じ学年、同じ科目であっても、教え方などが違えば、集計結果は大きく異なります。クラスごとの比較ができなければ、最も効果的な実践がどれなのか、優良実践の抽出ができません。また、同じ先生が同じように教えても、生徒側のレディネスの違いで反応も異なります。クラスの特性に合わせたアジャストにはデータが必要です。

  • クラス、科目、教科、学年の各集計単位で推移を辿れますか?
    前回からの集計値の変化は、指導の工夫を行った改善行動の成果を検証するもの。新しい取り組みがどれだけのプラスをもたらしたか、試行がどんな影響を及ぼしたかを把握しましょう。また、ある学年の指導で抱えた問題が、前年度までの指導に起因することもあります。同一集団の追跡データが、問題の究明に役立ちます。

  • 項目間でのクロス集計や残差分析ができるデータ形式ですか?
    項目ごとの評価だけを見ても、改善に向けた課題形成ができるとは限りません。散布図を描き座表面上の位置を捉えてようやくその授業が抱える問題を把握できることもあります。ローデータをきちんと保持しましょう。そもそも、肯定的的な回答率が何%ならOKかの判定にも統計的な解析が必要です。

  • せっかくのデータを平均値でまるめてしまっていませんか?
    平均値を算出しただけでは、改善課題を抱える授業、倣うべき実践を含む授業をどこで切り分けるべきかも判定がつきません。度数分布表や四分位グラフを示すことで、「この水準以上の授業から実践を学ぼう」 と視覚的に判断できる状態に加工するべきです。

正しい集計方法がもたらす知見に関する記事はこちらから。
授業評価の結果から(記事まとめ)



❏ 習熟度やコースによる違いも捉える

習熟度別クラス編成を行うときも、それぞれのクラスに応じた指導が行われているかどうかも把握する必要があります。

また、特進コースなどを設けているときも、クラスごとにコースを分けるフラグを立てておけば、集計を分けて有意なデータを取ることができます。

授業以外のことを尋ねるアンケートとセットで実施しておけば、授業外学習時間や進路意識形成の様子などとデータをリンクさせた分析も可能です。

せっかく手間暇をかけ、生徒にも回答の負担をかけて実施するアンケートです。有効に活用できる形での運用を心がけたいものです。

如上の質問8つすべてにYESと答えられれば、「最小限の要件」 満たしていることになるはずです。

あとは、教科会の機能強化、相互参観などを効果的に回す工夫 などが加われば、学校全体での授業改善は着実に進みます。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一


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